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1908/2215

1908話 メガホン……パーンチ!

 というわけで【槌鍛冶士】の依頼品を集めてきました。

 わりとすんなり集まったから【槌鍛冶士】の記憶力にも助けられたぞ!



 「ガハハ!!!

 情報操作を得意としているからな!!!

 記憶を含めて情報の取り扱いには慎重にならねばな!!!」

 「【槌鍛冶士】さんの有能さばかり見せられてるので【勇者】としてのあてぃしの立つ瀬がないですよぉぉ!」



 【槌鍛冶士】は物のあった場所まで一緒に教えてくれていたので、ほぼ最短で俺たちが集め終えることが出来たというわけだ。

 そうじゃなかったら手探りで一から十まで見る必要があっただろう。

 

 そしてそんな【槌鍛冶士】の有能さをまじまじと見せられた【キズマイナ】が嘆いていた。

 まぁ、お前と【槌鍛冶士】は役割が違うから……



 「ガハハ!!!

 そういうことだな!!!

 ワシにはお前のように戦闘で上手く立ち回ることは出来ないからな!!!

 よくて生産プレイヤーやバッファーのような役割だろう!!!

 だからこそ今のうちに働いておかねば後々無駄死にと言われてしまうわい!!!」



 【槌鍛冶士】は豪快に笑って見せたが、謙虚さというよりは自虐的な感情が垣間見えたな。

 【槌鍛冶士】にしては珍しくネガティブな要素を出してきたがこれはきっと本心から思っていることなんだろう。

 実際に【菜刀天子】相手に出てきた時も同じ【上位権限】レイドボスなのに防御メインで落ちていってしまったからな……

 戦闘には根本的に向いてないのだろうよ。



 ……ってことだ、納得したか【キズマイナ】?



 「【包丁戦士】さん、あてぃしのために解説してくれてたんですかぁぁ!?

 ふひひっ、その優しさが身に染みますねぇぇ……」



 おや、気づいてなかったようだな……?

 まぁ喜んでくれてるみたいだし今日のところはヨシとしておくが……







 そんな会話をしながら【槌鍛冶士】の護衛をして待っていると、民家の中にあった鍛冶場から【槌鍛冶士】が出てきた。

 さっきまでも実は外と中で会話をしていたんだが、【槌鍛冶士】の声がデカすぎるので普通に会話できてたんだよな……

 しかも【キズマイナ】もデカめだったし。



 「ガハハ!!!

 簡易的だが完成したぞ!!!

 これがご所望の品だ!!!」



 そういって【槌鍛冶士】が手渡してきたのはメガホンのようなものだった。

 これだけ見ると叫べと言われているようにも思えるが……



 「ガハハ!!!

 そうではないぞ!!!

 それを経由してスキル【堕音深笛】の演奏を流すといい!!!

 深淵フルートを作ったときのノウハウがこのタイミングで活かせるとは思ってなかったが、良かったな!!!」



 そうか、【堕音深笛】に連なる要素として俺の深淵フルートを作ったときの経験を使ったのか。

 あれも深淵の音を響かせる楽器だしな……



 「それで、これを経由するとどんな効果があるんですかぁぁ?

 【槌鍛冶士】さんの作品ですし、ただ音が大きくなるだけじゃないですよねぇぇ?」

 「ガハハ!!!

 当然だ!!!

 これを経由することで深淵種族に由縁のあるものにしか音が聞こえなくなる代わりに、音を広範囲に響かせることができる代物だ!!!

 ただし、間に合わせで作ったから耐久力は期待できないがな!!!」



 おおっ、それはかなり有用品じゃないか!

 【Battle field 特異次元 円卓丘都キャンラン】に忍び込んだ深淵種族の尖兵相手に特化した音色を広げられるってわけだからな!

 これで他の次元のプレイヤーに聞かれる心配も無くなるし、深淵種族に接触したいという俺たちの目的も果たせるというわけだ。

 流石な仕事っぷりだな。



 「ガハハ!!!

 お前に褒められるとやはり嬉しさが増すな!!!

 それでこそ作り甲斐があるというものだ!!!」

 「これ、普通に常用したいくらいにはかなり便利なアイテムなんですけどぉぉ!

 あてぃしの戦いかた的に笛で演奏して的確に影響を与えたい相手って味方だけですからねぇぇ……

 敵に聞かれなくなるのは革命的な発明ですよぉぉ!」



 そうだよな。

 【キズマイナ】の2つ名って【骨笛ネクロマンサー】なわけだし、剣として使わない時は笛でバッファーとしても立ち回れることを考えると喉から手が出るほど欲しいアイテムなことだろう。



 「あくまでもこの戦場に特化したものだ!!!

 普段のフィールドで使える同じ効果のものを作るとなれば難易度が格段に上がるぞ!!!

 しかもアイテムもより希少性の高いものばかりになるのは間違いない!!!

 作るのは諦めた方がいいだろう!!!」



 へー、【槌鍛冶士】がそう言うのは珍しい気がするな。

 ……いや、あの表情的に本当は作ろうと思えばそれなりには作れるんだろうな。

 だが、【槌鍛冶士】の満足の行くものが作れないのが目に見えて分かるから自分にもそう言い聞かせて我慢しているわけだ。

 生産プレイヤー魂ってやつだな……





 相変わらず規格外なものを簡単に作ってきますね……


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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