1936話 安牌とギミックの選択肢
「ケケッ、【シゼンゼプラ】と合流出来たわけなんだが【包丁戦士】としてはここからどう動く?
参考までに聞きたいんだぞ!」
これは明確に俺を試しているな。
【牛乳パフェ】も隠そうとしていないから不快感はないが……
どうせこの後に【牛乳パフェ】自身の答えも言ってくれるだろうし、お互い様という建前だ。
その真意としては俺の物事への考え方の傾向を掴むための判断材料を増やしたい……ってとこか。
それが分かった上で教えてやろう。
俺はこのまま時間が許す限り仲間を集め続けたい。
他のMVPプレイヤーが相手なら今の俺たちの戦力……つまりMVPプレイヤー二人と【勇者】一人で挑めばほぼ負けないはずだ。
残るMVPプレイヤーの【マキ】と【勇者】が敵対してきてもだ。
だが、【ランゼルート】だけは確実に別格だ。
アイツ一人で【勇者】1.5人から2人以上を抱え込みながらも勝てるくらいは最低でも見積もっている。
その根拠として、過去に【ランゼルート】と戦った次元戦争でこっち側に次元天子、深淵種族の【上位権限】レイドボス、MVPプレイヤーの俺……という今以上の戦力で挑んでそこにいる戦力だけでは負けていたからな。
別のところで生き残っていた俺の仲間がいなかったら勝てなかっただろうよ。
「ウゲゲッ、そこまで豪華なメンバーで挑んでも負けてたのか……
予想外だったんだぞ……
でも、それだけお前には【ランゼルート】に慎重にならざるを得ない判断材料があったってことなんだぞ!」
そういうことだな。
ぶっちゃけ、【勇者】とはいえ、【シゼンゼプラ】も【勇者】になりたての新米みたいなものだろ?
それと歴戦の【勇者】である【ランゼルート】を同一の戦力として見ることがナンセンスだろう。
肩書きだけで判断するのは危険ってわけだ!
「妥当な判断だ。
拙者は旅こそ慣れているが戦いは好き好んでやっていたわけではないのと、気が向いたときにしかやっていなかった。
……それはそれとして風の便りで強敵がいると聞けば、そこに向かっていって挑むこともあったが……」
戦いを好んでやってたわけじゃないのに強敵には挑んでいくのか……(困惑)
中々自由なやつだな!?
こいつの思考の軸がさっぱり分からないぞ!?
「ケケッ、はじめはそうなるんだぞ……
とはいえある程度付き合っていけば何となくは分かるようになるんだぞ!」
ということは【牛乳パフェ】は何となく分かってるってことだよな。
「ククッ、その通りなんだぞ!
でもそこは今の戦いにあまり関係してこないから秘密なんだぞ!
自分で答えを探してみるといいんだぞ!」
ちっ、なんでもかんでも教えてくれるわけじゃないか。
まぁ、俺としてもそこまで必要な情報でもないし分かったら御の字くらいに考えておくか。
……それはそれとして、今の状況で【牛乳パフェ】だったらどう動くんだ?
「ウゲゲッ、しれっと話題を逸らしてたのに戻ってきたんだぞ……
おれだったらそろそろ丘の上にある円卓部分へ行って、城の調査をしたいんだぞ!」
あのやけに目立つように建っている城だな?
俺も気になっていた。
いかにも重要そうなアイテムとか、キークエストみたいなものが発生しそうな場所だよな。
だが、その一方で【ランゼルート】に有利そうな戦場になる危険性があると俺は睨んでいる。
そこは大丈夫なのか?
「ケケッ、完全に大丈夫とは言い切れないんだぞ!
でも安牌だけ取っていても【ランゼルート】相手には勝てないんだぞ!
最低限【シゼンゼプラ】と合流出来たからそろそろ手遅れになる前にあの城を調べたいんだぞ!」
なるほどな。
そういう魂胆があるならありか。
【ランゼルート】より先に城にたどり着くことでアドバンテージを取れるかもしれないなら、先んじて到着を目指すのもいいよな。
その考えに賛同しておこう。
今から城に向かうぞ!
「ウゲゲッ!?
そんなに簡単に決めていいのか!?
もう少し悩んでもいいんだぞ?」
まぁ、時間がないのも事実だしな。
【マキ】や【キズマイナ】との合流は向こうから来てくれることを祈ろう……
俺たちは【シゼンゼプラ】を頼りにギミック攻略を優先するってことだ。
【牛乳パフェ】理論を採用するんだから、お前が先導してくれよな!
「ウゲゲッ!?
これは逆におれがハメられた流れになってるんだぞ!?」
風の流れが変わった。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




