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1835話 空中浮遊【包丁戦士】

 「はて、その異形の腕でどのように戦うのか見せてもらおうか。

 最近手に入れたであろう力に振り回されておるのでは本末転倒であるぞ?」



 まぁ、使いなれてないのは否定しないが……

 手に入れた時期からして仕方ないし。

 だが、それなりに使って感覚は掴んでいるんだし何とかなるだろ!



 というわけで【師匠】へ再び切りかかっていく。

 今度は異形の左腕で刈り取る感じだな!

 【師匠】はそれを釣竿で受け止めてきたが……



 「ぬぅ……想像よりは重い一撃だ」



 ほっ、とりあえずこの腕が千切れなくて良かった……

 剣カテゴリーの武器が弱点の腕だから【師匠】が使う釣竿が剣に分類されていたらヤバかったな……

 ……いや、冷静に考えて釣竿が剣っていうのもおかしな話だが、【釣竿剣士】や【師匠】が使っているとそういうイメージを持ってしまうのだ。

 これは俺は悪くないよな?

 だって、【釣竿剣士】だってわざわざ2つ名に剣士って入ってるくらいだし……

 システム的にも剣にカテゴライズされていてもおかしくはないと思ってしまったというわけだ。



 というわけで、強気に攻めていこう!



 俺は【師匠】からの反撃を食らわないように、釣竿が構えられている方向から見て死角になる場所から攻めては退くというヒットアンドアウェイ戦術に徹することにした。

 スキルも混ぜず、本当に己の直感、肌感覚での繊細な戦線だな……



 「なるほど。

 儂ではなく、儂の持つ釣竿での反撃を恐れた立ち回りということか。

 片腕だけになってしまって持ちかえが出来なくなってしまった故に、反撃にワンテンポ遅れる角度を狙う……これは、中々賢い娘だ」



 まぁ、俺がやっていることなんて【師匠】にはすぐバレるか……

 バレる前とバレた後では反撃スピードが少し変わってしまうからもう少し後で気づいてくれてたら楽だったのにな。



 「このままお前さんを自由にしておったら儂の身も危ないか……

 元気な娘っ子には申し訳ないが、お疲れであろう?

 そろそろ遊びを終えてもらおうではないか。

 儂の極意の一つ……その身で受けてもらおう!

 ……釣竿一刀流【奥義ー空錠】」



 俺の纏わりつくような執拗な攻めに対して反撃するために【師匠】が技の宣言し、釣竿を俺に向けてくる。



 その瞬間、俺の時間が止まった……





 時が……止まった……?

 いや、これは前にも一度くらったことがある。

 俺の周りの空気を固めてきていて、全身が見えない壁に挟まれているような状況を作ってきているのだ!

 まるで真空パックの中に入ってしまったみたいだな…… 



 まさかこの釣竿一刀流【奥義ー空錠】は両手じゃなくてもきちんと使えるタイプだったのか……!?

 あわよくば使えないでもらいたかったものだが、使われてしまったものは仕方ないな……


 手足どころか口も動かせないのでスキル発動宣言も出来ないのが辛いな。

 スキルさえ使えたら幾つかこの状況を打破出来そうなものがあるのだが、その辺りも含めた上で封じてくる技なのがやばい。

 実質ボトムダウンオンラインのプレイヤーメタになってるんじゃないか!?



 「一刀斎やその弟子、それに【ランゼルート】ならばここから反撃の一手を生めるであろうが、お前さんでは無理であろう。

 力の性質からして前段階で準備しておかなければ対応できない故にな」



 【ランゼルート】は前に身体スペックの暴力でこの空中固定化を無理矢理突破しているのを見たから説得力がある。

 これだけで止められるような大人しいやつじゃないしな……

 それで勝てているなら【師匠】はとっくに【ランゼルート】を単独で倒せているはずだ。

 何回か試しているだろうが効き目はあくまでも足止めレベルだろうよ。


 そして【師匠】が言った一刀斎というのは釣竿次元の無言剣士、そして俺の同僚のおっさんのことだ。

 その弟子は必然的に同じ特権を持つ包丁次元のプレイヤーの【プロペラ遊人】のことを言及しているんだろうな。

 この二人はスキルを無言で宣言した扱いに出来る特権を【山伏権現】に与えられている。

 口が動かせない今のような状況でも何かしらのアクションを起こせるということを【師匠】は確信しているのだろう。



 そうか、【プロペラ遊人】は一種の【師匠】メタになるのか……!?

 これは考えたことが無かったが、釣竿一刀流【奥義ー空錠】を使わせる前提で動くなら編成に加えておくのもありなのかもしれない。



 「何やら考え込んでいるようだが、身動きも取れぬお前さんの命は風前の灯火と言ってもよいであろう。

 そろそろその灯火も消してやろう」



 そうして【師匠】は俺に歩み寄ってきて釣竿を振り下ろそうとした。








 その瞬間……



 「待たせたよ~!

 これでうちのさいきょ~スキルのお披露目だよ~!

 スキル発動!【修練武器超位解放】ー【湖奼姤之蛇(こたくのへび)】!」



 【師匠】の胸を突き抜ける衝動が鳴り響いていったのだった!





 


 来ましたね。


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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