1871話 おいおい!
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【大罪魔】にやられまくってとうとう【正義】称号二つと【正義】スキル二つを手に入れることが出来たな!
かなり無理矢理育てたみたいな感じになったが、元々【ランゼルート】から食いちぎってきた足や鎧から派生した称号を基軸にしていたので思ったより容易に育ったらしい。
というわけでやって来ました……【屍山血河城塞アンデッド】!
ここで【キズマイナ】と会っていた。
俺が【正義】スキルを無事手に入れられたということを報告しに来たわけだな!
「えっ、【包丁戦士】さんがもう【正義】スキルを手に入れられたんですかぁぁ!?
しかも二つも!?
……これは【大罪魔】の妙案の効果が抜群だったというわけですねぇぇ!
あてぃしも【包丁戦士】さんにそれくらい効率的な強化方法を教えられたら良かったんですけど、【上位権限】レイドボスとしての歴の差がここで響いて来てますねぇぇ!」
【キズマイナ】は【大罪魔】に若干嫉妬しているようだった。
その反応は予想外だったな!?
「だってこんなに短時間でスキルを習得させるなんて中々出来ることじゃないですからねぇぇ!
それを成し遂げた功績が羨ましいのは当然ですよぉぉ!」
そういうものなのか。
普通のプレイヤー視点だとその辺は分からないな。
「ふひひっ、【包丁戦士】さんが普通のプレイヤーかどうかは疑問の余地がありそうですけどねぇぇ……
それはそうとして、あてぃし相手にスキルを試してみませんかぁぁ?
細部は違いますが【勇者】相手の使用感を試すのはありだと思いますよぉぉ!
あてぃしも役に立ちたいですからねぇぇ!」
そういうことなら遠慮なくいかせてもらうぞ!
スキル発動!【正義勇足】!
俺がスキルを発動させると足が光輝き始めた。
それでそのまま【キズマイナ】を蹴りつけてみると……
「ヴッッッッッ!?
この威力……【包丁戦士】さんが単体のスキルで出したものとは思えないほど重いですよぉぉ!?
まるであてぃしと同格の相手から攻撃されたみたいですぅぅ!」
俺の攻撃をもろに受けた【キズマイナ】からはそういう感想をもらったが……
もしや、【ランゼルート】級の出力を出せているのか!?
まぁ、ただのキックだから武器で攻撃するより当てにくいんだが、そのデメリットを大きく上回るほどのメリットだな!
【正義】の権能を発揮できるタイミングでしか使えないのが残念なくらいだ。
「咄嗟に受け身を取らなかったらお腹に穴が空いていたかもしれませんねぇぇ!
しかもデメリットも無さそうですし、便利に使えそうですよぉぉ!」
確かにデメリットはないが、使える状態に俺から持っていくことが難しいんだよな……
この【屍山血河城塞アンデッド】は【大罪魔】が出現したことで大罪域の風が吹き荒れているからこそ大罪スキルを自由に使えるが、全体配布じゃない大罪スキルは権能を付与されている状態じゃないと使えないか、性能を制限されてしまう。
だから、【ランゼルート】と対面した時でもこの【正義勇足】を使えるかどうかは分からないというわけだ。
「そんなこと言ったら【正義】スキルを手に入れた意味がないじゃないですかぁぁ!
そこは【包丁戦士】さんが頑張って状況を作るしかないですよぉぉ!」
おっしゃる通りで。
ここから先は自己解決するしかない。
大罪の起動には気持ちの昂り、感情の閾値を越えることが多分必要になる。
【ランゼルート】のような強敵相手なら発動させるのもそこまで苦労しないとは思うが、あとは狙ったタイミングでいけるかどうかだよな……
「でも、対抗できる手札が増えただけでも大きな進歩ですよねぇぇ!
純粋な出力で渡り合えるなら気持ちは楽になると思いますよぉぉ!」
だよな。
そこは追々考えていくか……
おいおいだったりする……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】