1838話 見つけ出す変態
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【マキ】と一緒にフルーツパフェを食べながら次元戦争の振り返りをしていたな。
中々知らない情報があったりして改めて聞いておいて良かったと思った。
知らない蛇腹剣次元のプレイヤーとか釣竿次元のプレイヤーがいたり……だな!
というわけでやって来ました新緑都市アネイブル!
ここで食材を物色していると聞き覚えのない声のプレイヤーが俺に声をかけてきた。
「ども~!
はじめまして【包丁戦士】っち!」
初見の割にはかなり馴れ馴れしい声のかけ方だな……?
「いや、最近よく見てたんで一方的に馴染んじゃったんだよね~」
そんなに俺を見る機会なんてあったのか?
そう思い俺に声をかけてきたプレイヤーの姿を見てみると、茶髪でポニーテールの女だった。
首からは紐で吊り下げられた双眼鏡がかかっていた。
もしやお前が【マキ】の言ってた今回の次元戦争に参加していた蛇腹剣次元のプレイヤー……【ファインド】か!?
「ピンポ~ン!
【包丁戦士】っち冴えてるね!
【マキ】っちから聞いてたんだね」
そういうことだ。
ちょうど昨日はじめてお前の存在を聞いたぞ。
「それは嬉しいようなショックなような感じだね。
私は【包丁戦士】っちのことをこの双眼鏡で遠くからじーっと最近は観察してたのに!」
それは完全にストーカーってやつなのではないだろうか?
気配には人一倍敏感な俺だが、流石に遠方から一方的に観察されていたのには気づかなかったな。
……それで、なんでよりにもよって俺を観察していたんだ?
確かに俺は可憐な乙女だが、見た目なら俺よりも見ごたえのあるプレイヤーは包丁次元にいっぱいいるぞ?
女なら【トランポリン守兵】お嬢様とか男なら【フランベルジェナイト】とか……
俺がそう提案すると【ファインド】は首を横に振りながら俺の方へと人差し指を突き出してきた。
「いやいや、【包丁戦士】っちが一番だって!
やっぱり他の次元のMVPプレイヤーだし、アグレッシブな動きをしたり予想外の動きをしたりするって【マキ】っちに聞いてたから包丁次元に来たら絶対観察してみたいと思ってたんだよね」
そ、そうか……
褒められるのは嬉しいが、プライベートを観察されるのは複雑な気分だな……
それにしてもさっきから【マキ】の名前がよく出てきているがどういう知り合いなんだ?
聞いた感じ割りと話す関係っぽそうだが?
「そだね~
私は【マキ】っちのクラン【スネーク・アイズ】に入ってるメンバーなんだ!
同じクランのメンバーだから当然話す機会もそれなりに多いんだよ」
あー、【マキ】のクランメンバーだったのか。
それなら色々と聞いているのも納得できる。
ちなみにだが、今回の次元戦争ではどんな風に活躍してたんだ?
「私は【夢魔たこす】っちに早々にやられちゃったからそんなに目立った活躍はしてないんだよね、残念!
精々、【マキ】っちとか【ヲ神死弖煌邪】っちが逃げる時間を少しだけ作ったくらいかな~?」
多少の時間稼ぎが出来たということは一応戦闘は出来るってことだよな。
やっぱりその双眼鏡を使って戦うのか?
「そだよ~!
【牛乳パフェ】っちって知ってるよね?
色々と違うところはあるけどイメージはあんな感じだよ」
【マキ】からも事前に聞いていたが、本人視点……つまり【ファインド】自身の認識も同じだったということだ。
こんな遠距離支援持ちプレイヤーがまだまだ潜んでいたとはな……
また変なプレイヤーに目をつけられましたね……?
全く、これだから劣化天子は。
類は友を呼ぶというものですね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】