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204/2532

204話 ヘイトのμ

 【Raid Battle!】






 【兎月舞う新緑の主(廻)】






 【レイドバトルを開始します】


 はい、【バットシーフ】後輩の肩からこんにちは!

 第一階層から第二階層に再び移動した俺たち。


 そこでは、【バットシーフ】後輩がストックスロットで起動した【名称公開】で少しだけ弱体化した兎レイドボス……ミューンが暴れていた。

 【バットシーフ】後輩がabilityで使用するものは大体7割くらいの性能に劣化するらしく、案の定弱体化の程度も低いように思われる。


 「こいつっ、ちょこまかと!

 ぐわああああああ!!」


 「私の華麗な拳をうけなさあああああああ!?」


 「やべえよ……全く歯が立たねぇぞ……」


 「これで弱体化してるなんて、おかしいだろ!」


 「よく先輩勝てましたね?」


 「俺はこの兎レイドボス倒したとき、肉壁になってただけだから……」



 初心者プレイヤーには俺たちがレイドボスを倒して手に入れたスキルが配られていないため、ほとんどのプレイヤーがゾンビアタックを仕掛けているようだ。

 10秒に1回くらい誰かが死に戻りをしているので、辺り一面が光の粒子でいっぱいになっている。

 あたかもホタルがとんでいるかのようだな。


 それだけ死に戻りを繰り返していても、今回の復刻レイドボスは死に戻り後すぐに第一階層から移動すれば復帰できる仕様なので死んでは走って、死んでは走ってを繰り返している。


 俺たちもこれで4回目のミューンとの相対というわけだ。

 初心者プレイヤーたちも死に戻りこそが、底辺種族が使える最大の能力だということを自覚しはじめ、その身を省みずに特攻をしかける輩が増えてきているぞ。

 いい傾向だな。


 「本当にいい傾向なんッスかね……?

 たしかに何回も復活できるのは気が楽ッスけど」


 いい傾向だろ。

 実際、少しずつではあるがミューンにダメージを与えることはできているからな。

 

 【μμμμμμuuuuuu!!!】


 ミューンの連続引っ掻き攻撃が始まったみたいだ。

 今回一番ヘイトを買っていたのは……?


 「またワタシですか!?

 ワタシとお姉さまにいったい何の恨みがあるのかしら!?」


 また燕尾服女だ。

 これであの攻撃を喰らっているのは3回目か、何がそんなにヘイトを集めるのか分からないがこれはチャンスだ!

 あの攻撃をしているときは、ヘイトを一番持っているやつにしか攻撃しないからな。

 安心して攻撃に移ることができる。

 【バットシーフ】後輩、行け!


 「了解ッス!

 俺っちのバットの振りを受けるッスよ!」


 【バットシーフ】後輩がバッターボックスで構えるバッターのように一度重心を後ろに移動……そして、前方にバットを振る際に思いっきり重心を前方へ持っていった!

 その重心移動によって振るわれたバットによる威力は、クリーンヒットすれば底辺種族の頭をかち割ることができるものだ。


 だが、相手は底辺種族ではなくレイドボス。

 ミューンの足に当たりこそしたが、少しだけ傷をつけただけで弾き飛ばされてしまった。


 「やっぱり手強いッス……」


 まあ、お前にしてはいい感じだったぞ。

 このまま連撃だ!


 そう指示したが、前方を見ると異変が起きていた。


 連続引っ掻き攻撃の対象がまだ死に戻りしていないのにも関わらず、【バットシーフ】後輩の方へと向かってきている。

 おいおい、こんなパターン見たことないぞ!?


 「あっ、手癖でヘイト盗んじゃったッス!」


 こらこら、ヘイトを盗むな!

 というかそんなもの手癖で盗めるのか、こいつがいつの間にか盗むものはよくわからないな……


 というわけで、こっちに向かってきているミューンから逃げ出す俺たち。

 肩に乗っている俺は必死に【バットシーフ】後輩にしがみつくので精一杯だ。

 ちゃんと避けてくれよ!


 「了解ッス!」


 「ワタシの攻撃チャンス!

 見ていてくださいお姉さま!」


 「かしこまりましたわ。

 ワタクシのクランのために頑張ってくださいましてよ!」


 ヘイトの対象が変わって空いた燕尾服女はサーベルを取り出して、ちくちくとミューンに突き刺している。

 ……ミューンの独特な毛皮の影響で、実際に刺さりこそしていないが手数でダメージを蓄積させていっているようだ。

 自信満々なだけあって、それなりにあいつもやるようだな。

 手数で攻撃を重ねていくプレイヤーは俺しかり、【ペグ忍者】しかり【釣竿剣士】しかり【短弓射手】などこのゲームで頭角を現しやすい傾向にある。

 だからこそ、この燕尾服女は今後伸びてくるかもしれない。


 一方で、パワータイプのプレイヤーはあんまり出てきてない。

 実績照会にもあった打撃に関するスキルが解放されていないのも、その影響を受けているかもしれない。


 【バットシーフ】後輩が使うチュートリアル武器のバットもパワータイプの武器だ。

 この局面だと、バットで凌ぐのは難しいだろうがなんとかしろ!


 「そんな!

 投げやり過ぎッスよ~!!!」


 【バットシーフ】後輩は悲痛な叫び声を上げながらミューンに切り裂かれ、光の粒子と化した。

 死に戻りの連鎖はまだまだ続きそうだな……










 初心者底辺種族たちは、はやくこのゲームに適応してください。


 【Bottom Down-Online Now loading……】


アンケートやってます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] パワー系はこのゲームだと難しそう 隙を晒すとすぐに殺されるし、少しでもダメージを与えれる方が ボス戦にはあってそうですね [一言] ヘイト盗むってやばいですね 自分からヘイト盗めるならタン…
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