1997話 溶岩ダンジョンのモンスターたち
【ロイス=キャメル】は跳ね回りながら、【マキ】はチュートリアル武器の巨大蛇に跨がりながら、俺は天子の翼で飛翔しながら溶岩ダンジョンを進んでいっている。
「溶岩は当たらなければいいんだけど、暑いのは嫌だよ♪
早く一番奥まで行きたいな♪」
「うちも同じだよ~!
どんどん体力が無くなってくからゲートキーパーと戦う時に大変だよ~!」
二人は溶岩への警戒度を下げていた。
各々の移動方法で溶岩を避けられると分かったことによる安堵感もあるだろうな。
その一方で、ダンジョン全体に広がる熱気ダメージで体力が削られているのは避けられていないのでそちらを警戒し始めたようだ。
まぁ、即死するほどのものでもないし微々たるダメージなんだが、時間をかければかけるほど後半で戦う予定のゲートキーパーの時に被弾できる回数が減ってしまうから時間をかけずに熱気ダメージはより少なくした方がいいってわけだな!
そして、しばらく進んだことで俺たちの行く手を阻むモンスターたちも現れるようになってきた。
「あれは……小鳥かな~?」
「【包丁戦士】ちゃんが集めてきた情報だとファイアバードらしいよ♪
小さくて可愛い見た目だけど、全身が炎で作られてるから当たったら火傷しちゃうみたいだよ♪」
普通に俺の天敵なんだよなぁ……
包丁で近接攻撃をしていると飛び火してきそうだし、俺自身の身体が火に弱いアバターになってしまっているのもある。
「それならキャメルちゃんに任せてね♪
大罪スキル発動♪【色欲麗手】♪」
ここで【ロイス=キャメル】が使ったのは【色欲麗手】というスキルだ。
スキルの発動を宣言した直後に【ロイス=キャメル】の身長と同じくらいのサイズのピンク色の手が生み出されて、それがファイアバードへと向かっていく。
……手を出してるが、一応遠距離攻撃なんだな!?
「わわっ、ピンク色の手で鳥さんを掴んじゃったよ~!?
火傷しないの~!?」
【マキ】が驚いているようにピンク色の手は炎の身体を持つファイアバードを掴んでもものともせず、そのままファイアバードを拘束し続けていた。
「【マキ】ちゃん、あとは任せてもいいかな♪
【包丁戦士】ちゃんの包丁だと倒すの手こずりそうだからね♪」
「任せてよ~♪
え~い!」
【ロイス=キャメル】が拘束しているファイアバードに向かって【マキ】はそのまま巨大蛇腹剣を振り回して激突させていき、壁面に向かってそのまま叩きつけていったぞ!
流石にあれだけの質量の一撃を無防備な状態で受けてしまったファイアバードはそのまま力尽きたようだ。
うわっ、この連携中々エグいんじゃないのか!?
これまでシナジーとか見つけられなかったコンビだが、意外と相性がいいのかもしれない。
それはこのダンジョンアタックの中で分かっていくことだろうが、幸先のいいスタートなのは間違いないぞ!
……と油断している二人の後ろにファイアリザードが這い寄ってきていたので投擲用のペグを投げて首もとを的確に撃ち抜きキルしておいた。
「えっ、なになに~!?
何があったの~!?」
「ふむ、私も全く気がつかなかった。
これほどか弱い気配を放つモンスターを瞬時に見つけて対応するとは……やはりお嬢さんは一流の斥候としての才能や実力、そして経験を兼ね備えているようだ。
軍に一人は確実に欲しい人材だよ。
一人いればどのような規模の戦いかによるが、直接戦闘が始まる前の期間だけでも1週間で10人は救われることだろう」
【マキ】は何があったのか気がついていないようだ。
その一方で、俺がファイアリザードを仕留めたことに気がついた【ロイス=キャメル】は俺の斥候能力の高さを誉めてくれていた。
戦争前提、軍役という少しヤバめな視点だが誉められていることは事実なのでありがたく言葉だけ受け取っておこう。
そしてその後はファイアバードを【マキ】と【ロイス=キャメル】が連携して倒していき、感知が困難な気配隠蔽能力を持つファイアリザードを俺が見つけ出して奇襲をされる前に倒していくことでダンジョンをさらに攻略していくのであった……
自然とチームプレーが出来ているのは見事なものですね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




