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1825/2201

1825話 改造投擲蕪

 さて、くそ長い大罪アナウンスが流れ終わったわけだがそろそろ活動不可能エリアになりそうなところから脱出出来そうだ。

 だがボマードちゃんの姿がここまで一度も見られない。

 一体どこに行ってしまったというのだろうか……





ーーーーーーーーーーーーーーーーー





 「【包丁戦士】さんが戻ってくるまでは負けられません! 

 いや~、私も一人で戦えることを証明したいですからね

 スキル発動!【魚尾砲撃】ですよ!」

 「蕪の真髄……見せるかも?

 スキル発動!【改造青果】!」



 【ボマード】が水中から脱出してから出会ったのは【水渡(みすと)かぶぼ】という三つ編みの少女だった。

 緑色の麦わら帽子を被って、純白の軍服を着ている。

 黒ぶちの眼鏡をかけていて顔にそばかすがあるのが印象的であろう。

 その手には鍬が握られている。

 この鍬こそ【改造】の大罪を烙印された【水渡(みすと)かぶぼ】のチュートリアル武器である。



 そんな【水渡(みすと)かぶぼ】はスキル【改造青果】というスキルを発動して手に持っていた蕪を【ボマード】へ投げていった。



 「その蕪はもう何回も見たゼェ!

 イャ~、俺様の【魚尾砲撃】で打ち砕いてやるゾォ!」



 現在【ボマード】の身体の操作を行っているのは元レイドボスの【ジェーライト】だ。

 レイドボスだった時の必殺技である【魚尾砲撃】を放ち、その極太レーザーの軌道を空中で曲げながら蕪を真下から撃ち抜いていった。



 「それは同じ様にこっちも見たかも?

 だからこそ今度の【改造青果】では別の効果を改造で組み込んだかも!」



 【水渡(みすと)かぶぼ】の言うように、【魚尾砲撃】の極太レーザーによって撃ち抜かれた蕪は割れていき代わりに種が散弾のように周囲へと放たれていった。

 これは予想していなかったのか【ジェーライト】は【水渡(みすと)かぶぼ】へと差し向けていた【魚尾砲撃】の操作を打ち切って、種散弾を回避することに専念したようだ。



 「これは予想外だゾォ!

 イャ~、【改造青果】は蕪をただ固くするだけじゃなくて逆に柔らかくしてそんな効果を付けられるのカァ!

 他のアンカー次元のやつからお前は戦闘要員じゃないって聞いていたのにとんだ詐欺だナァ?」

 「それは普段アンカー次元の中だと一回も戦わずに逃げ続けているからかも?

 普段は農耕しかしてないかも」

  

 

 【東雲あすか】が【包丁戦士】たちに言っていたことの中にアンカー次元の残りのメンバー……つまり【水渡(みすと)かぶぼ】はあてにならないというものがあったが、それは【水渡(みすと)かぶぼ】本人が戦えることをひたすら隠して過ごしてきたからだ。

 


 「実際に、この【改造】の大罪を手に入れるまでは普通の生産プレイヤーだったかも!

 農作物を作って売るのを楽しみにしてたけど、この【改造】の大罪を手に入れてから同時に手に入ったスキル【改造青果】が戦えるようにしてくれたかも。

 でも、目立って戦いに巻き込まれるのが嫌だからアンカー次元のプレイヤーが近くにいる時は戦わないかも?

 だから、他の人には秘密で!」

 「そんなに目立ちたくないんですね!

 いや~、私とは真逆ですよ~!

 私は目立つためにネットアイドルを始めましたからね~」

 「MVPプレイヤーの【夢魔たこす】ちゃんにも伝えてません。

 正直私を戦力に入れてもらいたくなかったですけど、誰も見てないなら少しだけ頑張ってみてもいいかも……そう思ったんです。

 密かに練習していた【改造青果】での戦い方、実践するいい機会かも!」

 「伝えないようにしますね!

 いや~、人の嫌がることをやるのはマナーとして良くないことですからね!」



 【水渡(みすと)かぶぼ】は【夢魔たこす】や【東雲あすか】などのプレイヤーたちには伝えていなかった理由を【ボマード】へと語っていた。

 この戦いが終わった後にも自分が戦えることを広められたくないからである。

 【ボマード】はこの提案に対して特に異論もなく承諾したが、一応包丁次元としても今後有意義な契約だった。

 【水渡(みすと)かぶぼ】が戦えないという認識をアンカー次元のプレイヤーたちに持たせておくことで、【水渡(みすと)かぶぼ】が参戦する機会を減らせるからである。


 ここで戦闘要員として認識されたままになってしまうと、【水渡(みすと)かぶぼ】は【改造】の大罪を活かして立ち塞がってくる機会が増えてくることになるのは火を見るよりも明らかだ。

 なお、【ボマード】がその認識を持っていたかと言うとそうでもなく、ただの偶然であった。



「今度はこういう志向でイクかも!

 大罪スキル発動!【改造青果】!」



 【水渡(みすと)かぶぼ】は再三の同じスキル連発で懐から取り出した蕪の性質を改造して投擲していた。

 そして投擲してから着地すると、その場所で爆発を起こしていった。



 「これは蕪を改造して拡散スイカの性質を組み込みました。

 これは擬似的な爆弾かも!」

 「【ジェーライト】さん、これは……

 いや~、相手がその気ならこっちも対抗したくなりますね~」

 「任せロ!」



 【ボマード】の口で【ジェーライト】が返答すると胸元から取り出した瓶を【水渡(みすと)かぶぼ】へ投げていった。

 


 「爆発したっ!?

 これはもしかして拡散スイカ……の種だけを抽出したのかも?」

 「植物爆弾対決ですよ~!

 いや~、爆弾魔の異名を届かせちゃいますね~!」





 物騒な対決ですね……

 

 【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】


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