1883話 閑散と換算
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【大罪魔】からユニーククエストを受注していたな。
かなり久々に受注した気がするから気合いが入ってくるぞ!
というわけでやって来ました流刑次元!
同行人は勇者であり元クランメンバーの【キズマイナ】だ。
「ふひひっ、【大罪魔】からのユニーククエストのお陰でここにも来れましたし、いい機会になりそうな予感ですよぉぉ!
あてぃしがこれだけアクティブに動くのは久しぶりかもしれませんねぇぇ!」
まぁ、確かに【キズマイナ】は闘技場か自分の住居へ引きこもるかの二択のような行動パターンだったからな。
【キズマイナ】の場所の特定もそのお陰で簡単だったのだが、最近は【屍山血河城塞アンデッド】に籠りっきりでさらに他へ出歩く機会も減っていたので新規開拓をどんどん進めていくのは悪くないと思うぞ!
「それで入ってみましたがエリアの中央に大きな穴が空いていて、外郭には扉のようなものが幾つかありますねぇぇ?」
あぁ、真ん中の大穴には巨大な【大罪魔】が居座っていたのだ。
あそこからひたすらこっちに攻撃を仕掛けてきていたから狙いやすさはあったな。
扉みたいなやつは他の次元との行き来をするための設備だな。
ここには包丁次元や統合される側の蛇腹剣次元以外の全ての次元がアクセス出来るから、運が良ければ他の次元のMVPプレイヤーにも会えるかもな。
【大罪魔】も倒したし、この場所は最近はあまり需要無いみたいだけど。
「そうみたいですねぇぇ……
特別目立つようなランドマークも無いですし、どこを調べたらいいのか分からなくなるくらい殺風景な場所ですよぉぉ!」
そうなんだよなぁ……
俺も【大罪魔】を倒してから来てみたことは何度かあるが、別にこれといって変化したものがあるとは思えなかった。
新たに出現したものがあったらそれを調べたらいいと思ったのだが特にそういうものも無いしな……
「でも【大罪魔】がリソースを捻出してまでユニーククエストを出したということは何かしらの確信があるということですよぉぉ!
そうじゃないと収支がマイナスになりますからねぇぇ……
ただ、それを何か伝えるには制限がかけられていてあてぃしたちに直接話せない……かもしれませんねぇぇ!」
【上位権限】レイドボスにありがちな制限だな。
【キズマイナ】にもその部分はあるし、ゲームの仕様上全てプレイヤーに伝えられてしまうと難易度が簡単になってしまいすぎるからこその制約だろう。
「そういうことですねぇぇ!
だからこそ何かしらのヒントになるものがここにあるはずなんですけどぉぉ……」
とは言っても無いものはない!
仕方ないから端から端まで歩いてみるか。
このまま眺めているだけだと埒が明かないからな……
というわけで【キズマイナ】と散歩をすることになった。
他の次元に通じる扉を一つ一つ触ってみたり、周囲を見渡してみたりしたがやはり特に反応が返ってきた試しは無かった。
【大罪魔】のことを疑うわけじゃないんだが、この脱け殻のようになった流刑次元を探索する価値はあるのか……?
ただリソースを食い荒らしているだけの場所としか思えないくらい閑散としているんだが……
閑散としていたり、していなかったりする……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】