1942話 無限起動
「ケケッ、お前の心当たりがある起動方法をさっそく試してみるんだぞ!
おれは見守ってるんだぞ!」
俺が何とか出来るかもしれないということを伝えたら【牛乳パフェ】が少し後ろの方へと下がっていこうとした。
俺に一任するつもりだな?
だが待て。
これは俺だけじゃなくてお前も噛んだ方がいい案件だぞ?
その手段は間違いなく持っているはずだからな。
「ウゲゲッ、おれもなんだぞ?
しかもお前が知ってるおれの力ってそんなに多くないはずなんだぞ……」
しれっと俺に見せてない手札が大量にあるということを匂わせてきたが、まぁ、俺も【牛乳パフェ】相手に限定したら見せてない手札はまだまだあるしお互い様か……
そして、俺の言葉からどの手段か思考を巡らせているっぽい。
だが、答えを出す前に俺が見本を見せてやろうじゃないか!
俺に続いてくれよ?
スキル発動!【阻鴉邪眼】!
俺は動力部分と思われる部分を中心にして【アルベー】の邪眼でデバフサークルを生み出していった。
これにより部屋全体に禍々しい力が広がっていったわけだが……
「ケケッ、エンジンのかかりかけって感じでまだまだ起動まで時間がかかりそうなんだぞ……
見た感じ、時間をかけたらいつか起動しそうだがそこまで待つより支援した方が良さそうだぞ!
……このスキルが機動力になるのは知らなかったがそれを教えてくれた礼に手伝うんだぞ!
スキル発動!【阻鴉邪眼】!」
【牛乳パフェ】はここで俺と同じく【アルベー】の邪眼を使い、デバフサークルを重ねる形で俺を支援し始めたぞ!
タスカルタスカル……
……だがこれでも出力不足のようで、今すぐに起動するというほどまでにはたどり着かなかった。
中々エネルギーバカ食いな動力室だな!?
「ケケッ、【暴食】担当のお前が他の存在にバカ食いっていうのも妙な話なんだぞ……
とはいえ、おれとお前2人がかりでも足りないのはまずいんだぞ……」
これでも出力不足なのに【牛乳パフェ】が辟易としていたが、お前は出力を渋ってるだろ?
お前も【深淵纏縛】を使えるの知ってるんだからな?
俺もルル様のゴスロリフォームで出力を上げてるんだから、お前もそこまでは協力してもらわないと困るぞ?
「ウゲゲッ、そこまで要求するのか!?
強欲なやつなんだぞ……
だが、お前も既に相応の対価を払った状態だから言う権利があるのが厄介なんだぞ……」
そういうことだな。
俺が強気に【牛乳パフェ】へ要求出来るからこそ俺も先に手の内を見せたわけだ。
じゃなかったらタダでこの情報を持ち帰られる可能性もあったし、それだけは避けたかった。
せめてここでは活躍してくれよ?
「ケケッ、仕方ないんだぞ……
スキル発動!【深淵纏縛Б】!
さらにスキル発動!【阻鴉邪眼】!
多重デバフサークル展開なんだぞ!」
【Raid Battle!】
【鳴動する阻鴉眼】
【牛乳パフェ】
【白獣人】【深淵使徒】【プレイヤー】【転生開眼】
【聖獣を担うが故に】
【白濁する】
【未だ埋まらぬ瞳は白いまま】
【安楽竜の転生を】
【留め、止め、トドメ】
【いずれ白き瞳を埋める時】
【画眼の魂は天昇するだろう】
【レイドバトルを開始します】
俺のデバフサークルを覆うように何重にも重ねられた【牛乳パフェ】のデバフサークルが床一面に広がっていった。
それにしても、やはり【アルベー】専用で【深淵纏縛】のスキルツリーを伸ばしているだけあって、俺よりも【阻鴉邪眼】の性能が格段に高いな……
そして【牛乳パフェ】は魔眼スキルに特化しているキャラクタービルドなのでその分より性能が高まっているのだろう。
その甲斐あってか、さっきまでギリギリエンジンのかからない状態だった動力部分が本格的に起動を開始して、部屋に敷き詰められた回路が一斉に光輝き始めたぞ!
ガチャガチャ煩くなってきたが、この音こそが俺たちが労力を割いた結果なので今は心地よく感じるなぁ……(しみじみ)
「ククッ、何とかなって良かったんだぞ……
これであとは何が起こるのか見守るだけなんだぞ!」
一度動き出してしまったら俺たちはデバフサークルが途切れないようにこの場で待機しているだけだ。
せっかくの時間だ、【ランゼルート】との決戦前に休憩としようじゃないか。
精神を張りつめたままだと肝心なところでウッカリミスをしてしまうかもしれないし、出来るときに休憩しておくのは悪い話じゃないだろ?
「ケケッ、そうなんだぞ!
ここから先、休憩を取れるタイミングも無さそうだしおれも賛成なんだぞ!」
俺たちはこうして最後の休息をじっくりと味わうのであった……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




