1851話 所属の理由
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日はさっそく【ハリネズミ】たちに特訓をしてやっていたんだったな。
やはりぶっつけ本番で俺が一人で相手をしてやったが、すぐに撹乱されてしまってこのままでは使い物にならない連携だった。
まだまだ特訓あるのみだな!
というわけでやって来ました岩山エリア……堅牢剣山ソイングレスト!
本当は【ハリネズミ】たちの特訓に連日付き合ってやりたい気持ちもあったのだが、流石に新規メンバーたちを放置しておくのもしのびないからな。
……まぁ、【コラテラルダメージ】の方針からして後々は放置になるんだが。
なので、今日は【マリシャス】のメンバーたちと交流することしていた。
「包丁次元のMVPプレイヤーがいるクランに加入出来るとは僥倖だ。
……この私、【エッジ】がクランメンバーたちを説き伏せて面談に行った価値はあった」
やはりクランリーダーのお前の差し金だったわけだ。
とはいえ、他のメンバーたちもおおっぴらに反対している様子でもないからそこまで苦労はしなかったんだろ?
「お見事、慧眼だ。
……悪寄りのクランかつメンバーの行動をほとんど縛らない方針と聞いたからこそ、あくまでも庇護下に入るという目的だったからこそスムーズだったのだ」
つまり、包丁次元での受け皿が欲しかったわけだ。
「その認識で問題はない。
……不服か?」
いや、充分だ。
それくらいでいてくれると俺も助かるからな。
俺自身が独自のユニーククエストを抱え込んでいてソロプレイをすることが多いから、都度指示を受けないと何も出来ないプレイヤーが入ったとしても俺は扱えないからな。
お前たちのようにコンセプトがしっかりしていて自律しているクランを抱え込めるのはありがたい申し出だったんだぞ?
タイミングが良かったな。
「他のクランが希望を出す前で良かった。
……私のクランの方針を変えないまま受け入れられるようなクランが包丁次元では少ないように感じた」
それは俺のせいだろうな。
俺が他の連中でも狩りやすそうなプレイヤーまで狩り尽くしてしまっているからだ!
そりゃ獲物が無ければ栄えるものも栄えないだろう。
俺はプレイヤーキラーだからな、俺と競合したいような気概のあるやつが現れなければ自然な流れと言えるぞ!
「普通はMVPプレイヤークラスのプレイヤーが大手を振ってプレイヤーキルに興じるということがない。
……包丁次元特有の特徴か」
そういうことだな。
代わりにダンジョン攻略とかロールプレイをするような連中が多いのかもしれない。
力をあり余したプレイヤーは特にダンジョン攻略にエネルギーを費やしているのだろう。
だからこの包丁次元では【冒険者の宴】が戦闘系クランの中では最大勢力になっているというわけだ。
あそこは班分けしないとまともに活動できないくらいに人数が多いらしいし、クランリーダーの運営管理だけでも大変そうだ。
【風船飛行士】レベルの並列思考能力の高さが無ければゲーム内時間だけでその辺りを済ませるのは困難だろう。
MVPプレイヤーだと【綺羅星天奈】、【牛乳パフェ】くらいだな。
他にも演算能力だけなら【ランゼルート】とかもいけそうな気もするが、微妙にタイプが違うからな。
ちなみに、俺にそれを求められても困るからな?
まっっっっっったくその辺りの統制能力はないからだ!
せめて少数チームを率いるのが限度だろう。
次元戦争でも50人規模のものは何度かあったが、その半分以下くらいしか制御できてなかったしその辺りは純粋に才能がないのだろうよ。
「了解、覚えておく」
本当はその辺りの技術も磨いてほしいのですが……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】