1898話 目指す先
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【マキ】、【ファインド】と組んで勇者である【キズマイナ】に挑んでいたな。
途中まではわりといい感じに戦闘を運んでいたのだが、戦いに慣れてきた【キズマイナ】の力に対処できず俺たちはなす術なくやられてしまったわけだ。
あれは強過ぎるって!
……だが、その一方で【マキ】がかなり食らいついていたのを見たので成長を感じられたな。
MVPプレイヤーの中でも最下位争いをしている【マキ】だったが、そこから一気に抜き出た形になるだろうよ。
スキルもそうだが、戦い方についてもかなり上手くなっているからなぁ。
俺が教えた甲斐があるというものだ!
というわけでやってきました……新緑都市アネイブルにあるほのぼの市場!
ここで【ファインド】と【マキ】とお茶をしていた。
シフォンケーキを摘まみながらハーブティーを啜るのだ!
「【マキ】っち、【包丁戦士】っち!
この前の【キズマイナ】戦は残念だったね」
まず口を開いたのは【ファインド】だ。
負けて気持ちが落ち込んでいるであろう俺たちを気遣っての言葉だろうな。
だが、真っ先に落ちたのはお前だったよな?
実はお前が一番落ち込んでいるんじゃないかと思うんだが……
「えー、それはないかな?
私は【マキ】っちや【包丁戦士】っちの二人みたいに自分の力にそこまで自信があるわけじゃないし、元々負けるなら私が一番始めにやられるって分かってたからね」
実力を弁えているといえばそうだが、ある意味諦念みたいなものだろうな。
【マキ】と戦い続けてきたからこその越えられない壁というのを感じ取ってしまったのだろう。
自分自身の成長に蓋をしてしまっているようにも思える。
「それよりも、今回の練習は役立ったかな?
そろそろ戦うと思う【ランゼルート】への事前練習になってくれてたら良かったんだけど」
そういえば【ファインド】からの提案だったな。
お前のアイディアは助かったぞ!
勇者である【キズマイナ】を利用して【マキ】と組んで【ランゼルート】対策をするって考えが俺にはなかったからな!
「うちも同じくだよ~
そのまま本番に行こうと思ってたからね~
うちの新しいスキルがあそこまで勇者相手に役立つなら勝ち目も少しは増えそうだもんね~」
あくまでも少しだけどな。
耐える手段は見つかったからあとは効果的な攻撃手段があるといいんだが……
ん?
いや待てよ?
俺は効果的な攻撃手段を最近手に入れていたな!
【正義】系の大罪スキルだ!
今回は大罪域の風が吹き荒れていなかったので使えなかったものの、戦況さえ整えてしまえば【マキ】の防御力と俺の攻撃力で対抗するという光が見えてきた!
「変態お姉さん、そんな新しい攻撃方法を手に入れてたんだ~!
本当は昨日見てみたかったんだけど、使えないなら無理だもんね~
残念だよ~」
「【包丁戦士】っちも【マキ】っちもどんどん遠くなっていってるな~!
私も強くなりたいんだけど目標があればいいんだけど」
【ファインド】の目標か……
それならやっぱり望遠鏡次元のMVPプレイヤーの【牛乳パフェ】じゃないだろうか。
あいつはチュートリアル武器が望遠鏡で魔眼使いで、【ファインド】はチュートリアル武器が双眼鏡で魔眼使いという酷似した戦闘スタイルだからな!
むしろこれほど似てるやつもいないだろう。
そして、【ファインド】よりも【牛乳パフェ】の方が純粋に『強い』から目指す先としては明確に見やすいだろうよ。
「あの人か~!
確かに強いんだけど人間性的には苦手なんだよね……」
大丈夫だ、俺も似たようなものだからな!
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】