1933話 スポッター
そんなわけで生き残ったのは俺と【牛乳パフェ】だけになったわけだがこれからどうしたものかな……
「こうなったら【ランゼルート】にぶつかっていくしかないんだぞ……
失った戦力はとてつもなく大きいけど、【アイシア】が【ランゼルート】に合流するっていう最悪の未来は防げたんだぞ!」
そこだけは確実に良かったと言えるポイントだな。
【アイシア】単独の時に取り囲んだからこそあれだけの被害で済んだが、本来森人である【アイシア】はサポートタイプの戦術の使い手だ。
圧倒的前衛の【ランゼルート】と組み合わさったら目も当てられない状態になっていたのは間違いないからな!
「ケケッ、その通りなんだぞ!
幸いにも蛇腹剣次元の【マキ】と【勇者】枠のプレイヤーがまだ残ってるはずなんだぞ。
全陣営森人種族枠のプレイヤーは全滅しただけで、【ランゼルート】を取り囲むならまだまだ戦えるだけの戦力がいるはずなんだぞ!」
確かにうちの【勇者】やお前のところの【勇者】は今回参戦してなかったし、ほぼ無傷のまま【ランゼルート】に挑ませられるか。
あとは【マキ】たちが無事かどうかなんだが……
「ケケッ、そういえば蛇腹剣次元の森人枠の【マックス】は何でお前のところの森人と一緒に来てたんだぞ?
裏で既に蛇腹剣次元と連絡を取ってたんだ?」
いや、俺は本当に何も知らないんだよなぁ……
むしろ俺も【マックス】が脈絡もなく登場したのには驚いたくらいだ。
それに【槌鍛冶士】に同行していた俺のところの【勇者】がいないのも謎だし……
「ウゲゲッ、その表情からしておれを騙そうとかじゃなくて本当に何も知らなさそうなんだぞ……
協力的なのが分かる反面、それ以外の情報が何も手に入りそうにないのが辛いんだぞ……」
せめて味方に連絡がつけばいいんだが、俺がこの場で唯一連絡できる相手だった【槌鍛冶士】が死に戻りしてしまったのでスキル【渡月伝心】で連絡を取るという手段が使えなくなってしまったのだ。
「ウゲゲッ、お前が連絡できるって言ってたやつがさっきのやつだったのか!?
それはバッドニュースなんだぞ……
希望がまた一つ潰えてしまったんだぞ……」
さっきから悪いことばかり見つけてしまって萎えてくるな……
だが、そこばかり考えていても仕方あるまい。
ここから先のことを見据えて希望を見つけなくては……
「それならやっぱり【ランゼルート】と戦う前に【勇者】と合流するのが最優先なんだぞ!
少なくともおれのところかお前のところのどっちかがいると連携が取りやすそうたんだぞ!」
やはりそこに帰結するよな……
【ランゼルート】相手に俺と【牛乳パフェ】二人で挑むのは無謀だからな!
少なくとも【勇者】スペックの味方がいないと埒が明かないわけだ。
……いたとしても、【勇者】の中でも格が違いそうな【ランゼルート】に勝てるかは別だが。
だが、【ランゼルート】に会わずに【勇者】たちと合流するのは難しそうだよな。
「ケケッ、【ランゼルート】が居なさそうな方向へ向かって探索したいが、パッと見でもそんなのは分からない……そう思ってそうなんだぞ!」
よく分かったな。
「ククッ、おれも同じ様に考えると思ったからなんだぞ」
なんだその言い回しは。
まるで今はそう考えていないみたいな感じじゃないか?
「ケケッ、実はそうなんだぞ!
さっき【ランゼルート】がレイドボスを倒したワールドアナウンスが流れてたのは聞いてたんだぞ?
その時に【ランゼルート】の【聖突破魔剣】の光が輝いている場所を見つけたんだぞ!」
何っ!?
本当か!?
それなら大手柄じゃないか!
【聖突破魔剣】は【ランゼルート】の剣から放たれるビームのようなものだ。
【牛乳パフェ】は戦闘中引いた場所で全体を見渡していたからこそその場所に気づけたんだろうなぁ……
「ケケッ、そういうことなんだぞ!
おれの役割は観測手みたいなものでもあるんだぞ!
だからこそ戦っていても戦場外まで見るようにしてて、今回もそれで気づけたんだぞ!」
お手柄だ!
この【包丁戦士】が花丸をくれてやろう!
「……ありがたく受け取っておくんだぞ。
とりあえず【ランゼルート】のいる方向とは逆方向に動くんだぞ!
出発!」
そうして俺は【牛乳パフェ】の後ろを追随しながら再移動を開始したのであった……
風の向くまま、気の向くまま……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】




