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1944話 遮れない想い

 「ここにいるのは君たちだけみたいだから、僕が負ける道理はないよね。

 他にどれだけのプレイヤーが残っているか分からないけど、MVPプレイヤーを先に落とせるならそれに越したことはない」



 分かっていたことではあるが俺たちを逃がしてくれるつもりはないらしい。

 他のやつをおびき寄せるための餌にするために適度に痛ぶってくる可能性もあったのだが、その望みも絶たれたので即死しないように立ち振る舞わないとな……!



 「ケケッ、それは難しい話なんだぞ……

 他からの援軍があるならともかく、今間に合うかどうか分からないんだぞ……

 来るとしてもおれたちでそれまで何とか耐えないといけないから、死なないことに専念するんだぞ!」



 了解了解!

 というかお前はさっさと後ろへ下がっていけ!

 後方支援が役割なんだから【ランゼルート】の目の前にいつまでもいられたら俺もやりにくいぞ!



 「ククッ、それは言われずとも分かってるんだぞ……

 それよりもおれが下がるまでの時間稼ぎをしてほしいんだぞ!

 このままだと下がってる最中に狙われるんだぞ」



 それもそうか。

 だったらまずはこれからだな?


 スキル発動!【堕枝深淵】!



 俺は黒色の茨を伸ばしていき、【ランゼルート】を拘束して動きを止めようと試みた。

 だが、【ランゼルート】がこんな安易な拘束手段に捕らえられてくれるはずもなく……



 「スキル発動!【必殺名技】!

 聖剣よ、今一度力を解放してくれ!

 【聖突破魔剣(アポリア)】っ!」



 さっき城や街の建物を破壊するために使ってきた聖剣からのビーム攻撃……【聖突破魔剣(アポリア)】を再び使ってきたのだ!

 攻撃の規模は嫌と言うほど見せつけられてきたから、攻撃の名前を聞いた瞬間に「……マジか」となった。

 だって、俺の【堕枝深淵】だけじゃなくて俺ごと巻き込んで殺しにきてるってことだし。


 会敵から必殺技発動までのスパンが短すぎて【ランゼルート】の思い切りの良さとか、それをしてもリソース切れになる心配もないという余裕が感じられて既に絶望的だ。

 俺たちに会う前にもレイドボスを相手にしていたり、建物を破壊するために何回も放っているはずで消耗もそれなりにしているはずなんだがなぁ……?



 「ウゲゲッ!?

 すぐに死にそうなんだぞ!?」



 後ろに下がっていっている最中の【牛乳パフェ】から茶々が入ってきたが、まだこれだけならなんとかなる。

 重ねてスキル発動!【堕枝深淵】!



 俺は重ねの兵法を用いて【堕枝深淵】をさらに強化していく。

 【堕枝深淵】を重ねた効果は【アイシア】戦でも見せたから知っているだろうが……



 「確か僕と戦ったときにそれを見せてきたよね。

 効果は……無限再生か」



 そう、【ランゼルート】の【聖突破魔剣(アポリア)】を受け止めて無限再生させて防ぐという魂胆だな!

 


 「でも甘いよ。

 前それで僕をある程度妨害出来たのは、僕自身が君たちに近いくらいスペックを落とされていたからさ。

 でも、今は違う!」



 【ランゼルート】の宣言通り、【聖突破魔剣(アポリア)】は茨を粉砕してそのまま俺へと向かってきていた。

一秒くらいしか止められなかったんだが!?

 【アイシア】相手なら押し負けてたにしても粘れてたんだが!?



 くそっ、スキル発動!【塞百足壁】!



 俺は【堕枝深淵】が敗れたのを見た瞬間に次の防御策である【塞百足壁】で黒壁を展開したのだが……



 「無駄だよ。

 スキルの違いじゃなくて、君と僕のリソース量とスペックに差があるのさ。

 手を変え品を変えたとしてもそこに意味はないよ」



 【ランゼルート】の言うように【塞百足壁】は一瞬で破壊されてしまい、俺を守る壁としての役割を全くと言っていいほど果たしてくれなかった。

 ……守りとしてはな?



 「……ふ、僕の前から姿を消すための障害物として使ったわけだね。

 あの一瞬で視界から消えられる俊敏さと機転には一歩取られたよ」



 ……ふぅ、なんとか避けられた。

 ただの遮蔽物として【塞百足壁】を使うのは元々の使い手であるデカブツムカデに申し訳ないが、用途は違えど役立ったのだから許してもらいたいものだ。



 そして【ランゼルート】の一撃を避けた俺がいる場所は……



 「上空か。

 無難なところに逃げたようだね。

 だけどそこにいる危険性は理解しているのかな?」



 ちっ、もうバレたか!

 ……まぁ、遮るものもないし顔を見上げたらすぐバレるんだから仕方ない。


 そしてこの場所にいる危険性は充分理解しているつもりだ。

 何なら今さっき言ったばかりだ。

 障害物がないことだろ?



 「その通り、君は障害物があればあるほど強みを発揮するプレイヤーのようだからね。

 上空はその強みを捨てているのと、僕からの攻撃に対して無防備になることがあるのさ。

 分かった上でそこにいるのなら、やはりただの愚者ではないようだ」



 ただの愚者じゃないってことは、それとは別の愚者ではあると認識してるんだよな?

 おいおい、勘弁してくれよ!







 陰湿タコの翼で上空に逃げるなら天子の翼を使ってもらいたかったものですね……


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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