2041話 誰かの手足も借りたい
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【検証班長】仕込みの検証テクニックを使って【オミクロン】へのアプローチを試みていたな。
石を何回も投げてみたり、石以外のもので試してみたりしたのだが特にこれといった成果はあげられなかったな。
やっぱり、外部からの影響はダイレクトに受けるし、怒りなどで力を底上げしても【オミクロン】が自力で小部屋からの拘束を破るのは難しそうだな。
というわけでやって来ました岩山エリア……堅牢剣山ソイングレスト!
相変わらず小部屋に閉じ込められている【オミクロン】を見ているのだが……
ふと思った、小部屋から出られないなら外から攻撃し放題じゃん!
小石を投げても反撃のタックルは地脈による束縛の影響で俺に届く前に逆に戻されてしまうからな。
下手するとノーダメージ攻略も可能なボーナスレイドボスなのでは!?
【そこにいつか気がつくと思って私から先に釘を刺しておいたというわけです。
そうでなければ、わざわざ私から討伐の選択肢について話しませんよ】
……ちっ、そこは【菜刀天子】に見破られていたか!
せっかく名案が思いついたと思ったのだが、理由付きであらかじめ【菜刀天子】にその選択肢は封じられていたわけだ。
思考を先回りされていたみたいで悔しいな……
【全く、これだから劣化天子は……
相変わらず隙を見せる余裕がないですね。
ですが、その愚鈍な頭脳で【上位顕現】AIである私を簡単に上回ることが出来るとは思わないで下さい】
散々な上から目線の言葉だがこれはツンデレによる発言だと俺は知っているので軽く受け流せるぞ!
俺をある程度評価しているからこそ、その選択肢にいつかたどり着くと思っていたんだろうな。
【ですが、その選択肢を取らないまま正気に戻すか、地脈の束縛から逃れさせることは出来ますか?
劣化天子なら陰湿な深淵種族相手であれば容易くやってしまいそうですが、聖獣と鉱人種族ですからね……】
確かにな。
種族の違いが俺がやる場合の攻略難易度に大きく関わってきているのは間違いない。
直近だと次元戦争中に深淵種族レイドボスの【チェーンバ】を戦闘無しで、さらに短時間で手懐けたからな!
だが、聖獣と鉱人種族は俺が次元天子であることを含めたとしてもさほど相性がいいわけではない。
だからこそこうやって検証しながら攻略方法を探しているわけだ。
【【熱狂剣山の地霊鉱爵】が【熱狂山脈の鉱炎猿王】というユニーククエスト名に関係しているのなら、【熱狂剣山の地霊鉱爵】本体をどうにかするか、本体に動いてもらうというのが手っ取り早そうですね】
そうか、【オミクロン】が俺たちで手をつけられないなら別のやつからのアプローチをしてもらえばいいのか。
だが、【熱狂剣山の地霊鉱爵】が動いてくれるかというとあんまり動いてくれなさそうではあるな。
だって、今の状況が【熱狂剣山の地霊鉱爵】にとって都合がいいんだからな!
本人に話してみてもいいだろうが多分時間の無駄に終わりそうな気がする。
【それくらいであれば他の協力者を探した方が良さそうですが、協力してくれるような存在がどれくらいいるか、そしてその協力者がそもそも力になるのかという点を考えると候補はかなり少なくなりそうです】
……俺が考えるに、2つほど候補があるな。
どちらもこの状況で関与出来るだけの力と相性の良さがある。
その辺りを探ってみるか……
【菜刀天子】、ヒントをくれてありがとな!
【べっ、別にヒントを渡したわけではないですからね?
ただの私の呟きを劣化天子が拾って勝手に動こうとしているだけでしょうに】
素直じゃないなぁ……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】