1865話 後悔後に立つ
【Raid Battle！】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン！
昨日は【大罪魔】……【『sin』虚飾大罪を司る悪魔】を復元したところだったな。
良いところだったんだがリアルでの呼び出しがあったのであの後すぐにログアウトすることになってしまった。
VRゲームだとこういうことがあるからままならないよな。
しかも、【大罪魔】側も急に俺があのタイミングでログアウトしたから驚いていることだろう。
普通はもっと色々訊くだろうしな！
というわけでやって来ました【特異次元 死屍累々城塞バンデッド】の元になった場所にある魔王城！
「待ってたり、待ってなかったりする……」
【大罪魔】は若干頬を膨らませながら怒り、俺を待っていたようだ。
そりゃそうだよな。
理由は分かってるし、そんなに怒るなって！
それよりもまず訊きたいのはこのエリアの名前だ。
今は【特異次元 死屍累々城塞バンデッド】の元になった場所としか表現できないから面倒なんだよ。
「それくらいだったら教えられるの！
ここは【屍山血河城塞アンデッド】だったりする……」
へぇ、【屍山血河城塞アンデッド】か。
微妙に名前が違うんだな……
そう俺が呟くと脳内に無機質な声のアナウンスが鳴り響き始めた。
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がエリア名称を確認しました】
【【屍山血河城塞アンデッド】】
【【？？？】の特殊防御権限が1部解除されました】
あっ、そういえば新規発見のエリアだから名称が分かったらこのアナウンスが流れるんだったな。
久しぶりだから頭から抜けてたぞ……
「それで、私を復元した目的は何だったりするの？」
目的……？？？
いや、特に無いが？？？
だって復元されたのって偶然だし……
「信じられなかったり、あり得なかったりする……
ここに来るまでに相当大変だったはずなの。
それなら何を求めてこの場所へ……！？」
ここにあるものについては特に目的はじゃなったんだよな。
強いて言うならこの場所の地力みたいなものか。
それを利用させてもらっている。
あとはほぼオマケみたいなものだ。
だからこそ、地下にあった石像に触れたら急にお前が出てきて心底驚いたんだぞ？
この魔王城はお前の本拠地だったのか。
「そうだったり、そうじゃなかったりする……
かつて行われた陣営対戦で命を落とす前の私がここに住んでいたの。
しばらくは隠れ住んでいたけど、【荒野の自由】や機戒種族と手を組んでいた次元天子や聖獣たちの攻め手が苛烈過ぎて逃げるだけでは勝てる見込みが皆無だったり、無かったりした……」
つまり、この本拠地がバレないように攻勢に出たわけだな。
だが、その結果肉体を失ってしまったということは敗北したということだ。
「忍耐が無かったり、作戦負けだったりする……
最後まで隠れていた方が良かったかもしれないの」
そう落ち込む【大罪魔】だったが、それは結果論だろう。
【荒野の自由】たち機戒種族や、次元天子、聖獣たちの攻め手が苛烈だったんだから下手するとこの場所もろとも破壊されていた可能性もあるんだからな。
それを考えると何度も蘇ってようやく本拠地に戻ってこれたんだからお前的にはプラスじゃないにしてもゼロの状態くらいにはなったんじゃないのか？
もし守ってばかりだったら本拠地を失った状態で、あの石像も無くなっていただろうし今回の復元も出来なかったことだろうよ。
「そうだったり、そうじゃなかったりする……
結局は仮定の話なの。
どっちにしても後悔は無くならないの……」
そこは自己解決してくれよな！
せっかく肉体を取り戻したんだ、今度はその後悔を晴らせるように動いてみるのも悪くないんじゃないか？
ありだったり、ありじゃなかったりする……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】
