1849話 船を編む
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【フランベルジェナイト】とクラン【マリシャス】のメンバーとの対戦が行われたんだったな。
ほとんど【フランベルジェナイト】が押している戦況だったのだが、その戦いぶりから判断して【フランベルジェナイト】が認めた形となった。
俺が必要としていた用途を説明したのもあるんだが、それを踏まえた上で今後必要なものだと思ったんだろう。
だが、その一方でクラン単位で加入するという同じ立場の【ハリネズミ】たちはあまりいい顔をしていなかったから今日はそれを何とかするとしよう。
まずは聞き取りからだな!
というわけでやって来ました海エリア……魔海城船アンサンセの上。
【ハリネズミ】メンバー全員を呼び出し、それ以外のメンバーを排除した上で航海に出ていた。
「リーダーと久しぶりに海に出れて良かったです。
最近忙しそうなんで誘おうにも誘えなかったんすよ」
「拙者、【包丁戦士】すこすこ侍。
連日間近で見られて嬉しいで候」
侍モブや他のプレイヤーたちも俺と同行できるのが嬉しいらしく、ワイワイ騒ぎながら広い船の上なのに俺の周りだけで密集してきていた。
俺のこと好きすぎか!?
そのついでに聞いておこう。
他のメンバーがいないから素直な意見を聞きたいんだが、【マリシャス】のメンバーについてどう思っているんだ?
「やっぱりリーダーにはバレてた!」
「そりゃそうだよな」
「顔に出ちゃってたか~」
「未熟で候……」
まあ、反応や表情からして割と露骨ではあったからな。
多分他のクランメンバーも気づいてるやつはいたぞ?
「がーん」
「そんな露骨だったのか……」
それで一応お前たちの口から何が不満なのか聞いておきたくてな。
この隔離空間を作ったわけだ、存分に話してくれ!
「【包丁戦士】リーダーがそういうなら……」
「いろいろあるんすけど、とりあえずは俺たちの立場がどうなるのか不安ですね」
「戦力的に向こうの方が強そうだし……」
まぁ、お前たちに特別戦闘訓練を施したりしてないし、そもそもお前らは特に方針の無いエンジョイ勢だ。
戦力として違うのは仕方ないだろう。
向こうは傭兵プレイ……しかもコンセプトが決まったガチガチのタイプだ。
対プレイヤー戦、集団戦闘では今後勝てる見込みはよほどないだろう。
【尺八僧侶】を軸に特訓すればたまに勝てるくらいにはなるだろうが、お前らのプレイスタイル的にどうなるかだよな。
「一応ワンチャンはあるんすね」
「やってみたい!」
「考えたことすら無かったな」
んお?
思ったよりも乗り気だな。
それなら今度特訓してやるよ。
「えっ、本当ですか!」
「リーダーの特訓楽しみ!」
「ここから俺たちの覚醒きちゃうか~!」
いや、覚醒するかは知らんが……
とりあえず【マリシャス】に勝つかは分からないが、ある程度戦えるくらいにはしてやろう。
……ただし、俺の特訓はキツいぞ?
途中で逃げ出したら見捨てるから覚悟しておけよ!
いいな?
「うっす!」
「了解っす」
「頑張るで候」
そのやる気が続けばいいのですが……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】