2036話 不要な地脈
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【菜刀天子】から【ユニーククエスト リソースを使用して聖獣の顕現を目指しなさい】を受注したな。
ユニーククエスト名が完全にセリフそのままだったという手抜きっぷりだが、一応方針や方向性を直接教えてくれたのでそこまで不満はない。
……というかユニーククエスト名ってフレーバー要素でしかないから、極論どれだけふざけた名前だったとしても成立はするんだよなぁ。
というわけでやってきました岩山エリア……堅牢剣山ソイングレスト!
地脈、龍脈といえばやっぱりここだよな~
「あちきの前でそれを言うなんて度胸のあるプレイヤーはそれほどござりんせん。
というより中々図々しゅうござりんすよね」
俺の前にいるのは鉱人種族の【上位権限】レイドボスである【熱狂剣山の地霊鉱爵】だ。
いかにも地脈、龍脈に詳しそうなレイドクエスト名をしているし、実際詳しいだろうから直接話を聞くのが手っ取り早いと思ってな!
【菜刀天子】から【ユニーククエスト リソースを使用して聖獣の顕現を目指しなさい】を受注してな、地脈、龍脈に干渉すればいいという助言をもらったからここに来たわけだ。
「それならあちきが使用していない地脈があるからそれを使用するといいでありんしょう。
ここを守る聖獣が現れるならそれに越したことはありんせんから多少ならば協力しんしょう」
おおっ、協力してくれるのか!
それは助かるな!
というか快諾してくれるまでの駆け引きがなくて拍子抜けしているくらいだ。
これまでの例だと交換条件で何か別のものを用意したり、何かおつかいをさせられていたからそれを覚悟していたんだが特に何も要求されなかったからな!
まぁ、好き好んで代わりの行動をしたいわけじゃないしラッキーと思っておこう。
そうして案内された場所は洞窟内で小部屋になっているところだった。
しかも結構歩いたので堅牢剣山ソイングレストの中でもかなり僻地なのだと思われる。
俺もこの辺りは一回も来た覚えがないからなぁ……
そりゃ、【熱狂剣山の地霊鉱爵】が不要という地脈なんだから相応に使いにくい場所にあるのは仕方ないか。
普段使いがいいところなんてわざわざ他のやつに譲る意味はないもんな。
「地脈を譲るのでありんすからそれくらい条件の悪いのは大目に見て欲しゅうござりんす。
本来なら他の人に譲るようなものではありんせんのでありんすから、ここを案内しただけでも感謝して欲しいものでありんすね」
そりゃな。
俺も手っ取り早くユニーククエストが進められるんだからお前に感謝してるぞ!
テキトーな地脈を見つけて利用するだけなら正直俺だけでも何とかなるんだろうが、その場合は【熱狂剣山の地霊鉱爵】と対立してしまうのは目に見えているからな。
穴を掘っただけで前にあれだけ揉めかけたんだから、力の根源たり得る地脈に干渉するなら本格的に対立して陣営対戦でも起きかねないのが本気で怖いところだった。
あれ、だいたい俺が悪役側だからかなり上手く戦場で立ち回らないと普通に負けるしな。
あとはここでどうやって地脈を利用するかだな。
幸いにも方法は幾つか思いつくんだが、リソースを最大活用しようとするならまだまだ工夫を凝らさないとただ地脈を励起させるだけか変質させるだけで聖獣の顕現には至らないだろう。
使っていい地脈の場所は分かったから、今日のところはこの洞窟を入口まで戻りながらマッピングして後日ここに来るまでに方法を考えておくことにしよう。
依頼したのは私ですが、無用ないざこざを起こすのは止めてくださいね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】