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1918/2102

1918話 待ちぼうけ

 「【ランゼルート】を倒すのであれば望遠鏡次元のメンバーと連携を取れるかもしれませんね」



 望遠鏡次元のメンバーと?

 お前たちはどちらかといえば聖剣次元側だろ、どういうことなんだ?


 俺は首を傾げながら【つくだ兄ぃ】に問いかけていくと、複雑そうな表情を浮かべながら答えはじめた。



 「望遠鏡次元と聖剣次元ではリソース量や、プレイヤー全体の錬度で大きく差が生まれていますからね……

 望遠鏡次元のプレイヤーたちは基本的に搾取される側になってしまっていて立つ瀬がない状況に陥っています。

 今はもはや死なばもろとも……というより死んででも聖剣次元の足を引っ張って陥れようというほど敵対感情があったりします」



 えぇ……そこまで深刻な状況になっているのかよ……

 パイルバンカー次元とステッキ次元でも似たような対立が生まれていたが、聖剣次元と望遠鏡次元でも似たような感じになってるんだな。

 


 「パイルバンカー次元とステッキ次元でも対立が発生していたのですね。

 そちらの次元戦争には参加していなかったので私の耳には入っていなかった情報です。

 ただ、そちらと比べると力関係が明確に浮き出ているので聖剣次元と望遠鏡次元の方が深刻かもしれません……」



 そんなにかよ……!

 一方的に搾取されていると言っていたし、相当酷い力関係になってるんだろうな。

 わりと温厚そうな【つくだ兄ぃ】がこう言ってるということは表現している以上に状況は悪いのだろう。



 「だからこそ、打倒【ランゼルート】を掲げていれば【牛乳パフェ】さんを筆頭に望遠鏡次元のプレイヤーの協力は得やすいはずですよ」



 それは耳寄りな情報だな!

 そこまで憎い相手がいるなら俺とでも同盟を結んでくれる可能性が充分にあり得るからな!



 「よろしければ今から望遠鏡次元のプレイヤーたちが拠点にしている場所へと案内しましょうか?

 【包丁戦士】さんには面白いものや、易々と見せていいとは思えない手札を私に無償で見せていただけましたからね」



 そこまで隠すような手札でも無かったが、向こうが価値を感じているならわざわざそれを否定して価値を下げる必要もないだろう。

 これを利用してむしろ同盟を組みやすく出来るなら、価値を高めていくべきだからな!



 「というわけで私の後ろについてきて欲しいのですが、一つ疑問があります。

 ……【濛々たる合巣蜂】は連れていくのですか、置いていくのですか?」



 【つくだ兄ぃ】に指摘された点だが……全く何も考えてなかったな!?

 仲間にしたはいいものの、そこまでは流石に考えてなかったぞ……



 そんなことを口にしていたら【濛々たる合巣蜂】が一匹の蜂を俺のゴスロリの中へと忍ばせてきた。

 何かの意図があるんだろうが……とりあえずこいつを連れていけってことだろう。

 それなら【濛々たる合巣蜂】本体はここに置いていっても良さそうだな。


 どうせバカでかいし、連れて歩くと悪目立ちするから置いていけるなら気は楽だし好都合だ。



 「どうやら方針は決まったようですね。

 それでは気を取り直して望遠鏡次元の拠点へご案内します」












 そうして歩いていくと、【つくだ兄ぃ】は古民家風の建物の前で立ち止まり……



 「先に私が入って事情を説明してくるので【包丁戦士】さんはここで待っていてください」



 そう言い残して一人で建物の中に入っていってしまった。

 まぁ、俺がいきなり入っていったら敵襲と思われて迎撃される可能性があるし賢明な判断だろう。

 同盟相手を連れてきたと思ったら、同盟相手と自分の身内が争って疲弊することになったら本末転倒だし……

 

 俺だって今の段階で聖剣次元の連中以外と戦闘したいとは思わない。

 この次元戦争が始まったばかりの時にも言ったが【ランゼルート】と戦う前に消耗してしまったらただでさえ勝ち筋の少ない状況から、どんどん減らしていってしまうことになる。


 逆に俺が【濛々たる合巣蜂】を従属させたように消耗なしで味方や手札を増やせるなら勝率はその分上がっていく。

 こちらの数が増えれば増えるほど【ランゼルート】の処理能力へ負担をかけられるし、体力や備品関係の消耗も増やせるからな。


 特にMVPプレイヤークラスの戦力が揃うならジャイアントキリングは充分に狙えるわけだ。

 それなら必要以上に争う必要もあるまい。







 果たしてそう上手くいくでしょうか……


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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