1798話 見えないけど見えるもの
【Raid Battle！】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン！
昨日は【菜刀天子】から【カニタマ】や【熱狂剣山の地霊鉱爵】についての話を聞いていたな。
おおよそ予想通りだったり、聞いていた話の裏取りが出来たことが目的だったがそれだけではなくて意味深な発言を引き出すことが出来た。
それが何を意味するのか分からないが、いつか突き止めないといけないんだろうなぁ……
というわけでやって来ました反転新緑都市アネイブルにある天子王宮っぽいところ！
ここにいるルル様にも深海種族のことや、昨日【菜刀天子】が言っていたことについて尋ねてみることにした。
【Raid Battle！】
【夢幻深淵域の現層主】
【エルル？？？？？？？】
【夢幻深淵主】【上位権限】【ボーダー】
【目覚めた管理者は現層主として覚醒し】
【夢幻深淵へ誘い】
【無知なる冒険者を堕とす】
【この世の深価を見極め】
【幻と現実の境界を流転させる】
【封印された夢想が解き放たれし時】
【冷たい闇が世界を包み込み】
【漆黒の茨は境界の夢を見る】
【レイドバトルを開始します】
「カッカッカッ！
あやつそのようなことを言っておったのか！
深海種族の長【カニタマ】についてはそうであろうな。
だが、我としても仕込んでおいた謀略が深海種族によって幾つか不発にさせられた苦い思い出もある故に気持ちは分からなくもないのぅ……」
あー、まぁルル様も謀略も巡らせるタイプだもんな。
だが【菜刀天子】が話していた時の様子と比べると余裕があるように見えるな。
「それはそうであろう。
我は【カニタマ】が気分で行動を変えたときに起きる現象を予想した上で更なる作戦の立案をしていたのだからのぅ！
【菜刀天子】めは良くも悪くも合理的過ぎて【カニタマ】の行動を認められず計算に入れるのをしなかった故に、種族相性で我ら深淵種族に優位に立っておったのにも関わらず互角の戦いをするはめになった……その一因であろう」
そうか、ルル様はそれが出来るほどの寛容さと忍耐力を持っていて組み込んでいたんだな。
謀略のルート分岐を幾つか用意していたのならパターンに応じて次にする行動を決められるので、被害が減り逆に深海種族を利用できたというわけだ。
流石ルル様だぁ……
「とはいえ、我とあやつらには接点もある。
そこで有効活用したまでだのぅ。
これは【菜刀天子】には出来ぬであろう」
どうやら他にもルル様が優位に立った要因もあるようだ。
「それと、【菜刀天子】が言っておったという【熱狂剣山の地霊鉱爵】の裏工作とやらだが……
我には見当もつかぬな」
ルル様にも分からないのか……！？
【菜刀天子】には分かっていたからルル様も分かると思っていたんだが……
「そう言われると頭にくるのぅ……！
我から見えていないところで起きているのか、或いは見えていても裏工作とは認識出来ないようなことが繋がっているやもしれぬな」
それだと確かに分からないか……
【菜刀天子】の立場、視点だからこそ見えているものがあるのかもしれない。
それが深淵種族側だと分からないというわけだ。
「いや、待つのだ。
あやつは深淵種族にとって不利益になる……ではなくお前単体に対して不利益になると言っていたな。
それが深淵種族側にとって結果的に不利益になるかもしれぬが、別の陣営への不利益かもしれぬぞ？
お前は次元天子、深淵以外にも大罪や森人も自陣営としている故にな」
あー、【菜刀天子】が言うからには深淵種族関係だと勝手に思い込んでいたな。
他の種族関係って可能性もあるのか……
それだと絞りきれないぞ！？
もどかしいのう……
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】
