2053話 不感知の侵入
【Raid Battle！】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン！
昨日も【双真ナル】と会っていた……というよりは後ろからつけていたんだがバレて逆に回り込まれてしまったな。
俺が気配を読み逃すってことは相当掴みどころがないやつなのは間違いないが、今のところ俺に害があるわけでもなくむしろ利益に繋がっているからヨシとしておこう。
というわけでやって来ました絶深海域！
ここにいる深海種族の【上位権限】レイドボスの【カニタマ】に会いに来た。
この前の【オミクロン】を正気に戻すための手助けについてのお礼参りも兼ねてだ！
「【熱狂剣山の地霊鉱爵】の助けにもなれたから良かったカニ！
あの後当方も【熱狂剣山の地霊鉱爵】からお礼を言われたカニ！
あの感謝の言葉はどれだけ金品を積んでも得られないプライスレスなものカニ！
やった甲斐があったカニよ！」
そうか、【熱狂剣山の地霊鉱爵】から【カニタマ】へのお礼もあったのか。
あいつも思ったよりも情に熱いやつなんだな。
そういうのに無頓着っぽいのに……
「そういう存在カニ！
【包丁戦士】も気をつけるカニよ！」
「うんうん、そこで下手をうつと新たな陣営対戦が始まる流れになるからね。
過去に【包丁戦士】自身も体験しているから分かるだろうけど、私としても気をつけていれば横道に逸れて展開が遅くなるルートに進むことを避けてもらいたい」
俺と【カニタマ】が話しているところに現れたのは【双真ナル】だった。
うおっ！？
気配もなく急に現れるなよ！？
いや、それ以上に突っ込むべきはこの場所……絶深海域に現れたってところか。
ここにはある程度の権限を保有しているプレイヤーじゃないと入れない仕様になっていたはずだぞ？
何でここにいるんだ？
俺がそう問いかけると【双真ナル】は……
「それはもちろんそのある程度の権限を持っているからだね」
「……確かに持ってるカニ！
当方も確認したから間違いないカニよ！
ここに入れるプレイヤーが増えるのは喜ばしいことカニ！」
なるほどな。
不正な侵入ではないというわけか。
少し疑っていたのだが、【カニタマ】が太鼓判を押すなら間違いないだろう。
ここで【カニタマ】が嘘をつく理由はないしな。
「どうかな？
私への疑いか晴れたようで何よりだよ。
身の潔白を証明してくれた【カニタマ】にも感謝しないとね」
「また感謝されたカニ！
最近は感謝をいっぱいされて嬉しいカニ！」
【カニタマ】は感謝の言葉を受けて飛び跳ねていた。
見た目が幼女だから無邪気に喜んでいるように見えるな。
……まぁ、本当の姿は巨大なカニなんだけど。
「そういえばそうだったね。
私もその姿は知ってはいたけど、見たことはないから実に興味があるよ。
確か半分が炎属性の身体で、もう半分が氷属性の身体なんだっけ？
反発しそうな対照的な力を一つの身体で抑えているのは無理がありそうだけど、それを成立させるのが流石【上位権限】レイドボスだね」
「当然カニ！
この力を使いこなしてこそ、他の種族の【上位権限】レイドボスに対抗できるカニ！」
【双真ナル】は【カニタマ】のことについても詳しいんだな。
何でも知ってるって感じに思えてきたぞ！？
「何でもじゃないよ、あくまでも知っていることだけだね。
知れる範囲も【包丁戦士】と被っているから、【包丁戦士】が知っていることは私が知っていてもおかしくはないはずだよ？」
まぁ、同じゲームを遊んでいるんだからそうなんだろうけど、何か引っかかるよなぁ……
話せる人が増えて嬉しいカニよ～
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】
