2022話 謎お母さん登場
【あらあら、先ほどからお母さんの攻撃を防いじゃって。
いけない子ね】
このクジラも積極的に喋りかけてくるのか、それにお母さんって?
【まあまあ、新しい子が来ていたのね!
いらっしゃいませ!】
「【包丁戦士】、このクジラは自分のことをお母さんって自分で呼んでるんだyo!
そして名前は【潮騒ローラ】だyo!」
一人称がお母さんっ!?
ややこしいやつだな!?
……だが名乗ってたんだな!
その母性が仇になるってこともあるってことを覚えておけ。
お前の名前は【潮騒ローラ】だ!
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】が【名称看破】しました】
【【水流科】のプレイヤー【潮騒ローラ】】
【【包丁戦士】「その母性が仇になるってこともあるってことを覚えておけ。
お前の名前は【潮騒ローラ】だ!」】
【【名称公開】により知名度に応じたステータス低下効果付与】
【あらあら、まあまあ!
勝手にお母さんを弱らせて困らせるなんていけない子ね】
【名称公開】のデバフを【潮騒ローラ】に与えていったのだが、とくに堪えたような様子はない。
デバフを意に介してないようだな。
まるで悪戯っ子をあやす感じで接してきた。
他のモンスタープレイヤーたちよりもさらに何倍も大きい巨体を揺らしながら笑う様子は母性より恐怖を感じてしまうがな!
「【マキ】もこの【潮騒ローラ】にやられたんだyo!」
【お母さんは水流科のセクションリーダーなのよ。
【マキ】ちゃんもMVPプレイヤーっていう底下箱庭側の代表みたいで強かったけど、親離れ出来てなかったわ】
【マキ】も手篭めにされて負けてしまったようだな……
【マキ】にとって性格的にもやりにくい相手だっただろうし、【潮騒ローラ】は見た目からして体力は豊富そうだから無敵時間を過ぎるまで粘られたとかだろう。
……とはいえ、包丁で切りつけた感じからして
、肉質的に防御力そのものは高くないようだ。
あくまでもヒットポイントを高めにしてあるってことっぽいぞ。
【まずは【包丁戦士】ちゃんに歓迎の一撃をしてあげるわよ【水流ー水球の型】】
【潮騒ローラ】が挨拶代わりに放ってきたのは水の球だった。
【潮騒ローラ】の身体の半分くらいの大きさの水の塊が巨大クジラの口元に生み出されたわけなのだが、普通にプレイヤーの身体の大きさの半分だったらただのスキルで済むところを【潮騒ローラ】の【生樹技能】は元々の身体の大きさが規格外ということもあってか、その一撃だけで戦場を崩壊させかねない規模になってしまっている。
あんな攻撃ばっかり撃たれてたのかよ!
よく戦線をここまで維持し続けていたな!?
「それは【マキ】が身体を張って受け止め続けていたからだyo!
それくらい器の大きなプレイヤーになってたってことだyo!」
【マキ】の活躍に依存してなんとか……って感じだったんだな。
タンクとしての役割を存分に発揮して死に戻りしていったようだが、今度はどう防いだものか……
「忘れてもらったら困るyo!
スキップ!」
俺たちが窮地に陥った瞬間に【アンソニー】の【修練武器上位解放】の【命運産載札】によって水球は俺たちをすり抜けていき、明後日の方向へと消え去っていったようだ。
あの規模の攻撃もやり過ごせるのか!?
中々お前の【修練武器上位解放】も凄いな!?
「でも回数制限があるから要注意だyo!」
この力を過信するなってところか。
使える回数に限度があるならそりゃそうなるか。
頼りきりにしてて、肝心な時に使えなくなったらゾッとするしな。
【あらあら、お母さんからの歓迎を無視するなんて失礼な子ね?
やんちゃなのは可愛いけれど、ほどほどにしないと……メッよ!】
【潮騒ローラ】はそのように俺たちを諌めながらも、尻尾を使ってテールスイングを繰り出して周囲一帯にいたプレイヤーたちごと……天昇箱庭側のプレイヤーも含めて薙ぎ払っていった。
おいおい、豪快というか大味過ぎる攻撃だな!?
なまじ身体がデカイだけあって、通常攻撃も全体攻撃並みの攻撃範囲になるのってずるいだろ!
【もう一回行くわよ!】
くっ、二回攻撃っ!?
勘弁してくれよ!
底下箱庭側のプレイヤーでは実現できない挙動ですね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】