1978話 ミチへの予感
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【山伏権現】からのメッセージを読んでいたな。
昨日はあれからすぐにリアルで用事があったのでログアウトしてしまったのでゲーム内で特にやれたことは他に無かった。
そういう時もある!
色々と興味深い内容だったがとりあえずは確認したいことがある。
……というわけでやってきました新緑都市アネイブルにある樹木をくり貫いて作られた建物、クラン【検証班】のたまり場であるメッテルニヒ!
ここの一階にある受付を顔パスでスルーしていき、階段で二階まで上がってくるとそこには頭を悩ませている様子の白衣の男……【検証班長】がいた。
「参りましたね……また場所が不明とは……」
どうした【検証班長】!
俺は【検証班長】の横からぬっと顔を出して近寄りながらそう尋ねてみた。
すると慌てた様子で立ち上がり俺から距離を取ってから再び口を開いた。
「ほ、【包丁戦士】さん……脅かさないでくださいよ……
それはさておき、蛇腹剣次元の時と同じくステッキ次元が統合関係になったということでおそらく存在するであろうステッキ次元の専用エリアの場所を【ペグ忍者】たちに探させているんですよね。
ただ、現状見つかっていないので後はどこを探させたらいいのかと頭を悩ませていたんだよ」
なるほどな。
前の蛇腹剣次元の時の【安寧村ジャバラケン】も中々見つからなかったもんな。
どこにあるか分からないものを探そうとなると一苦労だろう。
とはいえそれはここで話していても解決するわけじゃないので俺からの別の話題でも聞いてもらおうか。
「【包丁戦士】さんからですか?」
あぁ、【ボトムダウンオンライン】環境とは別の環境との戦いが始まるって言われたが反響とか、何が起きそうなのかとか分かる範囲で教えて欲しい。
「ボクの所感になりますけどいいですか?
反響としてはなんとも言えないところですね……
次元戦争のように限られたプレイヤーの参加であれば自分は関係ないと思っている層、拠点施設作成工程が入ってくるので活躍の場面が増えると意気込んでいる層、ミチの強敵との戦闘を望んでいる層、新たな邂逅による革新を求めている層がいます。
それぞれ一定数いるので全体として特にこれ……ということはないかな。
ちなみにボクは新たな邂逅による革新を求めている層だよ」
ふーん、そんな感じか。
その中だと俺はミチの強敵との戦闘を望んでいる層だな。
強いやつをキル出来た時の快感はたまらないからなぁ!
「【包丁戦士】さんならそう言うと思っていましたよ。
それともう一つの質問の、何が起きるかの予想ですけど正直全く分からないですね。
どんな風に環境が違うのかが全く読めないです。
次元戦争だとそれぞれのスキルや種族などのシステムは共通で、そこから独自の成長を遂げている世界同士の戦いでしたけどその延長線上なのか、あるいは全く異なるシステム上で成長を遂げている世界との戦いになるのか……そこが疑問です。
ただ、間違いなく言えるのはステッキ次元の協力はどちらにしても全面的に得られるようにしておかないといけないってところだよ」
そこなんだよなぁ……
幸いにもMVPプレイヤーの【ロイス=キャメル】とは個人レベルではそこまで相性は悪くないところだ。
だが、集団のリーダーとして立ち振る舞うようになった【ロイス=キャメル】と馬が合うかどうかは未知数だな……
俺はどちらかというと圧倒的個人主義だし。
「【包丁戦士】さんよりはボクとの方が集団のリーダーとしての相性は良さそうな気はするね。
だけど戦場での実力が伴っていないからそこで上手を取られる可能性は高そうです、警戒しないと……」
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】