191話 相棒に紹介
【Raid Battle!】
【包丁を冠する君主】
【菜刀天子】
【次元天子】【上位権限】【???】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【次元をさまよい】
【冒険者を導く】
【聖獣を担うが故に】
【深淵と敵対する】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
今日は昨日拉致することに成功したモブっぽい見た目の初心者プレイヤーを他のクランメンバーに紹介しようと思う。
まずは集合場所の草原エリアにゴー!
というか、お前のチュートリアル武器って何?
俺がモブっぽい見た目の初心者プレイヤーに問いかけた。
まさかこの包丁次元でプレイヤーネームを聞くわけにもいかないし、チュートリアル武器の種類を聞いておかないと、なんて呼べばいいか分からないからな。
「あっ、先輩おはようございまッス!
俺っちのチュートリアル武器は……バットッス!
部活は野球部ッスから、それで選ばれたッスかね?」
この後輩野球部員は、バットに選ばれたらしい。
俺が昨日一昨日戦ったような【短弓射手】の弓を打ち返すくらいの成長を遂げてもらいたいものだ。
とりあえずお前のことは後輩野球部員って呼ぶからよろしく。
「えぇ……それ絶対呼びにくいッスよ……
先輩がいいなら、俺っちはそれでいいッスけど」
なら、決定な。
じゃあ、まず俺の相棒とも言える唯一無二の存在に会いに行くから気合いいれておけよ!
「了解ッス!」
返事はいいな。
ちょっと突っかかってくることがあること以外は今のところ、従順だし案外いい拾い物をしたのかもしれない。
……あの手癖の悪さがちょっと謎だが……
俺と後輩野球部員は蒸し暑い鍛治場を我が物顔で進んでいくと、カンカンと鉄を叩く音と、バチバチという火花が飛び散る音が響き始めた。
いや、響き始めたというよりは音の元に俺が近づいているということだろう。
そうして音源に近づいていくと、1つの人影があった。
座って鉄を叩いているが、その状態でもかなり大きな人物だと分かるほど大柄な人影だ。
その人影は俺が部屋に入ってきたことに気がつくと、今やっていた作業を止めて俺の方に振り向き立ち上がった。
見上げるほど高いその人物の身長と、全体的に筋肉隆々とした見事なシルエットを持つ人が俺に話しかけてきた。
「おっ!【包丁戦士】じゃないか!!!
ワシのところに他のプレイヤーを連れてくるのは珍しいな!!!」
言われてみればそうだな。
この鍛治場に連れてきたことがあるやつっていうと、ボマードちゃんくらいしかいないな。
「先輩、そんなに俺っちのことを買ってくれたッスか!?
感激ッス!」
俺の言葉に勝手に感激した後輩野球部員は身体全体で喜びを表すかのように、飛んだり跳ねたりしている。
こらこら鍛治場ではしゃぐな、普通に危ないわ!
「それで、この元気な小僧は何者なんだ!!!???」
あっ、こいつは俺が初心者狩りをしてた草原エリアでテキトーに見つけた新しいクランメンバーだ。
着ているタンクトップを見て分かるように、初心者プレイヤーだな。
「また初心者狩りをしたのか!!!
相変わらず変わらないやつだな!!!
……このタイミングでテキトーに見つけてきた初心者プレイヤーということは、次のクラン対抗イベントのためだな!!!」
その通り!
流石俺の相棒、よくわかってるじゃないか。
とりあえず最低限の駒は確保したわけだ。
「俺っち駒扱いッスか!?
先輩、物言いに遠慮が無いッスね」
あぁん?
お前に遠慮する必要なんて一切ないだろ……
後輩なら後輩らしく、大人しく先輩に着いてきな!
「物凄く不安ッス……」
「安心するといい!!!
こいつは言動ともに理解が追いつかないが、やるときはやるからな!!!」
「そうなんッスね……」
【槌鍛治士】が後輩野球部員を慰めるように声をかけたが、いまいちピンと来ていないようで、なんとも言えない表情をしている。
「それで、今日ここに来たのはこの小僧の紹介だけか!!??
お前のことだ、他にもあるのだろう!!!」
まあな。
鍛治士として優れた技術を持つお前にこれを見てもらいたくてな。
そう言って俺は胸元に隠していた溶岩魚のアクセサリーを【槌鍛治士】に手渡す。
【槌鍛治士】は手に取った途端、何かを感じ取ったのか目を見開いて驚いている。
「これは……っ!!!
……しばらく調べさせてくれ!!!」
いいぞ、元々そのつもりだったからな。
だが、条件がひとつある。
「条件か!!!
いいだろう、何が望みだ!!??」
この後輩野球部員に装備を作ってやってくれ。
いつまでタンクトップ姿にさせておくのは、クランとして名折れだからな。
イベントダンジョンが解放されるまでに、なんとか完成させてやってくれ。
そんな俺からの突然の無茶ぶりだ。
こんな急に言っても普通のやつなら、やんわり断ってくるだろう。
「いいだろう!!!
新メンバーのめでたい門出だ!!!
ワシが一肌脱いでやろう!!!
だが、装備を作る前にこの小僧の特技を聞いておこう。
それに合わせて作ってやろう!!!」
サンキュー!
あっ、ちなみにこいつの特技は窃盗だな。
中々やるぞ。
「類は友を呼ぶと言うやつか……!!
プレイヤーキラーとシーフ……これは荒れそうだ!!!」
私の庭を荒らさないで下さい。
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