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1834話 半ダルマ戦士

 「ふむ、今度は回避ではなく壁で守りを固めてきたか。

 一般的な対処方法ではあるが、お前さんがそれをするのは悪手だと思うがな。

 ほれ、強みであるフットワークの軽さが死んでおるぞ?」



 くっ、【師匠】め。

 痛いところ突いてきたな。

 これまでそこを指摘してきたやつなんてほとんどいないが、俺の戦闘方法を何回か見ただけで苦肉の策で壁を生み出したということがバレてしまっている。

 悔しいが【師匠】の言うように悪手だろうよ。

 

 俺は今深淵の黒い壁の後ろで身動きが取れなくなっているんだからな。

 これでは時間稼ぎしか出来ない……


 いや、ある意味ではそれでもいいのか? 

 戦闘中に引っ掻き回したお陰でこの時点で下準備は終わっているし……

 ただ、それが上手くいくかは微妙だ。

 タイミングを合わせられたらいいんだが、こればっかりは向こうの出方次第だよな。

 

 とはいえ、このまま放置していてはジリ貧で俺が押し負けてしまう。

 守ってばかりのこの状況を打破できるようにある程度は立ち回っておかないと、後手後手のまま最終局面を迎えてしまうことだろう。

 それは流石に避けたいよな……



 ということでスキル発動!【狐根灯災】!



 俺は壁に隠れながら【FOX SYSTEM】でコードを書き換えたスキル【狐根灯災】で【師匠】へと仕掛けていくことにした。

 【師匠】が対応しにくそうなものとして考えついたのが……



 「雨と拘束の同時攻めか……

 ぬっ、釣竿を握りにくくしてきたのか?」



 スキル【六尾狐雨】とスキル【五尾狐巻】の組み合わせだな。

 【六尾狐雨】は武器を握りにくくするという変わった特性を持つ雨を降らし、【五尾狐巻】は対象を取り囲むように狐の尻尾を生み出して行動を制限するというものだ。


 この組み合わせは中々鬱陶しいんじゃないか?

 特に片手だけになってしまった【師匠】はただでさえ釣竿の取り回しが難しい状態だからな……

 それに、釣竿を振り回そうにも少し動かしはじめたらその動きを妨害してくる狐の尻尾が周りを取り囲んでいるし。


 これで【師匠】にトドメを刺しにいけるなっ!

 くらえっ、必殺の袈裟斬り!



 不利な状況となった【師匠】へ俺は包丁で切りかかっていった。

 この千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかないからな!


 そして、俺の包丁が【師匠】の肩を切り裂いた瞬間……



 「……お前さんの動きが止まったな?

 それは最大の隙と言えるであろうな。

 釣竿一刀流【居合斬】」



 【師匠】は自分の肩で包丁を受け止めながら、代わりに俺の腕を全て綺麗さっぱり切り落として来たのだ!?

 

 痛っっっった!

 肉を切らして骨を断つと言うがまさにそれを体現した戦術だな!?

 

 腕を失った俺は包丁を【師匠】の身体に刺したまま一度後方へと下がって間合いを取るしか無くなってしまった。

 あのまま攻めていたら腕だけで済まなかったぞ……



 「お前さんの包丁は儂に刺さったままになっておるな。

 ここで抜いてもいいのだが、それを拾われても困る故にあえてこのまま肩に刺しておこう。

 お得意の曲芸を披露されてはたまらぬからな」



 刺したままにするのかよ!?

 それは流石に予想外だった。

 捨てられた包丁を拾う気満々だったので、完全にこっちの考えを見透かされているな……

 スキルでの攻撃や防御は確かに一つ一つ優れているのだが、やはり手に馴染む包丁が基軸になっているからこそ活きるのだ。

 それが無いと俺のトリッキーさは半減以下になってしまうだろうよ。


 【師匠】はそれを見抜いていて、ダメージ覚悟で包丁を肩に刺したまま動いているのだろう。

 お陰で【師匠】にダメージはそこそこ入っているのだが、ここからあと数手を詰め切れる自信はそんなにない。

 せめて【天元顕現権限】のスキル効果時間が続いていたら【深淵顕現権限】とのスキルチェインで身体を全回復させられたのだが、【夢魔たこす】や【東雲あすか】との戦闘でほとんど使いきってしまっていてここに来る途中で切れてしまったのだ。


 あとは【暴食】の権能によるダメージドレイン効果で回復するしかないが、【師匠】相手にそんなに攻撃を何回も当てられないだろうし回復量は期待できなさそうだ。

 せめて、腕だけでも回復出来たら……



 


 腕だけっ!?

 そうか、あれがあったな!!!





 俺は口を使い角の首飾りを取り出した。


 読者のみんなは見覚えがないだろうが、これは【失伝秘具(童話礼装)】の【恋慕戦場の怪物ー蛇馬魚鬼】……この前の次元戦争で【ロイス=キャメル】が厄介払いするかのように俺に押しつけてきたものだ!



 これを口から空中に投げて輪投げの要領で俺の首にかけると……



 「これは面妖な……

 異形の腕が生えてきたのか。

 先の次元戦争の報酬をお前たちの戦いでは手に入れられたのだな。

 儂のところは何も手に入らなんだが……」



 あぁ、これは左腕が次元戦争のレイドバトルで見た【ジャバ=ウォック】の腕の見た目のまま俺の腕のサイズへ変えた感じだな。

 これで左腕だけだが復活したし、何とか体勢は整えられた……っ!

 いくぞっ!!!







 色々と生やしたりしていて、本当に底辺種族上がりとは思えない順応速度ですね……

 正気を保てているのが不思議ですよ。


 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】

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