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195話 ニワトリ?カラス?

【Raid Battle!】



 【包丁を冠する君主】




 【菜刀天子】


 【次元天子】【上位権限】【???】




 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【次元をさまよい】


 【冒険者を導く】


 【聖獣を担うが故に】


 【深淵と敵対する】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】



 【レイドバトルを開始します】



 はい、今日も元気にログイン!

 今日は後輩野球部員の戦闘力を見てみようと思う。


 そのためにどこかのレイドボスにでも挑むか……

 場所的に考えるなら岩山エリアか……?

 


 そう思い、俺は後輩野球部員を伴って登山することとなった。

 






 「ひえ~、ゲームとはいえ登山はやっぱり疲れるッスね……

 まさかここまでリアルに再現されてるなんて思ってなかったッスよ!

 ……あっ、つい手癖で水盗んじゃったッス!

 せっかくなんでもらうッス!」


 俺のとなりでひーひー言っているのは後輩野球部員だ。

 ゲームでの身体の動かし方に慣れていないからか、想像以上に疲れているみたいだ。

 ……逆に考えると、これだけ慣れていないのにここまで手際よく他人のものを盗めるってことは、元々盗みの技量的に相当手慣れているってことだろう。


 俺はしれっと水を盗まれながら考察していた。

 もはや手癖で何か盗まれてもあんまり驚かなくなりつつある。

 ……人から盗んで飲む水はうまいか?


 「もちろんッス!

 それに先輩の水ッスから!」


 俺の水(意味深)は止めてくれ。

 ちまたではアイドルが使っているシャンプーと同じ種類のシャンプーを買って飲む輩もいるみたいだが、こいつのボマードちゃんへのはまり具合からしてそういう輩と同じ臭いがする。


 しかも、この様子、天然でそういうことをやってそうだ。

 サイコパスかな?


 「あっ、頂上が見えてきたッス!

 あそこに着いたら一回休憩したいッスね……」


 そういいながら登っていく後輩野球部員。

 だが、そうはならないんだよなぁ……


 ちなみに、今回の岩山エリアでの登山の本当の理由は全く伝えてない。

 山登ろうな!……くらいの勢いでごり押してみた。

 不測の事態への対応も見ておきたいし、ちょうどいいだろう。

 ここの頂上で待ち受けているレイドボスの【堅牢山の大怪鳥】は、スピードに特化したレイドボスだ。

 こいつの窃盗テクとどっちが素早いのか興味はある。


 さあ、どうなるか!






 【Raid Battle!】


 

 【堅牢山の炎帝鳥】


 【堅牢山の導き鳥】



 【レイドバトル同時発生につき難易度が上昇します】



 は?


 「れ、レイドボスッスか!?

 こんなところにいるなんて!?

 それに二体もいるッスよ!」


 俺はレイドボスがいること自体は知ってた。

 だが、なんか鳥が二体いるんだが?

 あれ、前まで一体だけだったよな?


 俺の前に現れたのは漆黒のカラスのようなレイドボスと、全身から炎を出しながら飛んでいる孔雀のようなレイドボスだ。

 炎を出しながら飛んでいるレイドボスは、前でいたニワトリカラスの一部である鶏冠の部分を受け継いでいるな……


 ここのレイドボスはスピードタイプだったが、二体になってどうなったのやら。


 後輩野球部員、とりあえずこのレイドボスと戦ってみるぞ!

 俺も正直こいつらが何をしてくるのかさっぱりわからんが、当たって砕けろだ!

 このボトムダウンオンラインは、死んで死んで死んでレイドボスに慣れていく覚えゲーだ、肝に命じておけ!


 「りょ、了解ッス!

 ……砕けること前提なんッスね……」


 それは仕方ない、何せプレイヤーに人権のないゲームだからな。

 急に今までいたレイドボスをサイレントで変えてくるような所業を行うゲームなんて今まで見たこともやったこともないから、間違いなく鬼畜運営が俺たちを底辺で這いつくばる様子を見て楽しんでいるんだろう。


 さあ、俺たちの底辺っぷりを見せてやろうじゃないか!


 俺はとりあえず岩の上に立っているカラスっぽいレイドボスに向かっていく。

 腰に提げた包丁を取り出し、楕円を描きながらフェイントを入れていく。

 ……前のニワトリカラスなら直線的な動きがメインだったから、こういったテクニカルな動きに対応しにくいと思ったからだ。


 俺が漆黒の鳥レイドボスに挑んでいる一方で、後輩野球部員はバットを振りかぶって、いつの間にか手に取っていたものを、もう片方の手で何かをトスした。


 そして、そのトスしたものをチュートリアル武器であるバットを使って思いっきり打っていた。

 

 あれは……石か。

 ここは岩山エリアだから、その辺に落ちている石を弾にするのは合理的だ。

 こういう局面で窃盗技術が戦闘に活かされるとはな……想定外だが、いいぞ!


 後輩野球部員が打った石は上空を飛んでいる炎の鳥……まあ、ここまでのレイドボスの法則的に朱雀だろうが……を掠めようとしている。


 俺が常に上空を飛んでいる相手を狙うのは難しいし、代わりに後輩野球部員が相手してくれるなら俺もカラスのほうに集中できる。


 だが、俺の考えは甘かったようだ。

 朱雀の身体に近づいた石は、蒸発した。


 ……石が蒸発!?


 「えぇっ!?

 石が消えたッスよ……

 あの鳥どうやって攻撃すればいいんッスか!!」


 知らん!!

 焼け石に水ってレベルじゃないな……まさか水をかける相手の石が溶けて無くなるレベルの高温のオーラか何かを纏っているとは……

 俺たち救いようがないぞ!?


 遠距離攻撃しか攻撃を当てられないような場所にいる相手に、遠距離攻撃が無効化されるって、クソゲー並みのバランス調整だな……

 おい運営!ちゃんと通しプレイでこいつら倒せたんだよな??ん???





 理不尽なレイドボスに当たって、俺は憤りを隠せなくなってきたのだった。







 でも、防御力特化は別のレイドボスだったので……

 劣化天子はこれくらいは突破してくださいよ!


 【Bottom Down-Online Now loading……】

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― 新着の感想 ―
[良い点] サイコパスって人に言う資格が包丁戦士にあるとでも思ってるのか? 自分もサイコパスだからこそ自分を見ずに言ってるんだろうな [一言] グルシャンはマジで分からない文化 あれって身体に悪影響し…
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