2027話 大罪美徳心中
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
ガーデンバトルの最中に死に戻りした俺だったが、再度ログインした時に勝利アナウンスが聞こえてきたので最終的に俺たち底下箱庭側が勝ったという事実は知っている。
だが、結局どういう結末になったのかは知らないのでまずはそれを知りたいところだな……
というわけでやって来ました沼地エリア……無限湖沼ルルラシア!
ここでステッキ次元のMVPプレイヤーである【ロイス=キャメル】と待ち合わせをしているわけだ。
多分最後まで生き残ったのはあいつだろうし、俺や【マキ】が遭遇していなかったであろう金鉱科のセクションリーダーと対峙していたわけだからな!
「先日の戦いでは開始後に同じ戦線で戦うことは無かったが、それでも別々の戦場で活躍していた話は耳に入っている。
お嬢さんもよく頑張ったものだ」
【ロイス=キャメル】の賛辞から会話が始まったわけだが、俺にもお前の噂話は入ってきたぞ……伝令役を通じてな!
金鉱科のセクションリーダーと対話を続けていたとか何とか……
「おや、お嬢さんの耳にもきちんと入っていたか。
実は金鉱科のセクションリーダーと賭けをしていてね、私以外のMVPプレイヤーが全滅したら私が自害をする代わりに金鉱科以外のセクションリーダーが全滅したら向こうが自害するというものだ」
そんなことがあったのか……
……ってことは金鉱科のセクションリーダーが今回のリーダー枠プレイヤーだったってことだよな?
そうじゃなかったらその前に天昇箱庭側が敗北になるし。
「よくそこに気がついた。
だからこそ私はその賭けに乗ることにしたわけだ。
お嬢さんたち頼りになってしまうわけだが、それでもリターンの方が大きいと感じたのだがお嬢さんはどう思うかな?」
そりゃ……そうだろうな。
MVPプレイヤー一人とセクションリーダー一人では価値が全く違う。
セクションリーダー側の方がその賭けはリスクが大きいんじゃないのか?
だってこっちはMVPプレイヤーが全滅したとしても負けにはならないが、向こう側はリーダーが敗北したらそのまま負けになるんだからな!
「それも本人に聞いたが、今回はたとえ負けになるとしても私から底下箱庭側の情報を聞きたいようだった。
正直勝ち負けに拘っていないどころか、こちらに勝利を譲る代わりに色々と話を聞かせて欲しいという様子すら見受けられたよ」
それは中々極端な思考だな……
検証や情報を集めたりするのが大好きな【検証班長】ですら相手に勝利を譲ることをヨシとしなかった。
「お嬢さんが感じているように異質な人物……いや、人型ではなかったが……だった。
それはさておき、最終的には【マキ】君もお嬢さんも死に戻りしてしまったので私は自害することとなった」
あっ、やっぱり自害はしたのか。
だがそれでも底下箱庭側が勝ったんだよな?
「その通り。
何故ならお嬢さんの攻撃で天昇箱庭側の水流科のセクションリーダーも倒されたのだからね。
つまり、私と金鉱科のセクションリーダーは同時に自害したというわけだ」
えっ、なんだその奇妙な絵面は……
二人同時に自害するなんてまるで心中じゃないか……(困惑)
だが、そのお陰で底下箱庭側の勝利になったのだから良かったと思うしかないか。
【ロイス=キャメル】があらかじめその約束を取りつけてくれていて良かったな!
「それもそうだが、お嬢さんがきっちり相手を倒してくれたからこその結果でもある。
……要するにチームプレーの結果だよ」
少しいびつではあったが、いい感じに締まりそうだったのでそれ以上口出しはせずにそのまま他の話を聞くことになったのだった……
何とか勝てたことを喜びましょう。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】