1797話 【菜刀天子】による警戒網
【Raid Battle!】
【包丁戦士】
【包丁を冠する君主】
【深淵域の管理者】
【『sin』暴食大罪を司る悪魔】
【メイン】ー【深淵天子】【深淵使徒】【プレイヤー】【会者定離】
【サブ1】ー【次元天子】【ボーダー(妖怪)】【上位権限】
【サブ2】ー【暴食大罪魔】【デザイア】
【聖獣を担うが故に】
【深淵へ誘い】
【聖邪の境界を流転させる】
【責務放棄により】
【境界を見守り】
【管理することを強いられる】
【会うは別れの始め】
【合わせ物は離れ物】
【産声は死の始まり】
【この世の栄誉は去ってゆく】
【故に永遠なるものなど存在しない】
【瞳に宿る狂気に溺れたままいられることを祈るのみ】
【ああ……この世は無情である】
【ワールドアナウンス】
【【包丁戦士】がレイドボスとして顕現しました】
【レイドバトルを開始します】
はい、今日も元気にログイン!
昨日は【熱狂剣山の地霊鉱爵】に【カニタマ】のことを聞いていたな。
賑やか、かつ、感情のままに動くということが印象だと聞いたがこのように聞いたことも【カニタマ】には筒抜けになっているのだろう。
だからこそ無難な返答しか【熱狂剣山の地霊鉱爵】も出来ないんだろうけどな。
というわけでやって来ました新緑都市アネイブルにある天子王宮!
ここでウインドウ画面を開きながら作業をしている【菜刀天子】の姿があった。
何をしているんだ?
「劣化天子ですか……
私は今、次回開催予定の公式イベントの起案をしている最中です。
蛇腹剣次元のプレイヤーが移籍出来るようになったのでそれに合わせているところです」
なるほどな、大変そうだな。
その内容はまだ聞かないが、それとは別にお前に話があって来たんだ。
深海種族の【上位権限】レイドボスである【カニタマ】についてだ。
【熱狂剣山の地霊鉱爵】から色々と聞いたからな!
「【熱狂剣山の地霊鉱爵】……?
あぁ、鉱人種族の【上位権限】レイドボスですか、そういえば独立したんでしたね……
どうしても昔の感覚が抜けきらないものです。
それはさておき、深海種族の【上位権限】レイドボスの【カニタマ】についてですか。
前にも話しましたが私からすれば個人的に深淵種族の次に苦手としていた相手です。
過去の陣営対戦で本格的に敵対していたのは深淵種族と罪魔種族でしたが、罪魔種族は【荒野の自由】が抑え込んでくれていましたからさほど気にはしていませんでした。
そこに乱入してきたのが【カニタマ】です。
その時の気分で味方する相手、敵対する相手を決めて暴れまわるので頼りにしていいのか討伐すべき相手なのか毎回判断しないといけないという手に負えない総座長でしたよ。
全く、理解できません」
やはりその感想が出てくるよな……
【菜刀天子】はそういうやつだ。
「海エリアを封鎖したのも明確な敵ではないので倒す必要もなく、一方で陣営対戦へ干渉されると私の聖獣陣営が勝利するためのプランを無茶苦茶にされてしまうからこそしたものです。
深海種族たちをまとめて倒そうとすれば私たちが自滅してしまっていたことでしょう。
【カニタマ】率いる深海種族は聖獣たちに比べると直接的な戦闘力は低めですが、【カニタマ】が側にいると話が変わってきます。
場合によっては【カニタマ】に私が敗北してしまうことすらあり得たので、そのリスクを回避したというわけです。
劣化天子の低いスペックの脳でも理解出来るように説明しましたが、分かりましたか」
ご丁寧にありがとよ。
最後の一言は余計だぞ!
だが、【菜刀天子】の口から【カニタマ】に負ける可能性があったことが示唆されたことから、やはり条件次第で大化けするという【カニタマ】の固有能力があるのがほぼ確定したと言ってもいいだろうな。
ただ配下と共闘するだけではないというわけだ。
つまり、もしプレイヤーで【カニタマ】と戦うことがあればその辺りを注意して行く必要があるわけだな!
当分先だと思うが頭に置いておいて損はない情報だろうよ。
「それと【熱狂剣山の地霊鉱爵】にも注意しておきなさい。
目を離すと劣化天子にとって不都合なことが裏で行われている可能性もありますからね。
私にとってはどちらでもいいですが、仮にも【次元天子】を冠しているのだから油断はしていけませんよ」
【熱狂剣山の地霊鉱爵】に……?
どういうことだろうか……
「そこまで教えてしまっては劣化天子の成長を促せません。
自力で見つけて自力で対応しなさい。
さっきも言ったように私としてはどちらでもいい問題ですから」
冷たいのか優しいのかなんとも言い難いな……
【菜刀天子】はやはり『面白い』成長を遂げているね。
プレイヤーとの関わりは大きかったようだ。
【Bottom Down-Online The Abyss Now loading……】