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202/2242

202話 復活のμ

 はい、というわけで入ってしまいました新緑都市アネイブルの初心者ダンジョン!


 ダンジョンは洞穴のような感じだが、岩ではなく樹木の中……みたいで壁が樹だな。


 だが、なんかやけに広く感じるな?


 「うわっ、先輩がお人形サイズになっちゃったッス!?」


 なにぃ?

 俺は【バットシーフ】後輩の言葉の真偽を確かめるべく身体を確認する。

 一見すると異常はない……


 だが、さっき言葉を発した【バットシーフ】後輩の方を見ると遥か上を見上げないと顔を確認できないほど俺の身体が縮んでいるようだ。


 ……なるほどな、これがマスコット枠って名前の由来か。

 これは確かにマスコットって言ってもおかしくないサイズ感だ。

 それに、可憐な乙女の俺が人形サイズになったのなら可愛いだろうよ。


 「……まあ、見た目だけならそうッスね」


 そう、見た目だけならな。

 内面と一致しないのは自覚があるからなんとも反論できないのが悔しいところだ。






 そして、俺たちと同じように隣で騒いでいるのは、ポリンお嬢様と燕尾服女だ。

 

 「ああああああ!!!!!

 お姉さま!!!!

 小さくなっても素敵です!!!」


 「そうかしら?

 ワタクシからすると、あなたが大きくなったように見えて怖いですわ……」


 大きくなくても、そいつはお前にとって怖い存在だから早く逃げることをオススメするぞ!


 「しゃぁぁぁぁ!!!

 お姉さまに気安く話しかけないでと言ったでしょう!」


 猫が威嚇するような声を出して牽制してくる燕尾服女。

 俺が縮んでいることもあって、威圧感と圧迫感が凄い……


 まあ、こいつらと絡んでもしょうがない。

 さっさと進むぞ!


 「りょ、了解ッス!」


 俺は【バットシーフ】後輩の肩に乗って進んでいく。

 小さくなって他人の肩に乗って進むのは新鮮な気分だ。


 「こうやって肩に乗せていると、妖精がサポートキャラクターだったゲームを思い出すッスね」


 たしかにサイズ的に妖精でもいいだろう。

 俺の場合片側だけだが、羽も生やせるし。


 それで、それはどんなゲームだったんだ?


 ダンジョンを歩いていくと敵が出てくると思っていたが、全く何も出てこなくて暇なので後輩と雑談しながら進んでいくことにした。

 後ろの方で燕尾服女の声が聞こえるが、とりあえず無視していく。


 「そのゲームのサポートキャラクターの妖精は序盤に仲間になって、一緒に戦ってくれるッス。

 オフラインVRRPGゲームだったっスから、ストーリーはみんな共通でその妖精と共闘してたと思うッスよ。

 でも、中盤で水晶に封印されたり、闇堕ちしてボスとして立ちはだかったり、後半のパワーバランスについてこれなくなったりしてたッス」


 おいおい、そんなゲームの妖精と俺を比較してたのか……(困惑)

 その妖精完全にネタキャラクターレベルの扱いじゃないか。


 「一応、ヒロイン枠ッスからストーリーの中の流れで見ると、その展開も悪いものじゃないッスよ。

 ……後半のパワーバランスについてこれなくなったヒロインっていうのを除いたらッスけどね」


 やっぱりダメじゃないか……

 ヒロインの扱いに失敗しているゲームってどうなのよ……


 「でも、人気タイトルッスよ!

 昔CMでもいっぱいやってたッス」


 どんなタイトルなんだ?

 やったことはないが、そんなにCMでやってたならタイトルを聞いたことくらいあるかもしれない。


 「【フェアリーアンサークロニクル】シリーズの三作目ッスよ!

 今や子供から大人までやってる人気シリーズなのにやったことないなんて珍しいッスね?」


 ……?

 そんなタイトルのゲーム聞いたことないぞ……

 人気なのはお前の周りだけだったんじゃないか?


 これでも、俺はガッツリというほどではないが人気タイトルくらい一通り触ったりしている。

 だが、そんなタイトルのゲームをやったことはおろか、CMすら見たことない。


 「おっかしいッスね……」


 俺たち二人は首を捻りながら唸って、それでも進んでいく。

 多分触っているジャンルが違うから気づかなかった……と無理やり納得するしかない。


 「アニメとかもやってるッスけど……うーん……」


 考えても答えはでなさそうだぞ?

 それよりも、階段が見えてきた。

 あれをさっさと下って燕尾服女を引き離してやろう!


 「先輩、大人げないッスね……」


 別にゲームだしいいだろ!

 さあ、はやく行った行ったぁ!






    


 俺たちが階段を下っていくと、大きな広間に出た。

 その奥には何やら巨大な物体があった。


 「あれ、動いてるッスよ!

 生き物ッス!」


 おい、ダンジョンの中で動く生き物なんてあれしかないぞ!


 「あれってなんッスか!?」


 【バットシーフ】後輩の言葉に答えるように脳内に無機質なアナウンスが鳴り響き始めた。

 それにしても、あの巨大な物体のシルエット……どこか見覚えがあるんだよなぁ……


 


 【Raid Battle!】




 【兎月舞う新緑の主(廻)】




 【レイドバトルを開始します】




 はぁ!?

 俺の目の前に現れたのは、文字通り、死ぬほど見た巨体の兎だった……








 新規プレイヤーのための復刻レイドボスです。

 ソーシャルゲームではよくあることのようですね。


 【Bottom Down-Online Now loading……】


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― 新着の感想 ―
[良い点] 再現体だし別の身体には意識があるから 完全に別物だろうけど嬉しい再会 尻尾頑張れ どうなっているか分からないけど行動を知り尽くしているから 包丁戦士側に有利そうですね [気になる点] 後半…
[気になる点] これ別世界から来てるんじゃないかな…バットシーフ君
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