1863話 かつての仲間たち
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【特異次元 死屍累々城塞バンデッド】の元となったと思われる場所へと突撃していたな。
ゾンビが壁のように感じてしまうほどの群勢に対して【キズマイナ】という反則級の強さを持つ勇者を引き連れていってもかなり苦戦したが、何とか城塞へと突入することが出来た。
そこで魔王城のような建物を見つけて中に入ってみたのだが中身はもぬけの殻だった。
なので収穫が無かったと思いかけていたが、【キズマイナ】に教えられて魔王城へのワープ機能が解放されていたことに気がついたわけだ。
あのゾンビたちを乗り越えて再びあの場所に行けって言われたら絶対に行かないが、ワープ機能があるなら話が変わってくる。
【キズマイナ】も俺がログアウトしている間に一人で探索しているみたいだし、俺もちょっくら顔を出してみるか!
というわけでやって来ました【特異次元 死屍累々城塞バンデッド】の元になった場所と思われるエリア!
ワープしてきた場所に【キズマイナ】は居なかったが、魔王城も広さだけはあるしそもそも魔王城内にいない可能性もあるからな!
ここの城塞は一応魔王城の他にも建物があるし、そっちを調べているのかもな。
「【包丁戦士】さん、今日も来たんですねぇぇ!」
まぁ、せっかく到達した新エリアだからな。
今のところ成果も少ないし、逆にまだ何か隠されているんじゃないかって思ってな。
流石にもっと目に見える実績が俺の内心的に欲しいものだ。
……それで、【キズマイナ】は何か見つけたのか?
「一応生活の痕跡みたいなものは至るところに残ってましたよぉぉ!
基本的には地上にいた底辺種族たちの生活とほとんど変わっていないみたいですが、ここの城主から受け入れた力をところどころ活かした特殊な痕跡もありましたぁぁ!
受け入れるのに失敗して悲惨な末路を辿っている同族が多いのもあって、適合できた同族たちはそれなりに恩恵を受けているみたいでしたねぇぇ!」
ふーん、そういうのもか。
下賜された力というのものはだいたいろくでもないことが多いが、一応リスクとリターンが釣り合っているならギリギリ許容範囲内だろう。
「城塞の外にいたゾンビたちも底辺種族の成れの果てのような感じなので、一度城塞の中に入れた勇者であるあてぃしには敵対行為を働かなくなりましたぁぁ!
それどころか支配下に置けましたぁぁ!
これが元同族たちじゃなかったら無理だったかもしれませんけど、あてぃしが底辺種族の【上位権限】レイドボスだったことが功を奏したわけですねぇぇ!
他の【上位権限】レイドボスだったらこうはいかなかったですよぉぉ!」
まさかの利点だな。
底辺種族由来ということが活かせる機会ってほとんどないと思っていたのだが、こういうこともあるのか……
逆に驚きだぞ。
ちなみに、生活の痕跡以外に何かアイテムとかは見つけたか?
有用なものだとありがたいんだが……
「それは全くないですねぇぇ!
あてぃしたちのような底辺種族がそんなに有用なもの持っているなんて滅多にないですから当然ですけどぉぉ!
そうじゃなかったらほぼ絶滅みたいな状態にならなかったですねぇぇ!」
それもそうか。
世知辛いが、下賜をされる側ということは元々持たざる者たちだってことだもんな。
有用なものを持っていたらわざわざこんな地下まで逃げてきてないだろうよ。
「ふひひっ、そうなんですよねぇぇ……
自分の種族ながら情けないですぅぅ……
ですが、それを打破するのがあてぃしの勇者としての価値でもありますぅぅ!
【包丁戦士】さんが次元戦争で戦ったという聖剣次元の【ランゼルート】が示したように、可能性を感じさせる行動を心がけないとですねぇぇ!」
……、……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】