1981話 時計塔の内部情報
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【ロイス=キャメル】に案内されてステッキ次元の専用エリアである【開襟町ステッキ】へと立ち入ったんだったな。
俺が体験していた前例である蛇腹剣次元の専用エリアである【安寧村ジャバラケン】の時とは色々と異なるパターンが発生していたので驚いたぞ……
というわけでやって来ました【開襟町ステッキ】。
引き続き【ロイス=キャメル】に案内されて時計塔のところまで来た。
昨日あの後ぐるりと回っただけでそれぞれの詳しい説明は受けていなかったので、俺が特に気になったこの時計塔について教えてもらおうと思って案内してもらったのだ。
この時計塔はただのオブジェクトなのか?
「……やはりそこが気になるか。
目の付け所が正確でよろしい。
お嬢さんの気にしているように、この時計塔はただ時を刻むだけではないのだ。
一日一度、時計塔の入口が開きその中へと入ることが出来るようになっている特殊仕様となっているが、開く時間はまだ規則性が見つけられていない」
一日に一度か。
しかもどの時間に開くのかは今のところランダムっぽいようだ。
だが、そんな面倒な条件で開く時計塔の中には何があるんだ?
「私は一度入ってみたのだがダンジョンが広がっていた。
階段で上層階へと上がっていくタイプだ。
自力で二階層へと上がることが出来たのだが、そこのレイドボスに敗れて退去させられてしまい困っていた。
そこで包丁次元からの助力を得られないか出歩いてみたところ【師匠】の後継者であるお嬢さんに出会ったという経緯となっている」
なーるほど!
【ロイス=キャメル】の行動の流れがわかったから色々と腑に落ちたな。
というか自力で第一階層をクリアしたのはさすがだな!
ゲートキーパーがボスとしていたはずだろうし、【マキ】と一緒に挑んだ時もそこそこ苦戦した記憶がある。
「私の場合は【色欲】との相性が良いからだろう。
君たちはまだ大罪との向き合い方が分かっていないのもあって苦戦したのだろうが、ゲートキーパー相手ならそこを押さえていれば充分に勝機はある」
まぁ、そういうものなのか……?
確かに【ロイス=キャメル】はMVPプレイヤーの中でも圧倒的に大罪のことについて理解しているっぽいし、その【ロイス=キャメル】が言うのなら一考の余地はあるだろう。
だってあの【ランゼルート】よりも大罪要素を進めているんだからな!
「そこまで持ち上げられてしまうと年甲斐ながら照れてしまいそうになる。
だが、一方で事実でもあるからこそこの要素を強みとしてお嬢さんに情報提供したわけだ。
有効活用出来そうかな?」
うーん、それは難しいだろうな。
俺も地道に大罪の進行をしているつもりだが、MVPプレイヤーの中でも進み具合は下から数えた方が早い。
その真髄を身につけたいところなのだが……
「それは己の生活の中で見つけられるのが一番身になることなのだが……
何事にも近道というものには欠落があったりする。
そこを弁えていなければ大罪が思ったように進まないのも無理はない。
精進することだ」
そう言い残して【ロイス=キャメル】は去っていってしまった。
その後ろ姿はどこか淋しそうなものだった……
淋しそうなだったり、悲しそうだったりする……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】