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2010/2217

2010話 初戦の感想と伝令役

 「【包丁戦士】さん、結構手痛くやられちゃったネ」

 『思ってたより……強かった』



 あぁ、そうだな。

 正直沸いてきたモンスターと思って侮ってた。

 冒険者ギルドのダンジョンの雑魚モンスターと同じくらいの強さと見積もってたが、普通にゲートキーパー並みは最低限あったので戦力の割り当てや指示を甘くしてしまったところがある。

 ここは素直に反省点だ。 

 


 「私たちがフォローをしに回ってなかったらもっと死に戻りしてたカラネ~

 危険な相手だったヨ」

 『私たちだけならきっと……無傷だった』



 流石に2つ名持ちプレイヤーはモブプレイヤーたちよりは手こずらず、さっさと倒した後に他の負けそうなモブプレイヤーたちを助けて回っていたようだ。

 ……俺も同じ様に動いてたけどな!


 だが、天昇箱庭側のプレイヤーと会わないうちにこの被害状況は正直よろしくない。

 戦力が疲弊して少なくなってしまったら勝てるものも勝てなくなるし。



 「さっきのモンスターたち、口から泥弾みたいなものを飛ばしてきたり小型の砂嵐を起こしてきたりして妙に強かったよな」

 「俺の方はサソリが砂を纏ってきて、ただでさえ固かった外殻が補強されて全然攻撃が通らなかったぞ……」

 「【プロペラ遊人】ちゃんが助けに来てくれなかったら翻弄され続けてた自信あるw」

 「あたしもあの固すぎるサソリに全部攻撃が防がれてたから【短剣探険者】ちゃんが来なかったらダメージレースに負けてたよ」



 戦闘が終わったことで包丁次元のモブプレイヤー同士でさっきの戦闘についての会話をしているようだ。 

 せっかくなので耳を澄ましてもうちょっと聞いてみるか。

 何かこのステージのヒントのようなものが得られるかもしれないしな!



 「動きも何か凄かったよな」

 「こっちの動きを先読みして動いてくることもあったし」

 「あての攻撃も警戒されて全く当てられなかったわん」

 「かと思ったら猪突猛進に攻めてくるモンスターもいたよな」

 「あれはビビったw」

 「何にしても行動が読めなさ過ぎるよな」



 モブプレイヤーたちはモンスターたちの高度な行動パターンについて驚いていたようだ。

 個体差も激しくて、似たような種類のモンスターでも別々の行動をしてくることがあったのでそこで手こずらさせられたみたいだな。

 

 単に強さだけじゃなくて、そういうところからも苦戦する要素があったから俺たちの被害が大きくなったわけだ。

 悔しいな。



 「みんな戦った相手によって多少違う感想があるみたいだけど、個体差が大きかったり、独特な攻撃方法や能力値が気になってるみたいダヨ?」

 『攻撃力が高かったり、防御力が高かったり、素早さが高かったり、攻撃方法が多彩だったり……』



 【短剣探険者】と【プロペラ遊人】は特に色々な個体と戦っていたのでその違いについてより実感していたようだ。

 ……まぁ、俺が感じていたものとほぼ変わらないから目立った収穫があったわけじゃないんだが、逆に言えばある種の確信を得られたわけでもある。


 俺の予感が合っているかは知らないが……






 ……そう考えながらみんなで一旦休憩していると、スタート地点に走らせていた棍棒モブプレイヤー伝令役が戻ってきていた。



 「なんだ、みんな休憩中かよ。

 俺だけ走って疲れただけじゃ……

 いや、何か人数減ってる?」



 あぁ、さっきモンスターと一戦交えていてな。

 それで少なくない人数が死に戻りしたんだ。



 「包丁次元は俺が走ってる間に襲われてたのか。

 実は蛇腹剣次元も、ステッキ次元も先に戦ってたみたいだぜ?」



 俺たち以外も襲われてたのか……

 それぞれの次元がバラバラの方向に動いていたのに、別々で襲われてるって中々妙な話だよな。


 だって基本は拠点とか砦の近くに防衛用のモンスターを配置したいはずだろ? 

 なのに全く違う方向にいるってことは、おそらく拠点が複数あるか、少なくとも別々の指揮官がそれぞれ動かしていたのだと思われる。

 


 「【ロイス=キャメル】さんも同じように考えてたみたいだってよ。

 ……【包丁戦士】ってやっぱり狂人って言われてる割には頭はキレるんだな、物騒なのはずっと変わらないだろう印象だけど意外だった」 



 俺を誉めるのか貶したいのかどっちなんだ……

 いや、一応伝令役を放棄せずに果たしてくれてるんだからそれ以上の文句は俺から言うつもりはないけど。



 ちなみに次の伝令として、モンスターの個体差が激しいことや砂を用いた攻撃をしてくるモンスターがいっぱいいたことを伝えてきてくれ。

 あと、包丁次元のプレイヤーは割りと消耗してしまったこともな。



 「ん?

 こっちは砂なのか……?

 まぁ、もう一走りしてくるかぁ……

 リアルに戻ったらマラソンでも始めてみるかな、ハハハ……」



 そう言い残して棍棒モブプレイヤーは再びスタート地点への駆け出して行くのだった。







 一人を酷使し過ぎているのでは?


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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