表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2023/2264

2023話 涙もろい

 【生樹技能(ツリー)】による攻撃だけではなく、通常攻撃すらも全体攻撃並みの力を持つ天昇箱庭側のプレイヤー【潮騒ローラ】だが少し前まで戦っていた【極楽ジゴク】ほど技量が高い戦い方をしてくるわけじゃないみたいだな。

 一つ一つの攻撃の規模は大きいが、その分粗い。

 まさに身体任せな戦闘スタイルってわけだ!



 「そろそろこっちからも攻撃をするyo!

 赤の8!」



 【アンソニー】はさっきまでスキップカードを連続して発動していたが、今度は数字カードを使用していた。

 どうやら数字のカードは攻撃系の効果を持つようで……


 八の字をした炎が【命運産載札】から放たれて【潮騒ローラ】のこめかみに直撃していったぞ!

 馬鹿みたいにデカイ図体をしているからか、ほとんどの攻撃が必中するのでそこはかなり戦いやすいよな……



 【まあまあ、火遊びなんて覚えちゃだめよ!

 お母さん、火傷しちゃうでしょ?】



 火遊びとは言い得て妙だな。

 だが、お前を火傷させたいんだからそりゃぶつけるに決まってるだろ!



 そして俺もやらせてもらおうか!

 スキル発動!【鳳仙火花】!



 俺は【アンソニー】に続くようにして鳳凰の炎の花びらを放ち【潮騒ローラ】へ再度ぶつけていく。

 さきほど【アンソニー】が負わせたダメージ箇所に重ねるようにして与えたので火傷の度合いがより悪化していったことだろうよ。



 「【包丁戦士】の狙いも抜群だyo!

 効果的な攻撃で驚いたyo!」



 最小限の労力で最大限の効果を出さないと俺のような戦闘スタイルだと勝てないからな!

 雑に戦って勝てるのはそれこそ目の前にいる【潮騒ローラ】のような身体がデカイか強靭かみたいなパターンくらいだろう。

 天昇箱庭側のプレイヤーのアバターがどうやって決まるのか知らないが、ボトムダウンオンラインよりもキャラクタービルドで大きく差がつきそうなゲームだよな……



 【お母さん相手に火遊びなんてダメよ?

 そんな悪い子にはおしおきね!

 【水流ー感涙の型】よ!】



 【潮騒ローラ】は新たな【生樹技能(ツリー)】の【水流ー感涙の型】を使ってきた。

 目から涙を流したかと思うと、それが波となり俺たちへと襲いかかってきたのだ!

 そんなことあるか!?



 【お母さんを泣かせちゃだめよ?

 ……これを教訓にして反省しなさいね!】



 そんな涙声で言ってきても可哀想とかよりも、波の勢いへの警戒心の方が強いぞ……

 これは……このままだと俺たちだけじゃなくて周りの他のプレイヤーたちへの被害も甚大になる!

 ただ逃げたり、俺たちだけ防いでいては底下箱庭側の戦線が崩壊するだけだな!?


 

 「【包丁戦士】、どうするんだyo!

 スキップしても後ろのプレイヤーたちは守れないyo!」



 ちっ、俺も【アンソニー】のスキップで防げないか脳裏によぎったんだが、それが出来る可能性をあらかじめ否定されてしまったか……

 だったらあの【生樹技能(ツリー)】……【水流ー感涙の型】を止めるしか方法は無いってことか!

 ギリギリ条件は満たしてるし、これで行けるか一か八かで試してみるか……

 頼む、【生樹技能(ツリー)】相手にも効果があってくれよ!?



 スキル発動!【刻犬舌針】!



 俺が使ったのは【刻犬舌針】。

 舌針を生み出し、それが逆時計回りすることで迫りくる涙を真逆方向……つまり【潮騒ローラ】の目まで逆流させていく。

 ……よしっ、スキル相手じゃなくても【刻犬舌針】の巻き戻し効果は通用するんだな!

 これが分かっただけでもかなりの儲けものだ!



 【お母さんの中に帰りたがってるのかしら?

 でも目がうるうるして痛いわ……】



 よしっ、逆流させてクリティカルダメージを与えられたようだな!

 あれだけの巨大だとしても、目の強度は上がっていないらしく弱点として機能したようだ。

 目に逆流させるなんて使い方普通は出来ないんだが、向こうの【生樹技能(ツリー)】の発生源が目でカウンターが狙いやすいものだったからできた芸当ってわけだ。







 中々見るに堪えない絵面ですけどね。


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ