表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1929/2270

1929話 ○○樹林

 無口な森人【マックス】と清廉潔白な森人【アイシア】の戦いはほぼ互角に見える。

 流石は同格同士の戦闘だな……


 とはいえ、今の間合いは【マックス】に有利な状態である近接戦闘を繰り広げているので、戦闘態勢が変わるだけでこの均衡は逆に傾くだろう。


 だが、そうさせないために俺がいるわけだ。

 スキル発動!【堕枝深淵】!



 俺は黒色の茨を伸ばしていき、【アイシア】の背後から足を掴んで行動を制限していった。

 【堕枝深淵】はこういう使い方が一番無難に強いよなぁ。



 「いつの間に背後にっ!?

 この木手の連続攻撃に気を取られて過ぎていましたね……」

 「……」

 


 俺が足を拘束した甲斐もあってか、【アイシア】が黒色の茨を破壊する隙を見て【マックス】の一撃が見事炸裂したようだ!

 均衡が保たれていた状態でこの一撃はかなりデカイんじゃないか!?



 「これだけでやられる私ではないですよ。

 返り討ちにします!

 スキル発動!【緑王枯草】です!」



 【アイシア】は攻撃をくらってよろけながらも【マックス】から距離を取ることに成功して、再び中距離戦闘の間合いへと移行していた。

 その流れで放ってきていたのは【緑王枯草】……触れた相手を枯らすことが出来るスキルだ。

 さっき【牛乳パフェ】や【つくだ兄ぃ】相手に使っていて不発だったものだな!



 【マックス】はそれを木手で受け止めていったが、枯らすという性質からして相性が悪いのか防いで新たな木手を生やすスピードよりも枯れていくスピードの方が早いようで、気持ち悪いくらい生えていた木手がみるみると数を減らしていった。

 こうしてみると、【緑王枯草】は森人種族特効みたいなスキルだな!?



 「別にそのような意図は無かったですし、これまでそのような使い方をしてきた試しはありませんでしたが、思ったよりも効果があり驚いています。

 同族の【上位権限】レイドボスと戦うなど経験はやろうと思っても出来るものではありませんでしたから」

 「……」



 そりゃそうだろうな。

 基本的に一つの次元にその種族の【上位権限】レイドボスは一体だろうし。



 そんな同族特効を自認した【アイシア】に対して、【マックス】は新たな手に出てきたようだ。



 「……スキル発動、【最大広葉】」



 【マックス】がスキルを使ったことで、人一人くらいのサイズ感の葉が何枚か空中を舞いはじめた。

 デカイな!?

 【マックス】が使うスキルで出てくるものはやけに多かったり、大きかったりしていては迫力があるぞ……



 ここまで見てみるとそれぞれの特徴が分かるな。

 【アイシア】は封印の力を植物に載せて放ち、【槌鍛冶士】は植物に鉄材を混ぜて強度の高いものを放ち、【マックス】は純粋な数や大きさを植物に反映させて放つってわけだな!

 同じ森人種族の【上位権限】レイドボスでもこれだけ差異があるのは、他の種族だとそれこそ底辺種族の【上位権限】レイドボスである勇者くらいだろう。


 ……あっ、だからこそ【山伏権現】はこの2つの種族やジョブ持ちを優先的に参加させようとしたのか!

 多分多様性をぶつけて淘汰する……とかそんな魂胆だろうなぁ。

 あいつそういうの『面白い』って言って好きそうだし。





 「ケケッ、今ならおれも追撃出来そうなんだぞ!

 スキル発動!【床割海眼】!」



 【牛乳パフェ】が【マックス】と同時に発動させたスキルは【床割海眼】。

 名前からして深海種族の魔眼スキルのようだが、その効果はというと……



 「私の足元が割れましたねっ!?

 この脈絡もない現象は【牛乳パフェ】の仕業ですか!

 直接叩けばそれほどでもないのですが、ここまで前衛となるプレイヤーがいる状況で生き続けているとこの上なく鬱陶しいですね……」

 「ケケッ、そういう鬱陶しいって言葉はおれにとって褒め言葉なんだぞ!」



 お互いに大声で怒鳴りあっているようだが、【牛乳パフェ】側は怒りというよりも煽りの気持ちも籠ってそうだ。

 【アイシア】相手にしてやったり、と思ってのことだろう。



 そして再び足元を取られてしまった【アイシア】へ襲いかかるのは【マックス】が周囲に生み出した巨大な葉……スキル【最大広葉】だ。

 それが大剣でも飛ばすかのように【アイシア】へと襲いかかっていった。



 「……!」

 「これは避けることも打ち落とすことも叶わなさそうですね。

 それならば受け止めるまでです!

 スキル発動!【緑王樹林】!」



 足が動けなくなったので回避行動や先程までやっていたような杖を使っての打ち落としが難しいと判断した【アイシア】は地面から樹林を生やして、【マックス】の攻撃に対して壁を作ったようだな。


 この【アイシア】が使った【緑王樹林】は【槌鍛冶士】の【鉄壁樹林】や【マックス】の【最大樹林】と同列というか、同じようなスキルツリー上にあるっぽそうだよな。

 全員防御のために使ってるし、【○○樹林】って名前も共通してるし……


 これが分かってると他の森人と遭遇したときにやりやすくなりそうだ……

 今回は他にいないだろうけど。






 ガハハ!!!

 今から次の戦いのための考察とは勉強熱心だな!!!


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ