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1983/2109

1983話 専用エリアダンジョンの仕様と凝り固まった思考

 【流刑塔迷宮 色欲扇情塔ステッキ】の第二階層を攻略中の俺と【ロイス=キャメル】。

 ダンジョン内の螺旋階段を登っていく最中に遭遇したサキュバスのようなモンスターを包丁で切り裂いていくわけだが、ここまでは特に苦戦しないな。



 「ふむ、やはり女性プレイヤーであればサキュバス相手に立ち回るのが大いに楽になるのは間違いなさそうだ。

 私相手だと魅了攻撃を仕掛けてくることで金縛りのような状態異常を付与してきたのだが……」



 なるほど。

 異性特化型のモンスターだったというわけか。

 MVPプレイヤーが男だったから男への効果があるサキュバスはモンスターとして選出されたのだろう。

 じゃなかったらMVPプレイヤーが女ならかなり余裕になるしな。



 ……あっ、もしかしてお前!?



 「聡明なお嬢さんは私の攻略方法に気づいたようだ。

 そう、【色欲】の大罪の権能を使って幼女へと姿を変えることで魅了攻撃をさせないようにしていた。

 相手の姿依存で行動パターンが変わるようだからだ」



 こいつは大罪の権能で外見の性別を変えられるからな……

 性別依存攻撃とか、性別依存武器への対応がしやすいという特徴があるのだが今回はそれが存分に活かせたわけだ!

 中々この性質を活かせる場面ってそんなに無さそうだけど。



 「お嬢さんの言うようにこれを最大限に活用する戦場はほとんどない。

 どちらかといえば私自身の趣味嗜好を満たしてくれることが主な目的となる、『一日一幼女』……これが私の座右の銘だ。

 外部から摂取出来ないなら自給自足するしかないという結論になるのは自明の理だろう?」



 いや、その結論はおかしい!

 少なくとも英国紳士風の男の言うセリフじゃないぞ……



 「それはさておき、専用エリアのダンジョンはやはりMVPプレイヤーの烙印された大罪の権能を活用することを求められているのはほぼ確実だろうな。

 【ギアフリィ】君のパイルバンカー次元の専用エリアにあったダンジョンに挑んだ時も、最終的に【ギアフリィ】君の【傲慢】の権能が攻略の鍵になったからこそ紐付けることができた」



 へー、そうなのか。

 【マキ】の蛇腹剣次元の専用エリアにあったダンジョンの攻略はどうやっていたか……?

 あぁ、俺の奇策でクリアしたから権能は大して関係なかったか。



 「お嬢さんならばそのように打破することも可能だろうな。

 何せ最強のプレイヤーである【ランゼルート】に勝ち続けているのだから。

 その柔軟な発想力には私も脱帽してしまうよ」



 そう言いながらシルクハットを外してわざわざ俺に一礼してきた。

 そこまでされるほど大したことはしてないんだけどな……



 「柔よく剛を制すという言葉を日本人から聞いたことがあるのだが、おそらくそれに該当するのだろう。

 圧倒的力の持ち主に対して、のらりくらりと相手を翻弄するような動きで最終的に勝つのだから見事なものだ。

 私は軍役の経験からどうしても理にかなった戦術論しか思いつかない固い頭になってしまっているからこそ、お嬢さんのような固定観念に囚われない若い思考が羨ましくて仕方がない。

 このように考えるときに老いを感じるのだよ」



 【ロイス=キャメル】はそう自嘲しながら俺へと淋しそうな視線を飛ばしてきていた。

 その歳で考え方をガラリと変えるのは中々難しそうだもんな。

 表面的にやることは出来たとしても根本的な考え方は変えられないからやろうとしても限度があるわけだ。

 


 「老兵に許されるのは後続の人材に経験を伝えることだな。

 私は少し前からそれに注力しているのだが、それはお嬢さんも知っているはずだ」



 赤ずきんロリの【エラ=サンドレラ】とか探偵風ショタの【シャルル=ホルムズ】が俺の知っているステッキ次元プレイヤーの例だな。

 この二人は【ロイス=キャメル】のことを先生のように慕っているからよく分かる。

 それに教えに忠実で、幼いながらも戦術論に基づいた堅実的な動きをしてくるから中々厄介だ。

 


 「そう言ってもらえると私が自ら育て上げた甲斐があるというものだ」






 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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