1826話 奮闘したボマードちゃんと状況整理
俺が水中から出てしばらく探索していると、少し外れた方向から爆発音が連続で鳴り響き始めた。
この音は……拡散スイカの種爆弾か!
俺もよく使っているので聞きなれた音ということもありピンポイントで判別出来た。
この拡散スイカの種爆弾を使うプレイヤーで、今次元戦争に参加しているプレイヤーといえばやはりボマードちゃんだろう。
だが、あそこまで連続で爆発音が鳴るのは異常だな……
そんなにストックを持ち込んでいないだろうし、連発して投げ続けるような戦い方はしていなかったはずなんだが。
何にしても変なことには間違いないので急行した方がいいだろう。
ボマードちゃんがやられる前に現場に到着出来たらいいんだが……
そうして爆発音が鳴り響いていたところに到着すると辺り一面が焼け野原になっており、過度な拡散スイカの種爆弾の使用による環境破壊が行われたと推測が出来た。
これは……拡散スイカの種爆弾だけか?
何か別のものも使われたような形跡もあるし、破片も散らばっているな。
植物系爆弾のミラーマッチだったのかもしれないな?
そして、俺の前には倒れているボマードちゃんと緑色の麦わら帽子を被ったプレイヤーの姿があった。
どちらも身体から光の粒子が高速で漏れ出ている最中であり、死に戻りは免れないだろう。
「ほう、ちょう、せんし、さん……私、やりました、よ……
いや~、【改造】の、大罪の、人を、たおせ、ました……
戻ったら、ほめて、ください、ね」
そう笑顔で言い残してボマードちゃん、そして【改造】の大罪を烙印されたと思われる相手プレイヤーも死に戻りしていったようだ。
ボマードちゃん単身で他の次元のプレイヤーを打倒できたのはかなりの大金星だ!
俺を強化しつつ、自分でも勝ち星を上げていたのはきっちり役目を果たしたと言えるだろう。
俺が不在の中よく頑張ってくれたな!
だが、その一方で包丁次元のメンバーは俺しか残っていない状態になってしまった。
とりあえず【夢魔たこす】は倒せたから敵対するMVPプレイヤーは【師匠】を残すのみとなっているのだが、少なくとも俺は釣竿次元のプレイヤーと一度も交戦していないので向こうにどれだけ余力がある状態なのか推測することも難しい。
ボマードちゃんが倒した相手がアンカー次元のプレイヤーなのか、釣竿次元のプレイヤーなのかは結局分からないままになってしまったからな!
もしかしたらボマードちゃんは戦いの最中に聞き出していたかもしれないが……
そう考えていたところにふと、ウインドウ画面に通知が入っていたことに気がついた。
今まで気がつかなかったということは、おそらく俺が【夢魔たこす】と戦っている間に来た通知なのだろう。
……この通知は、スキル【渡月伝心】によるメッセージ機能送受信の履歴か!
だが次元戦争中に俺に送れるやつなんか居たか?
そんな疑問を抱きながらメッセージボックスを開いてみると色々な疑問が氷解した。
なんと、俺へメッセージを送ってきていたのら【ジェーライト】だったのだ!
そうか、【ジェーライト】ならボマードちゃんと一緒に次元戦争に参加している扱いになっているからボマードちゃんの身体を使って【渡月伝心】の行使が出来るよな!
さて、メッセージの内容は……
『俺様はアンカー次元の【改造】の大罪を烙印されたプレイヤー【水渡かぶぼ】ってやつと戦っているゼェ!
イャ~、勝てるか分からないから俺様の半身であるお前に早く来てもらって援護してもらいたいゾォ!』
なるほどな。
俺への助力を求めるメッセージだったということか。
もっと早くこれに気がついていたらよかったな……
とはいえ、戦っている場所が分からなかったから結果は変わらなかったか?
まぁ、でもボマードちゃんが倒したという【改造】の大罪を烙印されたプレイヤーの【水渡かぶぼ】はアンカー次元のプレイヤーということが分かった。
まさかの形ではあったが、これでアンカー次元のプレイヤーが全滅しているということが判明したというわけだ。
これは僥倖だ!
ということはやはり釣竿次元のプレイヤーは俺目線だと全員生きている状態だし、味方の蛇腹剣次元のプレイヤーは大罪アナウンスの状況から察するに【マキ】と【ヲ神死弖煌邪】が生き残っているのだろう。
【夢魔たこす】は蛇腹剣次元のプレイヤーを一人倒していたと言っていたから、この二人ではないもう一人を倒したということのはずだ!
それかハッタリの可能性もあるが、それを考え出したらキリがないのでとりあえず嘘を言ってない前提での考察だけどな?
状況が整理できましたね?
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】