2035話 代行天子
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【マキ】と【ロイス=キャメル】が再び集団戦闘の練習をしていたな。
ただ、今回は【マキ】が数でも質でも圧倒的に有利な状況で戦っていたが、それでも大敗していた。
それほどまでに【マキ】がまだ未熟なのもあるが、それ以上に【ロイス=キャメル】が卓越しているだろう。
正直現時点でも【マキ】はその辺の2つ名持ちプレイヤーが指揮するよりも上手になっていると俺は睨んでいるからな!
というわけでやってきました……新緑都市アネイブルにある天子王宮!
今日は【菜刀天子】に会うぞ!
「劣化天子が脈絡もなくここに来るのは久々ですね。
イベントや次元戦争の直後や直前に来ることはありましたが……」
そう言われてみるとそうだな……
今は俺が抱えているタスクやイベントがほとんどないからフリーといえばフリーだな。
「……それでしたら私からユニーククエストを授けましょう。
これまで劣化天子が次元戦争などで溜め込んできたリソースを使って聖獣を顕現させることを目指しなさい!」
【個人アナウンス】
【【ユニーククエスト リソースを使用して聖獣の顕現を目指しなさい】を受注しました】
【運営からの忠告】
【このクエストは失敗しても失うものはありませんが、成功することによって特別な報酬が与えられることがあります。】
【ユニーククエストは達成する前に状況の変化によって、クエストそのものが消失している場合もあります。
他の次元では発生しないことも考えられますので、この機会に世界を変えていきましょう!】
おおっ、投げやりだな!?
ユニーククエストのクエスト名も【菜刀天子】の発言そのままだし……
「今回は別にクエスト名はさほど重要ではない……というよりはある程度曖昧の方が都合がいいからですね。
劣化天子がどの聖獣をどのように顕現させるのかはこの私が指定するよりも活発には動くでしょうから」
それは……褒めてる……のか?
俺は喜んでいいのか判断が出来なかったので直接【菜刀天子】に聞いてみることにした。
すると不敵な笑みを浮かべながら【菜刀天子】は口を開くと……
「称賛半分、蔑視半分……と言ったところでしょうか。
たまにいい方向に進んでいるのか、悪い方向に進んでいるのか判断が出来ないことがあるので高性能なAIである私でも明確に決めかねていますよ。
次元天子であり、深淵種族であり、大罪魔である混ざりものですから計測基準が大きく揺れてしまいますね」
計測基準とかあるのか……!
そりゃ正と負の方向どちらにも転ぶ種族になっていたら揺れまくるよな笑
「他人事と思ってお気楽に笑っていますね……っ!?
この私をもっと敬い、丁重に扱いなさい!」
ほどほどに敬いつつ接してるつもりではあるんだがな?
俺の代わりに次元天子の職務を代行してくれているわけだし。
まさに代行天子だな!
「代行天子……言い得て妙ですが不謹慎感もありますね……
ですが、事実私の今の次元天子という立ち位置は機能的に制限もかけられているので間違いではないのが悔しいですね」
へぇ、そこで悔しがるんだな。
それはそうと、聖獣の顕現ってどうすればいいんだ?
それに近いことならやったことはあるんだが一応知りたくてな!
「そこは自分で考えなさい!……と言いたいところですが、ヒントくらいはあげましょう。
気に入ったエリアの龍脈に関与しなさい、さすればミチは拓けます」
龍脈に関与!?
……うーん、とりあえず色々やってみるかぁ。
さて、どうなることでしょうか。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】