1941話 剣扉の向こう側
キーアイテムとか【ランゼルート】の経歴に関わるものを探すのを諦めて城そのものに隠されているであろうギミックを探し始めたのだが、結果は今のところ芳しくない。
隠し通路とか隠しボタンみたいなものがあるかなと思って見ているんだが、それっぽいものが見つかっていないからだ!
「ケケッ、おれたちの予想が外れたのかと思うくらい何も見つかってないんだぞ……
この城の中を調べるのは無駄かもしれないんだぞ!」
【牛乳パフェ】もやけっぱちになったようで、その辺の壁を蹴ってやり場の無い怒りを発散させていた。
まぁ、そんなにすぐに何かが見つかるなんて楽観的には考えていなかったが、それはそれとして焦ってくるよな……
そうしてしばらく辺りを調べているとようやくお目当てのものが見つかった。
いかにもギミックを仕込んでそうな扉があったのだ!
剣の意匠が刻まれた扉だが、どれだけ開けようと試してみても開かないという建て付けが悪いとだけ判断してしまうのには流石に無理のあるほど動かない扉だ。
「ケケッ、これは力ずくで開かなさそうなんだぞ……
おれが引いても【包丁戦士】が引いてもびくともしないんだぞ……」
……これならどうだ?
スキル発動!【魚尾砲撃】!
俺は極太レーザーで扉ごと吹き飛ばそうとしたのだが……
「ウゲゲッ、その威力でも無傷って相当固いんだぞ!?」
固すぎるというか下手すると破壊不能オブジェクトに設定されているのかもしれないな。
いわゆる耐久力無限ってやつだ!
それだったらどれだけ攻撃してみても無駄だろう。
「ケケッ、それならどうしたら開くって言うんだぞ?」
それは俺も知らん!
逆にお前に聞き返したいくらいだ。
……と言いたいところだが、剣の意匠があるしおそらく剣関係のギミックだろう。
斬撃で切れるのかと思ったが俺の包丁では切れなかったから、やはり剣が必要か剣にまつわる何かが必要なのだろうよ。
というわけで、剣現せよ【正義剣ティル】!
俺は気軽に世界剣種の【正義剣ティル】を手元に呼び出してみた。
宅配サービスもビックリな速達っぷりだな!
「ウゲゲッ、そんなに簡単に世界剣種を呼び出すなよ!
それって呼び出すだけでもリソースを使うはずなんだぞ!」
その通りなんだがここだとこの【正義剣ティル】は呼びやすかったんだ。
【ランゼルート】の【正義】に反応しているんだろうか?
理由は知らないがそこまでリソースを求められなかったし、それが逆にギミック攻略の鍵だろうって信憑性も高めてきたから出さざるを得なかったのだ。
ほら、見てみろ。
俺が【正義剣ティル】を掲げていると少しずつだが勝手に扉が開き始めたぞ!
「ケケッ、本当なんだぞ!?
これは結局これが正攻法なのか分からないままギミックが解けちゃったんだぞ……
微妙に不完全燃焼でモヤモヤするんだぞ!」
モヤモヤするのは分からなくもないが、邪道だったとしてもせっかくギミック解除出来たんだしさっさとこの扉の中に入っていくぞ?
モタモタしてると時間制限とかあるかもしれないからな!
「ククッ、こうなったら仕方ないんだぞ……
虎穴に入らずんば虎子を得ずなんだぞ!」
そうして俺と【牛乳パフェ】は固く閉ざされていたはずの扉の先へと進んでいった……
「ケケッ、ここは何かの動力部なんだぞ!
これを動かすことが出来たら一気に状況が変わりそうな予感がするんだぞ!」
扉の先にあったのは地面に魔法陣や機戒回路が敷き詰められたような場所だった。
SFとファンタジーをごちゃ混ぜにしてきたな!?
なんで城の中にこんなものがあるんだよ!
しかもよりによって禁じられた場所みたいなところに。
「ケケッ、本当はこの城にそのヒントが隠されていたんだろうが【アイシア】が封印したんだろうから分からないんだぞ!
この場所のギミックを動かすヒントも同時に隠されているんだろうな」
ちっ、死してもなお【ランゼルート】を守るために動いたと思われる【アイシア】の根回しが俺たちの行動を阻害し続けてきているな!?
【ランゼルート】め……愛されすぎだろ!
それはそれとしてだ。
こういう動力を無理矢理動かす手段に俺は心当たりがある。
これまで何度も使ってきた手法だし、分かるやつはもう予想できるくらいだろうな。
「ケケッ?
お前はいったい何を言っているんだぞ?」
まぁまぁ、見てなって。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




