1820話 たこすちゃんのほぼ確定安価ガチャ
……と、【夢魔たこす】がスキル【水流万花】で守りを固めてきたところで悪いんだが、俺は【夢魔たこす】へ放つ予定だった【海底撈月】を自分の真下に向けて放っていった。
「えっ、何をしているのだっ!?
そっちにたこすちゃんはいないのだ!?」
【夢魔たこす】は俺の攻撃した方向に驚いているようだ。
攻撃の制御に失敗したと思われているかもしれない。
だが、これは俺の狙い通りだ。
「湖の底の土が舞い上がってきたのだ!
視界が悪くて見にくくなっちゃったのだ……」
そう、威力がある程度低かろうが問題ない対象として湖の底を狙ったのだ。
これで擬似的な煙幕のような役割を果たしてもらうということだな!
そしてさらに、俺があえて攻撃を外した理由がある。
お前の水の花弁を傷つけたくなかったからだ!
悪いがその防御は俺がもらうぞ?
スキル発動!【秋風領域】!
俺がこのタイミングで発動させたのは【邂逅次元 海光カイコウ海溝】で【アキカゼ・ハヤテ】と色々な関係性になった証としてもらったスキル【秋風領域】を発動させた。
すると次の瞬間、【夢魔たこす】が周囲で回していた水の花弁の防御壁が俺の方へと移動してきて、そのまま俺の周りを回るようになったぞ!
これがこの【秋風領域】の効果……相手の水系のスキルを操作を半自動的にした上で奪い取るというおそろしいものだ!
間違いなく【夢魔たこす】戦で活躍するということを見込んで使いどころを考え抜いた結果、このスキルを使わせるタイミングと奪い取るタイミングを決めていたってことだな。
「何も見えない間に【水流万花】が無くなっちゃったのだ……?
でも、攻撃された様子も無かったから破られたと思えないのだ……
謎過ぎるのだ……」
うんうん、困惑しているようだな?
そりゃ、これだけピンポイントなメタスキルでスキルの操作権利を奪い取ったなんて想像も出来ないだろう。
いい気味だな!
……さて、視界が晴れてくる前に。
密かに【夢魔たこす】の背後に回り込んで……斬る!
「うわっ、ビックリしたのだ!?
【包丁戦士】からも見えてないはずなのに、正確に回り込んで来たのだ!?」
ちっ、首を落とすつもりだったのに片腕を犠牲にして生き延びられてしまったな……
しかもアンカーを持ってない方の手だから戦況に大きく影響はしてこない。
咄嗟の判断にしては無難な対処方法をされてしまったか。
目敏いやつめ。
「……あっ、きたきた!
ようやくスレが加速したお陰なのだ!
条件達成!スキル発動【アンカーボルト】!
そしてスキル発動【安価名案】なのだ!」
【スキルミックス!】
【【アンカーボルト】【安価名案】】
【混合発動【アンカー名案】】
【修練武器に概念混合されます】
【デメリットとしてクールタイムが増大しました】
そして、【夢魔たこす】はこのタイミングでカタカナスキルの【アンカーボルト】と名前に関するスキルの【安価名案】をスキルミックスさせて発動してきた。
……【アンカーボルト】をスキルミックスさせてない状態で使っているのを見たことがないのでどんなスキルなのかは知らないが、【安価名案】については分かるぞ!
スキルを発動させたら立てられるスレッドのコメントが100に達したらそのタイミングで安価を踏んだコメントの効果を得ることが出来る……みたいなものだったはずだ。
「今回の100番目の書き込みは……『深淵種族を爆発させる力』……なのだ!」
おいおいおい、ちょっと待ってくれよ!
なんでそんなピンポイントで俺を標的にするような力を得てるんだよ!?
よりにもよって深淵種族って限定してきているところが嫌らしい。
別に深淵種族に限定しなくても相手を爆発させる力とかじゃダメだったのか?
……いや、半分ネタも入れたかったとかそんな深い理由じゃなさそうだ。
アンカー次元のプレイヤーはどうなってるんだ???
そして、そんな書き込みをきっちり100番目にされた【夢魔たこす】の豪運は相変わらず健在のようだな。
【ランゼルート】がこのスキルを使ったときは【修練研磨上位解放】を併用していたので人工的に手にする力を選びとっていたから理屈としては納得できた。
しかし、【夢魔たこす】はそんな補助スキル無しでその場に都合がいい効果を引き込むのだ。
前にアンカー次元の【摺鉢みすり】と雑談したときにしれっと聞いたことがあったので間違いないはず。
「ふっふっふっ、これで【包丁戦士】を爆殺するのだ!
『深淵種族を爆発させる力』で一発逆転なのだよ!」
いや、本当に一発逆転されそうで怖いんだが……
せっかくチマチマと色々削ってきたんだから、このまま勝ちきりたいところだ!
深淵種族は爆発してほしいですね。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】