2004話 教え子たちの特徴
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【マキ】が次の戦いに連れていきたいプレイヤーについて聞いていたな。
【アンソニー】という【修練武器上位解放】の使い手のようだが、それ以上の情報は仕入れられなかったのでぶっつけ本番で確認するしかなくなった。
まぁ、それなりに強いっぽいしアドリブでなんとかなるだろ!
というわけでやって来ましたステッキ次元の専用エリア……開襟町ステッキ!
ランドマークである時計塔の付近にある喫茶店でステッキ次元のMVPプレイヤーである【ロイス=キャメル】とお茶をしていた。
「ふむ、先に【マキ】君と選抜メンバーについて話していたのか。
【アンソニー】君が来るのは中々の妙手だが、私たちにどう転ぶのか分からないのが懸念事項だ。
……【マキ】君が語るつもりがないのなら私からこれ以上の言及も避けるが」
【ロイス=キャメル】は【アンソニー】を知っているのか!?
「確かに知っているとも。
ステッキ次元と蛇腹剣次元との次元戦争に参加してきていて戦ったことがあるからね。
お嬢さんとは別の意味でやりにくい相手だったのは間違いない」
【ロイス=キャメル】にそこまで言われる【アンソニー】とはいったい……?
強いというよりはくせ者っぽい口振りなのでそこだけが怪しいよな……
それはそれとして、【ロイス=キャメル】は誰を連れていくつもりなんだ?
「そこなのだが、教え子を連れていくべきか別のメンバーを連れていくべきなのか悩むところだ。
純粋に勝利だけを狙いに行くのであれば適任者は何人か思いつくが、その一方で指導者としてさらに教え子たちを成長させるためにミチの戦場へ連れ込みたいという気持ちもある。
そこを天秤にかけても水平な状態でどちらにも傾かないのだ」
あー、そういう時ってあるよな。
どの選択肢も選びたいが、どれかしか選べない時になりがちだ。
何なら今俺も同じ様にメンバー選びで悩んでいるところだし。
「お嬢さんもまだ決めていなかったか……
その様子を見るに、私が誰を選ぶのかを聞いてから決めようと思っていたのだろう。
そうであるなら、ここで私が決めてしまうのが最善か」
そうしてもらえると俺も選択肢が絞りやすくなって助かるぞ!
「私としては副官に安定感のあるプレイヤーを置いて動きたいところだ。
そうなると指揮系統の上層を代理出来るように教育したホルムズを連れていくべきか?
それとも、ミチに対する察知と感知力の高さを見込んでエラにすべきか……
教え子を連れていくとしてもこの二人から選ぶのにいつも悩んでしまうのは私の悪い癖だろう」
まぁ、どっちも育成途中なんだろうし、特徴も違うから両方とも選びたくなる気持ちは分かるぞ!
賢く立ち回るのは間違いなく【シャルル=ホルムズ】だろうし、臭いで探り分けるという嗅覚に長けた【エラ=サンドレラ】の唯一無二性はいつも手元に置いておきたいしな。
「エラの唯一無二性は確かにあるのだが、一方でホルムズにも同じような特性がある。
拡張感覚で痕跡を辿る力もあらゆる場面で有用だ。
そして、ああ見えてエラも賢く立ち回る時もある。
副官に据えるにまだ時期尚早な成熟度ではあるが……」
俺が言及した理由だけだと二人とも共通してメリットがあるみたいだな。
そうなるとなおのこと悩むぞ!?
そうして二人で悩むことしばらくして……
「……やはり敵の戦力が読めない以上、今回はムラッけのあるエラではなくホルムズを連れていくことにしよう。
安定感ということを重視するならこちらが安牌だろう」
【シャルル=ホルムズ】が連れていかれることになったようだ。
これで少しは俺もメンバー選出がしやすくなったな!
あとはどう当日を迎えるかだ……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】