2056話 二本の柱
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【双真ナル】と【源海底都市アンディシンバー】を探索していたな。
海底都市を歩くという変な感覚だったが、【槌鍛冶士】が作ってくれていたスク水のお陰で呼吸も出来るみたいだったので安心して探索出来るのは大きいな。
普通の対策を何もしていないプレイヤーだったら探索すらまともに許されない環境の場所って中々大変だぞ!?
何でこんなところに俺を平然と放り出したんだよ……
「【包丁戦士】がその水着を着るのは読んでたからね。
それなら説明不要かと」
読まれていたのか……
どこまで読んでくるんだ、お前は……!?
この辺の話は追及し出したらキリがないので一旦置いておこう。
「そうしてもらえると私もしても助かるよ。
……そろそろ【包丁戦士】もマッピングはある程度終えられたかな?
次に進むにしても一旦周りを見てからの方が【包丁戦士】のスタイルに合うかと思って周回してみたんだけど、どうかな?」
あぁ、ひたすら歩いていたのは俺への配慮だったのか。
確かに俺は新しいエリアが解放された時も目立つようなランドマークがあったとしても、何も変哲もないところから地道に歩いて地形を把握することが多いからな……
その配慮は正直助かるぞ!
「それならそろそろ【包丁戦士】の言う……いわゆるランドマークにも向かってみようか。
ここに来て気になるところはあったかな?」
気になるところか……
何ヵ所かあるがまずはあの柱だな!
このエリアの両端に2つ見えるが……
「さっそく行ってみようか。
あの場所で【包丁戦士】がどんな反応を見せるのは今から楽しみだよ」
何せわりと離れたこの場所から見上げないといけないくらい上まで伸びているからな……
あれだけ目立つようなランドマークが何も意味がないなんてゲーム的にありえないだろ!
「随分とメタ発言らしいけど、実際その通りだと思うよ。
【山伏権現】は遊びの幅は持たせるけれど、無駄なことをしないだろうから」
訳知り顔でそう呟く【双真ナル】に先導される形で柱のうちの片方へと向かっていく。
幸いにも見上げるほどデカイので距離は離れてこそいるが、歩いていく方向を間違えることなく歩いていけたこともあってすんなり柱の場所までたどり着くことができた。
「【包丁戦士】が気になっていた場所に来てみたわけだけどどうかな?
来てみて何か気づくことや感じることはあるかな?」
【双真ナル】からの問いかけだが……
やはりこの柱そのものから何かしらの力を感じるぞ。
ただのハリボテじゃなくて、ここにあることで役割を果たしているのか、あるいは果たす時を待っているのかなのだろうよ。
そして、これが2つあるってことは相関性があるのか、2つあることでバランスを保っているか……少し興味があるな!
「やっぱり【包丁戦士】の観察力も侮れないね……
こういった構造物に対する知見はずば抜けている気がするよ、他のプレイヤーでは一瞬見ただけでここまでの予想は立てられないだろうから!
リアルでの経験が活きているのかな?」
さて、どうだろうな?
俺は【双真ナル】にそう返しておいたが……
……流石に話しすぎたか?
間髪いれずに俺の見解を話したので勘繰られてしまったのかもしれない。
この【源海底都市アンディシンバー】にたどり着いた時にも珊瑚で出来た建物へ反応してしまったし、道中でもその辺りを語り続けてしまったからな……
正直隠す気がないだろ! と言われてしまっても仕方なかったかもしれない……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】