1965話 全力全開!神聖底突破邪剣撃!
「さらに魅せようか。
この一撃で全てを光へ還すよ。
僕の必殺技さ、スキル発動!【必殺名技】ー【聖突破魔剣】!
さらに【修練技上位解放】ー【神聖底突破邪剣撃】!」
【ランゼルート】は聖剣に無色、銀光、黄金色の粒子をそれぞれ宿しエネルギーを集約させていっている。
……あれは不味いと俺の五感全てが警笛を鳴らしており、多分だが回避しようとしたらその一瞬を突かれて敗北してしまうという謎の自信すらあった。
何せただでさえ威力が桁違いだった【聖突破魔剣】のさらに上位互換……【修練技上位解放】ー【神聖底突破邪剣撃】なんだからな!
何度か【ランゼルート】と戦ってきた俺ですらほとんど見たことがなく、【ランゼルート】側もおいそれと使えない手札なんだろう。
そして、俺たちの弱点をわざわざ斬撃に指定してきたことから、この聖剣によるビームはただのビームじゃなくて十中八九斬撃属性を兼ね備えているはずだ。
つまり、かすっただけでも致命傷ってわけだな!
「ふひひっ、これはまずいですよぉぉ!
回避不能で、迎撃も難しいって負け確定ですよぉぉ!?
【包丁戦士】さん何か方法はないんですかぁぁ?」
「【包丁戦士】っち、何か逆転の手段はないの!?」
【キズマイナ】と【キョズコロン】がそれぞれ俺に助けを求めてきた。
迫り来る気配からして手札は増えそうではあるんだが……
だが、二重弱点を付与された【勇者】ではもはや【ランゼルート】に勝ち目はないだろう。
……だからこそ、俺にしか使えない方法がある。
だが、それにはお前たちの命が必要だ。
俺のために死んでくれるか?
「中々重い告白だね!?
でも、【包丁戦士】っちなら……いいよ?」
「ふひひっ、あてぃしは【包丁戦士】さんに返しきれない恩がありますからねぇぇ!
この命存分に使ってくださいよぉぉ!」
そうして【キョズコロン】と【キズマイナ】は俺に手を伸ばして、自身の身体をリソースへ変換して俺に纏わせてきた。
……これで、十全にアレが使えるな。
【ランゼルート】、正真正銘……俺の本気を見せてやるよ!
スキル発動!【夢幻深淵】!
俺がスキルを発動させると夢幻エネルギーと呼ばれるミチのエネルギーと深淵の力が同時に膜のように俺の身体に張り付き始めた。
そして俺は鍵穴へと走り抜けていく。
鍵穴の中に入ると四方八方が真っ暗で何も見えない空間が広がっていた。
そして、今の俺ではここから身動きが取れないようになっているようだ。
さらに、俺の身体に張り付いていた夢幻エネルギーと深淵の力が俺の内部構造を書き換え始めた。
俺の身体に纏わりついた深淵の霧が体内構造を変化させながら、俺の新たな服装となる。
俺の装備は黒色が基調で、赤色のラインが入ったセーラー服となった。
これは内部情報の性質を考えなければコスプレのようなものだろう。
そしてその後には、俺の背後には紫色の瞳のような形をした羽のようなものが左右に合計12枚出現した。
ルル様の翼と違い俺に直接生えるのではなく、背後に浮かぶ形だな。
最後に、俺の包丁にも変化があったようだ。
銀色の鍵……【失伝秘具】の【夢幻銀鍵】を刀身へと取り込むと姿を大きく変え始めた。
包丁の鍔には六匹の狼の頭が現れ、刃を呑み込もうとするかのように威圧感をしてしている。
柄には毛皮がびっしりと生え、末尾には六本の茶色の尻尾が生えた。
今の俺なら【神聖底突破邪剣撃】に対抗できるはず!
何せ【勇者】二人分のリソースを借りてるんだからな!
これですぐ負けたら【キズマイナ】と【キョズコロン】に合わせる顔がないっ!
スキル発動!【フィレオ】!
そして繋げてスキル発動!【暴食狂姫】!
【スキルチェイン!】
【【暴食狂姫】【フィレオ】】
【追加効果が付与されました】
【デメリットは発生しませんでした】
【連鎖発動【暴食斬魚】!】
俺のチュートリアル武器である包丁が全てを斬り食らい尽くす斬魚のオーラを纏い、【神聖底突破邪剣撃】を食らい尽くそうとしている。
「僕の【神聖底突破邪剣撃】を食べてしまうつもりかい?
それはまさに【暴食】だね。
これだけの質量攻撃を食べ尽くせると思っているのかな」
【ランゼルート】の言うように、俺の包丁は食らうための形を保ちながらも、口の中からボロボロにしながら崩壊と再生を繰り返していた。
【暴食】の権能はドレインじみた自己再生能力だからな……
見た感じ消耗の方が多いようだが、それでも【神聖底突破邪剣撃】の勢いをどんどんと削いでいっているっ!!!
いけえええええええぇぇぇっ!!!!!
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




