1995話 集まらない素材
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日はMVPプレイヤー三人……俺と【マキ】と【ロイス=キャメル】で会議をしていたな。
それでプレイヤー主催のイベントとしてレイドボスの像を作ろうという話になった。
というわけでやって来ました草原エリア!
ここでさっそく俺たちが出したオーダーに対しての素材が集まってきているわけだが……
「やはりレイドボス素材の提供はかなり少ないか。
初期構想時点で想定していたことだが、貴重なものを公共事業のようなプレイヤーメイドイベントへ提供するという者は稀というわけだ」
「うちも何個か持ってきたけどまだまだ足りないよね~
でも他のことにも使いたいから全部は持ってこれなかったよ~!」
そう、MVPプレイヤー三人が合同で主催したこともあり興味本位で参加するプレイヤーの数自体はかなり多くて、ほとんどの素材は比較的すぐに集め終えられそうだった。
だが、その一方でレイドボスの素材は基本的にはユニーククエストやレイドボスから直々に受けたクエスト、冒険者ギルドの報酬、そしてレイドボス討伐中などでしか手に入らないので既に自分で使用していたり使用する予定のやつが多いのだ!
だから全然集まって来ないぞ!?
「各次元の生産プレイヤーたちがさっそく既にある素材だけで作ることが出来る像のパーツを作り始めているからこそ、その流れが止まらないうちにレイドボス素材が手元にある必要がある」
「でもそんなに早く、多く持ってくる人っているかな~?」
いや、いないだろうな。
いくら俺たちが声掛けをしたところで出してくれる数がごく僅か増えるだけだろうよ。
それならやることは一つしかない!
主催の俺たちが自力で集めてくることだ!
「やはりお嬢さんの意見も私と一致していたか。
結論としてはそこしかないだろう」
「でもどうやって集めるの~?」
そこは色々と選択肢はあるが、数多く集めるなら一つしかない。
冒険者ギルドの高難易度ダンジョンの周回だ!
くそ面倒な条件のダンジョンの踏破報酬で人数分のレイドボス素材がもらえるからな。
俺一人だったら正直挑みたくないやつだが、MVPプレイヤー三人で挑むならクリア出来るだろうし一度慣れてしまったらそのノウハウを使って周回速度もどんどん上がっていくのは間違いない。
「三人で冒険者ギルドのダンジョンにいどむの~!?
いいね、楽しそうだよ~!」
「そのような余興も悪くない。
三人合同でダンジョンアタックをしている光景を見せること、三人でレイドボス素材を集めて提供していること、それぞれの噂が広まること……これらが達成できれば後に続くプレイヤーも増えるのと、今回の本来の目的である次元間の友好的な印象を裏付ける証拠になる」
【ロイス=キャメル】と【マキ】的にはオッケーっぽいな。
それなら話が早い。
どのレイドボスの像を作るのかも決まっているし、それに必要なレイドボスの素材も分かっているので自然と周回すべきダンジョンも選択肢がほとんどないわけだからだ。
あとはそこに挑むために準備をするだけだ。
高速周回をしたいからある程度情報を集めて、共有した上で連続で高速周回するための消耗品を備蓄しておきたい。
毎回集め直していたら効率もかなり下がるだろうし、一度に買い込めるなら値下げ交渉もしやすくなるだろうしな。
それにしても包丁、蛇腹剣、ステッキの組み合わせで戦った記憶がないからどんな連携になるのか練習もしてないから動いてみないと分からないがMVPプレイヤー同士ならぶっつけ本番で何とかなるだろうし、現場で調整するのが一番肌感にも合うような気がするな。
それは計画ですか……?
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




