1842話 死ぬことで貢献、生きることで貢献
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【釣竿剣士】の反省とかを聞いていたな。
【東雲あすか】相手に二人がかりで苦戦してしまったことを、そして途中で離脱することになったのを悔いているようだった。
目標としている【師匠】なら一人でも余裕勝てたと思っているらしい。
……まぁ、多分実際にそうなるんだろうが今すぐその境地に達していなくてもいいと思うんだが?
というわけでやって来ました新緑都市アネイブルにあるほのぼの市場!
ここでボマードちゃんと焼きそばを食べていた。
「今回の次元戦争も勝てて良かったですね!
いや~、私一人で戦うタイミングがあったのでどうしようかと思っていたんですけど何とか倒せたのが良かったです!
【包丁戦士】さんのためにこの身体を使えたってことですからね~!」
ボマードちゃんは身をくねくねさせながらそう言ってきた、発情でもしてるのか……?
だがまぁ、正直サポート役としての立ち回りを期待していただけに、敵の単騎撃破を成し遂げられたのはかなりありがたかったな!
しかも【改造】の大罪を烙印されていた【水渡かぶぼ】というプレイヤーが相手だったのだから大したものだ。
「蕪を改造して色々な効果の投擲物にしてきていましたね!
いや~、なんで蕪に拘ってたのか分からないんですけど爆発したり毒をばら蒔いてきたり中々大変だったんですよ~!」
へー、そんな相手だったのか。
それは大変だったな。
「でも、1個ラッキーだったことがあります!
いや~、【水渡かぶぼ】さんは大罪スキルの【青果改造】しかスキルを使ってこなかったんですよ。
なので基本的に投げてくる蕪に気をつけていれば何とかなったのが私でも戦えた理由ですね!」
スキルを一つしか使ってこなかったのか……?
確かに新七つの大罪は比較的新しめに烙印された関係で大罪の進行が遅れるのは分かっているが、それでも大罪スキル以外で戦えば良かったと思うんだが……
「どうやら向こうは元々完全に農耕系の生産プレイヤーだったみたいです。
いや~、だからこそ新しく自分だけが手に入れたスキル【青果改造】を戦闘で試したくてウズウズしていたみたいですよ!」
なるほどな。
新しいおもちゃを手に入れた子供もそればっかり使うしな……俺も気持ちは分かる。
俺だって手に入れたばかりのスキルは試運転しがちだ。
「でも、純粋な生産プレイヤーだった人でも大罪を烙印されてその力を使いこなせたら急に強くなるものなんですね。
いや~、それなら私も何かの大罪に目覚めてみたいですね~!」
まぁ、ボマードちゃんが烙印されるとすれば【色欲】だろうな……
頭お花畑だし……
あ、そういえばお前が水中から離脱した後も【修練武器上位解放】によるバフとデバフを継続してくれていて助かったぞ。
お陰で【夢魔たこす】と戦う時も最低限の消耗で何とか勝つことが出来たんだからな!
ダメージもそうだし、スキルとかアイテムとかの消費も俺が単体で戦ったときよりもかなり抑えられたと思う。
【夢魔たこす】は俺と同格のスペックを持ってるMVPプレイヤーだ、本来は勝ったとしても死屍累々な状態になっていたと考えたらボマードちゃんは生きていただけでも俺に貢献してくれていたと言えるだろう。
これまで死ぬことで貢献してきていたボマードちゃんが生き延びていることで貢献することが出来たのが少し感慨深いものがあるぞ!
「そう言われてみるとそうかもしれませんね。
いや~、私もなんだか嬉しくなってきましたね~」
呑気なものですが、勝者には相応しい休暇きもしれませんね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】