2003話 面白アンソニー
【Raid Battle！】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン！
昨日は【検証班長】に次の戦いに向けてのメンバー選出案を相談していたな。
情報系クランのクランリーダーということもあってか、あの後も何人か面白い候補を出してくれた。
実際どの案を採用するかは……まだ考え中だな。
まだ時間はあるっぽいし、ゆっくり考えておこう。
というわけでやって来ました蛇腹剣次元の専用エリア……安寧村ジャバラケン！
ここで俺は【マキ】と落ち合っていた。
「変態お姉さんは次の戦いに誰を連れていくのか決めたの～？」
やはり【マキ】もそこが気になっていたか。
同じチームとして戦う統合関係だから味方の編成は気になるよな……
【マキ】も幼いとはいえMVPプレイヤーとして戦ってきているわけだし、こういうところにもきちんと気が回るというわけだ。
だがおあいにく様、俺はまだ決めてないんだ。
候補は色々といるんだが、一人だけ選んで連れていくってことと相手がどんなことを仕掛けてくるのかすら分からないので選びやすい基準がなくて困っているぞ！
「たしかにそれは困るよね～！
でもうちはそんなに難しく考えないようにして決めたよ～！
【インフォ】にも聞いたんだけど、今回はうちが直感で選んだ方がいいって言ってたから自分で決めたんだよ～」
【マキ】も情報系プレイヤーの【インフォ】にアドバイスはもらいに行っていたんだな。
そこは俺と同じで、自分で選んだ方がいいと言われたところまで同じだったわけだ。
だが、俺はそこから【検証班長】にアドバイスをさらにねだったのに対して、【マキ】はそれ以上を求めずすぐに自分だけで選んだ。
そこが俺との違いだな！
……それで誰にしたんだ？
俺が思いつくプレイヤーといえば、【ヲ神死弖煌邪】、【ネコドラ】、【エヴォル】辺りだが……
「うちが連れていくのは【アンソニー】だよ～！」
【アンソニー】！？
知らない名前だな……
……いや、やっぱりなんか聞いたことある気がする。
だが、蛇腹剣次元のプレイヤーの名前なんて次元戦争で敵か味方で戦ったやつしか基本的には覚えてないはずだが……
「変態お姉さんが聞いたことあるのは公式イベント『【菜刀天子】のワンダフルスタンプラリー』で5位に【アンソニー】がランクインしてたからじゃないかな～？
はっきり覚えてなくてもそこで見たり聞いたりしたかもよ～！」
……言われてみるとそんな気がしてきたな。
ただ、どっちにしても特に俺との接点があるプレイヤーじゃない。
これまでの次元戦争でも印象に残ってないくらいだからそこまで強いプレイヤーじゃないんだろうが、どんなプレイヤーなんだろうか？
「【アンソニー】は【修練武器上位解放】が面白いんだよ～！
使うのはあんまりじゃないんだけど、前に教えてくれたのが見てて楽しかったから連れていきたくなったんだよ～！」
なんという抽象的な選出理由なんだ……
だが、【修練武器上位解放】が使えるということはそれなりにヤれるプレイヤーの括りに入れてもいいかもしれない。
どんな力を発揮するのかは知らないが、【マキ】が『面白い』というのなら俺はそれを信頼して一緒に戦うしかないだろうよ。
【マキ】は自分の選出に自信を持っているようだし、そこに水を差すのは野暮というものだ。
俺が知っているプレイヤーのことなら一言二言口を出すことをしたかもしれないが、全く情報がないので【修練武器上位解放】の使い手だということで評価するしかない。
「きっと変態お姉さんも気に入ると思うよ～！
戦いもそこそこ強いもんね～！」
【マキ】の言うそこそこっていうのはわりとヤれる方だろう。
少なくとも包丁次元でいう２つ名持ちプレイヤーくらいの基準と見てもいい。
なら、なおのこと連れていくのに異論はないな。
何より意表が突けるはずだ！
意表を突くのはいいですが、真っ当に勝てるプレイヤーを選出してもらいたいものですね……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】
