1840話 夜灯りの導き手と死神を司る者
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【ファインド】と【マキ】の二人に会って話していたな。
俺が予想していた通り二人の仲がそれなりに良かったのは特に意外性は無かったのだが、クランメンバーとしてクラン【スネーク・アイズ】への愛着を示していたのはちょっと驚いた。
ああいうタイプってわりと放浪していたりするかと思っていたからな。
というわけでやって来ました草原エリア!
【マキ】に頼んでここにとある人物を呼び出してもらっていた、そいつの名前は……
「紅蓮の海に漂いし者……
それは強敵だったわ!」
そう、【ヲ神死弖煌邪】だ!
この中二病少女に次元戦争でどんな行動をしていたのか聞いていたわけだ。
そうして聞いてみたのだが、案の定要領を得ない返答が返ってきた。
紅蓮の海に漂いし者……海って考えると深海種族か。
そして紅蓮のってことは熱いか赤いかだろう。
……ん、これって【夢魔たこす】のことか?
あいつの髪の毛のカラーリングとか蛸足とかはそんな感じだし、あり得るな。
そして【ヲ神死弖煌邪】が苦戦したというのは【マキ】からの前情報からして、【夢魔たこす】に蛇腹剣次元のプレイヤー三人が追い詰められたというものがあったからな。
その時のことを今説明しようとしてくれているのだろう。
「昏迷する水の寄る辺が死を司る私たちに這い寄ってきていたのよ!
そこで偵察者が冥界へ誘われてしまったわ……
天空の主との戦いの時まで生きてくれていたらもっと魔の手を伸ばせていたのに、残念ね」
【夢魔たこす】に【ファインド】がヤられてたってことと、天空の主?
【ヲ神死弖煌邪】が戦ったプレイヤーから逆算して考えると天変地異を再現する【師匠】のことだろうか?
【師匠】戦の時まで【ファインド】が生存してくれていたらもっと【師匠】を追い詰められていた……というニュアンスで話しているのか?
「そして、天空の主と戦う前に死神たる私が遭遇したのは……夜灯りの導き手ね。
暗闇で生きる私には眩すぎる光たちだったけど、その希望を黒く塗り潰しておいたわよ!」
夜灯りの導き手……?
【夢魔たこす】でも【師匠】でもないということで、俺が遭遇した他のプレイヤーにも該当しそうなやつはいないな。
となるとコイツが【ヲ神死弖煌邪】単独で倒した相手なのだろう。
俺が知っている釣竿次元のプレイヤーの中で考えたら……【灯莉アカリ】か?
夜灯りの導き手ということで、チュートリアル武器がカンテラのコイツが似合うし異能力も光を操るものだからだ!
あいつ、結構強めなプレイヤーなはずなんだがよく【ヲ神死弖煌邪】一人で勝てたな?
俺が単独で挑んだ時も結構苦戦したんだぞ……!?
「神速で駆けるこの冥足に夜灯りの導き手はついてこれなかっただけよ。
この大鎌の前に頭を垂れる格好の獲物だったわ!」
戦闘スタイルが噛み合って有利に戦いを進められたということなのだろう。
自分の間合いになるまで相手に接近できたということだろうが、あの光の応酬を潜り抜けて必勝の間合いへ持ち込めたのはそれだけで【ヲ神死弖煌邪】が優れたプレイヤーということが伝わってくる。
【師匠】が見込んだプレイヤーなだけあるな!
「終演の地にて私が天空の主と対峙した時、その圧倒的力の差に全身の力が抜け落ちそうになったわ……
でも、盟友たる毒蛇はその牙を突き立てて来たというわ、まるで青天の霹靂ね」
それは全くその通りだなぁ……
そういうことですね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】