2049話 新たな出会いの祝福
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【双真ナル】と会っていたな。
特段変わったやり取りをしたはずはないんだが、これまでとは違うどこか違和感を覚えてしまう印象だった。
まるで【山伏権現】を相手にしている時のような、雲を掴むかの感触だったからな……
何はともあれ、海エリアを大きく躍進させてくれそうなプレイヤーが来てくれて助かったぞ!
というわけでやって来ました海エリア!
ここで俺の船に【双真ナル】を乗せて航海に出ているわけだな!
「これが魔海城船アンサンセか!
規格外に大きいとは知っていたけれど、実際にこの目で見てみるとその異様さが分かるね。
あまりにも大きすぎる!
ここに【コラテラルダメージ】のメンバーが全員乗ってたのか、それでも人数全員がいてもスペースが有り余りそうだね」
俺がこの船について説明しようとしたら【双真ナル】がペラペラと語りはじめてしまった。
この船の名前とかも説明するまでもないようだ。
それに俺のクラン【コラテラルダメージ】の人数まで把握しているっぽいな。
クラン【リップカレント】のメンバーに聞いたのか?
「……そういうことにしてくれていいよ。
【包丁戦士】と会ったら見てみたいものの中にこの船があったんだけれど、そっちから見せてくれて手間が省けたよ!
【サーツイ=ヘテロコンガー】を討伐した甲斐があったというものだね。
本来ならもう少し討伐が遅いはずなんだけど、私が話を押し進めた結果になったわけだ。
これだけでも私が来た価値があるかな?」
……ん?
あぁ、そうだな。
海エリアのレイドボス攻略はまだ二体しかしてなかったから、【双真ナル】のお陰で一気に攻略が進んだのかもしれないな。
攻略の鍵になるレイドボスの名前とエリア名称を明かしてくれたわけだし!
戦闘面でどのくらいの実力があるのか知らないが、少数精鋭のクラン【リップカレント】が組むことを決めた相手ならそれ相応の実力の持ち主なんだろうよ。
「おや、私の実力が気になるのかな?
【包丁戦士】が思っているほど実力が高いわけじゃないけれど、そこそこはヤれるつもりだよ。
もっとも、本来私が立つべきステージでもないから相性が悪いのと、自重も兼ねているけどね」
???
まぁ、それなら楽しめそうだな。
今日は会話だけのつもりで来たから戦わないが、別の機会には挑ませてもらうとしよう。
「おやおや、それは意外だね。
【包丁戦士】ならてっきり戦いをちらつかせたらすぐに戦闘が始まるものだと思っていたよ!
狂人でプレイヤーキラーという特性があるからなおのことだね。
私は今すぐでもよかったけど」
プレイヤーキラーにはプレイヤーキラーの矜持ってものがあるんだよ。
そこらの快楽主義者とはまた違うってわけだな。
……それはそうと、お前はどこの次元の出身者なんだ?
「一応、所属としてはステッキ次元ということになるのかな?
そこはあまり気にしなくてもいい要素だけどね。
MVPプレイヤーの【ロイス=キャメル】に私のことを聞いても知らないと思うから。
あくまでも私と【包丁戦士】の一対一の関係が新たに生まれたということを意識してくれたら嬉しいかな」
中々妙な言い回しをしてくれるな。
これまで会ったやつにそんな言い方をしてきたプレイヤーはいなかったから気になるじゃないか!
「ただ単純に新たな出会いに喜んでいると捉えてくれて構わないよ。
私もそんなに深いことを言ったつもりはないからね。
……と、私が言ったとしても【包丁戦士】は勘繰るのだろうけど。
それが私の知っている【包丁戦士】でもあるからね」
初対面のやつが何を知っているのやら?
そこもクラン【リップカレント】の連中から聞いたんだろうか……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】