1979話 北の杖
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【検証班長】に【山伏権現】からのメッセージについて色々と聞いていたんだったな。
【検証班長】の結論としてはとにもかくにも、俺たちと強制的に協力関係になったステッキ次元との相性が鍵になってくるということだった。
というわけでやって来ました新緑都市アネイブル。
ここでステッキ次元の拠点となるエリアについて調べてみようと思う。
「違和感のある場所?
知らないなぁ……」
「知らん知らん!」
「狂人に語ることなんてない」
「私も探してみたんだけど見つからない」
「【検証班長】に聞いたら?
……えっ、【検証班長】も知らないの」
「【ペグ忍者】も見つけられてないのら~」
結構色々なやつに聞いて回ってみたがどうやら知っているやつは誰一人いなさそうだった。
やはり聞き込みでは見つかりそうにないな。
それなら俺が自分の足で探しに行くしかない!
というわけでやって来ました沼地エリア……無限湖沼ルルラシア!
人の多い場所で聞き込みをして見つからないならあまり人気がないエリアにある可能性が高いと睨んだわけだ。
そうして来てみたら衝撃の光景が俺の目の前にあった。
「その話が本当だとするなら、お嬢さんはあの【師匠】の後継者ということか。
……ふむ、その立ち振舞いからどことなく感じられる雰囲気からして嘘ではないようだ」
「当然ですよ、生産プレイヤーなら!
ここで嘘をついたとしても次元戦争や他の機会で【師匠】と会ったときにバレますからね。
特にあなたがMVPプレイヤーなら【師匠】と会う機会も多そうですからなおのことです」
なんと北のトッププレイヤーである【釣竿剣士】とステッキ次元のMVPプレイヤーである【ロイス=キャメル】がしれっと会話しているのだ!
ステッキ次元の専用エリアを見つけるつもりが、先にそのMVPプレイヤーを見つけてしまうことになるなんて予想外だったぞ……
「おや、ここで包丁次元のMVPプレイヤーと会えるとは私の運も捨てたものではないようだ。
ステッキ次元をお招きいただき感謝させていただく」
ウサギ耳にシルクハット、そして英国紳士風の服装の【ロイス=キャメル】が一礼をする姿は様になっているな……
というか何で【釣竿剣士】と【ロイス=キャメル】が話してたんだ?
「それはこの無限湖沼ルルラシアにステッキ次元の専用エリアが出来たからですね。
北のトッププレイヤーである私が真っ先に会うのも当然ということです!」
「あの【師匠】の後継者が包丁次元にいるとは知らなかったから驚いたが、実に有益な出会いだ。
これから共に戦っていく仲になるだろうからこそ、友好的な関係を築きたいものだ」
ちょっ!?
無限湖沼ルルラシアにステッキ次元の専用エリアが出来たのか!?
しれっと俺が欲しかった情報が手に入ってしまったわけだが、探す手間が省けたのでありがたいと思っておこう。
そしてステッキ次元側も……少なくとも【ロイス=キャメル】個人としては友好的な様子を表面的に見せてくれているので今すぐ波乱が起きるってわけでも無さそうだ。
ちょっとだけホッとしたぞ……
「とはいえ、ステッキ次元の専用エリアでの制約がまだ厳しくてね。
【包丁戦士】君には一度顔を出してもらいたいと考えていたからそれも踏まえてちょうど良かった。
まだ整備は出来ていないが、君に顔を出してもらうだけでも事態が進むのはパイルバンカー次元を統合していた経験から分かる。
【包丁戦士】もそれは分かるだろう?」
ああ。
蛇腹剣次元の専用エリアを統合した後も同じ様に進んだからな。
MVPプレイヤーの役割が大きく設定されているのは承知しているぞ!
とりあえずは問題なさそうですね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】