1980話 開襟町ステッキと見覚えのあるランドマーク
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は無限湖沼ルルラシアに行って【釣竿剣士】と出会ったと思ったら【ロイス=キャメル】とも出会ってしまった。
本当はステッキ次元の専用エリアを探していただけだったのだが、先にステッキ次元のMVPプレイヤーに出会うとは流石に予想外だった。
蛇腹剣次元の時は【マキ】は専用エリアから出られなかったからな……
「お嬢さん、君が来てくれるのを待っていたよ。
では私の率いるステッキ次元の専用エリアへと案内させてもらおう。
エスコートは必要かな?」
そう言って手を差しのべてきた【ロイス=キャメル】。
別にエスコートされるなんてガラではないんだが、こんな機会も中々無いのでご厚意に甘えさせてもらおうじゃないか。
……ということで手を握り返しておいた。
「おやっ、これは予想外の反応だ。
てっきり手痛く断られるものだと思っていたが、お嬢さんをエスコート出来るまたの無い機会だ……紳士的にエスコートしてみせよう」
向こうも断られる前提で俺に提案していたようだ……まぁ、俺の普段の振る舞いを見ていたら断られるのは承知の上だろう。
それでも誘ってきたのは一種のロールプレイか、それとも礼儀としてだろうな!
というわけで【ロイス=キャメル】に手を引かれながらたどり着いた場所には少し前の時代のイギリスを思わせるような建築物が並ぶ都市が出来上がっていた。
沼地の隣にこんなエリアが出来上がるとは誰も予想しなかったはずだが……
そして、その境目に足を踏み入れてみると……
【個人アナウンス】
【【包丁戦士】が称号【色欲たるステッキの管理者】を獲得しました】
【称号の効果で【Bottom Down】!】
【【包丁戦士】の深度が157になりました】
【ワールドアナウンス】
【称号【色欲たるステッキの管理者】を保有しているプレイヤーが生まれたため、包丁次元のプレイヤーはステッキ次元の専用エリア【開襟町ステッキ】への行き来が可能になります】
管理者称号とワールドアナウンスが流れたな!
管理者称号は蛇腹剣次元の時にも手に入ったから予想していたが、ワールドアナウンスの方は予想外だったな……
今回は既に包丁次元のプレイヤーが俺以外も入れるなんてな。
色々と違いがあって困惑してるぞ(困惑)。
【安寧村ジャバラケン】は閉鎖的な入口で来るものを拒むような作りになっていたがここは境目が普通に地繋ぎだから他の包丁次元のプレイヤーも入れるんだろう。
次元ごとの性質なのか、MVPプレイヤーの性質なのか、蓄えているリソース量の違いなのか……
この辺りは謎に包まれているぞ!
「お嬢さんはよく考えているようだ。
とはいえ判断材料が少ないから考察を深められないという現実もある。
そこはあくまでも限度があるということを弁えている必要があるか」
俺の独り言を聞いていた【ロイス=キャメル】はそのように返答をしてきた。
まぁ、俺と【ロイス=キャメル】で考えて同じ結論までしかたどり着けないならそうなんだろうな。
「では気を取り直してこの専用エリア……【開襟町ステッキ】のメインランドマークへ案内しよう」
……そうして案内された場所は現実世界にもあるランドマークに酷似しているものがあった。
一本の高く聳え立つ塔に目立つような時計が取りつけられている、ちょっとレトロ感もあるな。
これは……時計塔かよ!?
「私も馴染みのあるものに近いものがあって驚いたが、お嬢さんも驚いてくれるとはエスコートした甲斐があったというもの。
すぐにその反応が出てくるということは本物を見たことがありそうだが」
あぁ、時計塔は見たことがあるぞ。
海外へは行く機会が多いからな。
有名どころはある程度見てるからすぐに反応してしまうぞ……
劣化天子はポーカーフェイスが苦手ですからね。
搦め手を使うわりには意外な側面ではありますよ。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




