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1952話 マモレナカッタヨ……

 「どうやら君はネタ切れのようだね。

 となると……先に倒すべきはあっちを優先した方が良さそうだ」



 【ランゼルート】はそう言うとさっきまで攻撃していた俺を無視して最後方にいる【牛乳パフェ】をしとめるために一気に駆け出していった。

 ……くそっ、身体スペックに差がありすぎて全く追いつけない!?

 【シゼンゼプラ】、何とか守ってやってくれ!



 俺自身ではどうしようもないため【勇者】である【シゼンゼプラ】に任せることにした。



 「委細承知した!

 スキル発動!【青雲流風】!」



 ここで【シゼンゼプラ】が発動させたのはスキル【青雲流風】だ。

 これは【流動】の力のデバフバージョンみたいな効果だったはずだな?


 そのお陰もあって猛スピードだった【ランゼルート】の勢いも収まり、【シゼンゼプラ】が何とか追いつくことが出来たようだ。

 


 「【風来の勇者】の名前は伊達じゃないみたいだね。

 スキル1つで僕に追いつけるのは流石だよ。

 風のスペシャリストとはまさに君のことを言うのだと実感したよ」

 「風ばかりで芸がないと他のレイドボスに言われたこともある拙者が最強と名高い【勇者】にそのような言葉をかけてもらい光栄だ!

 だが、胸を借りる気で挑んで負けるわけにもいかぬ!」



 【牛乳パフェ】に向かって移動しながら、【シゼンゼプラ】はその手に持つ日本刀で【ランゼルート】の聖剣と打ち合いをしていっている。

 正直、走りながら剣を振り回すのってかなり無理があると思うんだがそこは二人とも【勇者】の身体スペックをフル活用して自然に攻撃しあっているな。

 

 控えめにいっても激しすぎる攻防なんだが、【シゼンゼプラ】が上手いこと進路を妨害しながら戦っているおかげで【牛乳パフェ】が逃げつつ、【ランゼルート】から距離を保つことが出来ているようだ。

 じゃなかったら既に死んでいる。



 「ケケッ、でも既に死にそうなんだぞ……

 激闘の渦中にいるからいつ巻き込まれて死に戻りするのかびくびくするしかないんだぞ!」



 まぁ、俺だってあれに巻き込まれたら大人しく死ぬしかないだろう。 

 


 「ククッ、それなら今のうちに支援をもう少ししておいて【ランゼルート】の余力を削るんだぞ!

 スキル発動!【呪眼狐離】!」



 【牛乳パフェ】は半ば諦めた様子で望遠鏡を覗き込みながら【ランゼルート】へと魔眼スキルの【呪眼狐離】を発動していった。

 呪力のこもった魔眼は【ランゼルート】への戒めとして機能して一瞬の隙を作り出し、そこへ【シゼンゼプラ】が刀で切り込んだことで鎧に横筋の穴が空いてくれたようだ!


 直接【ランゼルート】本体へのダメージは入らなかったようだが、弱点を作り出せたようなものなのでわりとデカイ一撃になったと言ってもいいだろうな!



 「くっ、本当に嫌らしいタイミングで妨害してくるよね……

 だけど隙が出来たのはお互い様だよ。

 君が魔眼スキルを使うために立ち止まってくれたおかげでようやく追いつけたんだからね」

 「ウゲゲッ、予想してたよりも圧倒的に早く追いつかれたんだぞ……

 隙が出来てもダメージを無視しておれに追いつくことを優先してくるなんて……」

 「それだけこの戦いで君が君自身の厄介さを証明してしまったということだよ。

 これくらいの被害ならここで君をしとめられることと比較してもリターンが大きいと僕が判断したのさ」

 「ケケッ、それは光栄なんだぞ……

 でも、ヤられる直前に聞きたいセリフじゃなかったんだぞ……」



 【牛乳パフェ】はそう言いながら【ランゼルート】の聖剣によって切り裂かれ、身体が真っ二つになり光の粒子と化して消えていってしまったようだ……

 貴重な支援役を失ってしまったな……



 「これでMVPプレイヤーを一人倒せたわけだ。

 あとは君たち二人を倒せばこの場は終着しそうだね」



 【ランゼルート】は掃討処理をしている気分なのか少しだけ面倒くさそうに言い放った。

 もう勝った気でいるな?

 だが、おあいにくさま。


 【牛乳パフェ】が最後に稼いでくれていた時間で援軍のお出ましだ。

 







 「ふひひっ、やっぱり【包丁戦士】さんは気づいていましたよねぇぇ!

 あてぃしの出番が回ってきましたよぉぉ!

 包丁次元の【勇者】……【墓守の勇者】の【キズマイナ】ですぅぅ!」



 そう、我らが包丁次元の底辺種族代表の【キズマイナ】だ!

 合流を待ちわびていたんだからな!



 「包丁次元の【勇者】がここで到着か。

 拙者は望遠鏡次元の【勇者】……【風来の勇者】の【シゼンゼプラ】だ」

 「皆が名乗るなら改めて僕も名乗ろうか。

 聖剣次元の【勇者】……【封竜の勇者】の【ランゼルート】だよ。

 そして君たちを倒す者だ!」



 そして新たな【勇者】の登場に対して再び名乗りを上げる【勇者】たち。

 同じ立ち位置ということもあり、そこに登りつめるための苦労への敬意を示しているんだろうな。

 





 劣化天子は私にも敬意を示してください。

 全く、これだから……


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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